DeFiの落ち込みに備えるイーサリアム・トレーダー:アナリスト分析

オプション市場のデータを見ると、イーサリアム(ETH)のプット・オプション(売る権利)、つまり弱気相場を想定した取引が増えている。DeFi(分散型金融)の落ち込みによる価格下落を想定した動きだとするトレーダーの見方が聞こえてきた。

イーサリアムのプット・コール・レシオ──プット・オプション(売る権利)の建玉(未決済の契約総数)をコール・オプション(買う権利)の建玉で割った指標──は9日、2.45に上昇。この数値は、データサイトのスキュー(Skew)によると、2019年10月31日以来の高水準だ。

つまり、コール・オプション(買う権利)の2倍以上のプット・オプション(売る権利)が取引された。これは一般的には、弱気の市場心理を表す。

イーサリアムのプット・コール・レシオ
出典:Skew

DeFiはバブル

「データから読み取れることは、トレーダーはイーサリアム価格をけん引しているDeFiに対するリスクヘッジを考えている可能性が高いということ」と、オプショントレーダーで、デリバティブ取引所Alpha5の創業者、ビシャル・シャー(Vishal Shah)氏はCoinDeskに語った。

実際、一部の市場関係者は、DeFiの驚異的な成長は価格バブルで、持続不可能と考えている。

「DeFiは2008年の資産担保金融バブルの再来」とブロックチェーンコンサルタントのMaya Zehavi(マヤ・ゼハビ)氏は9日、ツイートした。

DeFiは他の問題にも直面している。例えば、DeFiプロジェクトやステーブルコインによるトランザクションの急増に伴う混雑や「ガス代」(取引手数料)の高騰などだ。

データサイトのグラスノード(Glassnode)によると、イーサリアム・マイナーは8月に取引手数料で1億1000万ドル(約120億円)以上を稼いだ。

暗号資産(仮想通貨)市場の全般的な低迷とともに、DeFiアプリケーションにロック(預け入れ)されている資産総額は、過去8日間で96億ドルから61億1000万ドルへと急減している(データサイトのDeFi Pulseによる)。

イーサリアム価格は先週、480ドルから320ドルに下落している。

長期的には強気

だが3カ月、および6カ月満期のコール・オプション(買う権利)」は依然としてプット・オプション(売る権利)よりも高値を付けており、投資家はこれ以上の価格下落は、仮にあったとしても、短命に終わると考えていることがわかる。

イーサリアムのプット・コール・スキュー指数
出典:Skew

コール・オプションに対するプット・オプションの需要の強さを示す1カ月プット・コール・スキュー指数は、現在6.8%。これは、弱気のプット・オプションへの需要が高まっていることを示している。

しかし、3カ月と6カ月のスキュー指数は依然として0%を大きく下回っており、長期的には強気相場が期待されていることを示している。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Skew
原文:Ether Traders May Be Hedging Against DeFi Slowdown: Analyst