発電所をサイバー攻撃から守るブロックチェーン。米エネルギー省の試験が第2フェーズに

米エネルギー省は発電所をターゲットにしたサイバー攻撃を阻止する手段として、ブロックチェーンの活用を検討している。

エネルギー省(DOE)傘下のナショナル・エネルギー・テクノロジー・ラボ(National Energy Technology Laboratory=NETL)は2019年4月10日(現地時間)、分散型サイバーセキュリティーのベンチャー企業Taekionと共同で進めている送電網セキュリティープロジェクトが第2フェーズに入ったと発表した。

NETLから100万ドル(約1億1000万円)の補助金を受けているTaekionは今後、発電所のセンサーや作動装置、機械処理などを分散型台帳で管理し、ブロックチェーン技術が発電所の保全にどう活用できるかを明らかにしていく。

「発電所の状況を把握するために正確な情報を得ることは、送電網全体のセキュリティーにつながる」とNETLは発表文で述べた。「重要情報の保管を分散化すれば、単一障害点はなくなる」

NETLによると、発電所をターゲットにしたサイバー攻撃では、不正アクセスを行ったハッカーが実際に発電プラントを停止した場合、発電所は一見、平常運転を続けていると認識するという。2016年の冬、ウクライナの発電所がサイバー攻撃を受け、大規模停電につながった。

NETLのプロジェクトで開発が進められているアプリケーションは、ハッカーによる発電プラント情報の改ざんを阻止する方法を導く可能性があるという。Taekionは今後、他のアプリケーションの開発も進め、発電施設データを保護するための安全な処理方法を研究する。

エネルギー省はこれまで何度かブロックチェーンの活用を模索してきた。昨年は、複数のブロックチェーンをまたがる電力などのエネルギー取引を可能にする手法を導き出そうと、BlockCypher社と連携した。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:Power plant image via Shutterstock
原文:US Energy Department Eyes Blockchain to Prevent Power Plant Cyberattacks