ビットコイン、米大統領選間近で市場の注目再び──イーサリアムに一服感

アメリカ大統領選挙を5週間後に控え、暗号資産(仮想通貨)市場の焦点はイーサリアム(ETH)とそのエコシステムから一旦離れ、ビットコイン(BTC)に戻りつつあるのだろうか。

イーサリアムとビットコインの6カ月インプライド・ボラティリティ(IV:オプション市場の価格を使って計算される価格変動の予想値)のスプレッド(差)は、週末には2カ月半ぶりの低水準となる4%となった。この4週間で21%から低下している(データサイトのスキューのデータ)。

スプレッドの低下は、市場が2つの暗号資産のボラティリティの違いをあまり想定しておらず、近いうちにイーサリアムがビットコインと同じように取引されると予測していることを示している。

イーサリアムとビットコインのインプライド・ボラティリティのスプレッド
出典:Skew

市場の主導権はビットコインに?

「スプレッドの低下は、イーサリアムエコシステムが数カ月にわたり注目を集めた後、市場の主導権がビットコインに戻ってきているサインとも言える」とスキューのエマニュエル・ゴー(Emmanuel Goh)CEOは話す。

3月に新型コロナウイルス感染拡大が始まって以来、ビットコインはマクロ資産として成熟してきた。

すなわち、ビットコインは11月3日のアメリカ大統領選挙の前後に、暗号資産市場の価格動向をリードする可能性がある。大統領選挙はここ数十年で最も激しいものとなり、株式市場など従来の市場に大きな影響を与える可能性がある。

イーサリアムとビットコインのインプライド・ボラティリティのスプレッドは、7月に0.9%から15%に急上昇し、DeFi(分散型金融)人気がイーサリアムへの関心を高めたことから、8月中旬には21%の高水準に達した。

DeFiパルス(DeFi Pulse)によると、DeFiプラットフォームにロック(預け入れ)されている資産は、7月から8月にかけて4倍になり80億ドルを超えた。現在では110億ドル(1兆1600億円)を超えている。

そのため、イーサリアムのオプション取引は、ビットコインよりも大きな需要を引き寄せ、ボラティリティのスプレッドの拡大につながった。

「イーサリアムのボラティリティは、より高い価格でのオプション取引の需要増によって大きくなっていた。需要の高まりは落ち着き、2つの資産のボラティリティのスプレッドは平均的な数値になっている」とオプショントレーダーで、デリバティブ取引所Alpha5の創業者、ビシャル・シャー(Vishal Shah)氏は言う。

スキューのデータによると、イーサリアムとビットコインの1カ月リアライズド相関係数は0.80まで上昇している。7月から8月にかけては0.90から0.57まで低下していた。この数値は、1.0は2つの資産が完全に相関していることを意味し、0.0はまったく相関していないことを示す。

この四半期にイーサリアムは58%上昇、一方、ビットコインは18%のみの上昇にとどまった。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Skew
原文:Bitcoin May Return to Center Stage After Ethereum’s White-Hot Summer