SBIがTAOTAO買収、NTTコムがブロックチェーン実証実験、マカフィー氏起訴ほか──10/5〜10/11の暗号資産・ブロックチェーンニュース

10月5日──スペインで逮捕されたマカフィー氏、脱税の罪で起訴

アメリカの司法省は5日、ジョン・マカフィー氏を脱税と故意の申告漏れの罪で起訴したと発表。有罪の場合、5年以上の刑を科される可能性がある。スペインで脱税の容疑で逮捕されたマカフィー氏はソフトウエア業界の大物で、ビットコインについて強気の発言をすることで知られる。また同日、SEC(米証券取引委員会)も、55ページにおよぶ訴状を裁判所に提出。マカフィー氏をICOへの投資を促すツイートを有償で行っていたことを公表していなかったとして起訴した。

10月6日──NTTコム、ブロックチェーンをサイバーセキュリティ向上に活用する実証実験へ

NTTコミュニケーションズは10月6日、ブロックチェーン技術を使ってサイバーセキュリティを向上させるため、セキュリティ対策に有益な情報(セキュリティインテリジェンス)を参加者間で共有、利活用が可能なプラットフォーム「ブロックチェーン型セキュリティ情報流通フレームワーク」の開発に向けた実証実験を開始すると発表した。2020年11月30日から2021年3月31日までで、参加者お募集するという。セキュリティインテリジェンスには、サイバー攻撃者のIPアドレスや悪質サイトのURLなどを含む。

プラットフォームの特徴は3つあり、「入手が難しかったセキュリティインテリジェンスを売買できる」「セキュリティインテリジェンスの評価と利用状況の把握ができる」「収集したインテリジェンスを利用可能な状態にする方法を学習できる」だという。

10月6日──SBI、スイスの銀行とデジタル資産ベンチャーファンドを設立

SBIホールディングスは10月6日、スイスのデジタル資産銀行のSygnum(シグナム)銀行グループとの間で、東南アジアとヨーロッパ地域を中心にデジタル資産関連企業に投資するファンドを共同設立すると発表した。子会社のSBI Ven Capital Pte. Ltd.(シンガポール)が運用するこのファンドは、東南アジアとヨーロッパ地域などのアーリーステージの有望なスタートアップを投資対象とするベンチャーファンド。主に金融市場インフラとDLT(分散型台帳技術)に関連する企業向けソリューションの分野で革新的なテクノロジーを持っているベンチャーに投資するという。

10月6日──イギリスFCA、個人投資家への暗号資産デリバティブの販売を禁止へ

イギリスの金融行動監視機構(FCA)は10月6日、暗号資産(仮想通貨)にもとづくデリバティブと上場投資証券(ETN)の個人投資家への販売を禁止するための最終案を発表した。FCAは、これらの商品は個人投資家に不適切と考え、次の理由から個人投資家はその価値を確実に評価できないと述べた。

  • 原資産の本質的な性質、つまり評価のための信頼できる根拠がない。
  • 市場の悪用と、流通市場における金融犯罪(サイバー攻撃による盗難)のまん延
  • 暗号資産の極端なボラティリティ(価格変動)
  • 個人投資家の暗号資産に対する理解不足
  • 個人投資家がこれらの商品に投資する合理的ニーズの欠如

具体的には今回の禁止は、イギリス内外の事業体によって発行された「規制を受けていない譲渡可能な暗号資産」に結び付けられたデリバティブ契約や、ETNの個人投資家への「販売、宣伝、配布」に影響を与えるという。

10月7日──SBIがTAOTAO買収、完全子会社化

TAOTAO
TAOTAO Wevbサイトより

SBIホールディングスの子会社、SBIリクイディティ・マーケットは10月7日、暗号資産取引所TAOTAOを運営するTaoTao株式会社の全株式をで取得、完全子会社としたと発表した。同社の株主であるZファンド1号投資事業有限責任組合(無限責任組合員:Zコーポレーション株式会社)から同日付で取得した。SBIリクイディティ・マーケットは外国為替証拠金取引等のマーケット機能の提供・システム開発を行なっている。

10月7日──韓国、2021年に中央銀行デジタル通貨の試験運用へ

韓国の中央銀行は2021年に、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の試験運用を行う。現地メディアのコリア・タイムズが10月7日、報じた。同メディアの記事によると、来年の試験運用は、今年の夏に行われた技術フェーズの開発に続くもので、CBDCの発行と流通にフォーカスしたものになるという。中国政府がCDBCの発行に向け、銀行や企業を巻き込んだ全国規模の試験運用を進めているなか、韓国は今年4月くらいからCBDCへの取り組みを加速させた。同報道によると、韓国銀行(BoK)は今回のテストは必ずしもCBDCの立ち上げを意味するわけではないと述べたという。

10月7日──LINE傘下のLVC、暗号資産の貸出サービスを開始──キャンペーンで貸借料10%

LINE傘下で暗号資産とブロックチェーン事業を行うLVCは10月7日、ユーザーがビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を取引所に貸し出して、貸借料を取得できるサービスを開始した。ユーザーは自身が保有する暗号資産をLVCが運営する取引所「BITMAX」に貸し出すことができる。銀行ローンにおける利息にあたる「貸借料」は、貸し出しを行った日の翌日から日次で毎日発生する。LINEは6日、東京証券取引所に発表文を開示した。

10月7日──bitFlyer、預かり資産が過去2年で最大に。「1618億円超」と発表

bitFlyer,預かり資産推移
bitFlyerのリリースより

暗号資産(仮想通貨)取引所のbitFlyerは10月7日、預かり資産が8月までに1618億円を超え、過去2年間では最高額となったと発表した。ビットコインの価格上昇に加えて、昨年末から新たに4つの暗号資産の取引を始めたことが、預かり資産の増加につながった。bitFlyerは今年上半期にインターネット調査を行い、9月にその報告書をまとめている。同期間中、bitFlyerで新たに口座を開設した人の数が最も多かったのは20代で、新規開設者全体の3割以上を占めていることが分かった。

10月9日──日銀がCBDCの実証実験を21年度早期に実施する方針

日本銀行は10月9日、各国の中銀が取り組みを加速させている「中央銀行デジタル通貨」(CBDC=Central Bank Digital Currency)のうち、個人や企業を含む幅広い主体の利用を想定した「一般利用型CBDC」について、2021年度にも概念実証(PoC=Proof of Concept)を行う方針を明らかにした。

PoCではCBDCの基本的な機能や具備すべき特性が技術的に実現可能かどうかを検証。その上で、必要と判断すればパイロット実験の要否についても検討するという。

文・編集:濱田 優
画像:Shutterstock.com