三井住友銀、「マルコ・ポーロ」活用した貿易金融サービスを2019年後半にも開始

三井住友銀行は、ブロックチェーン技術を基盤とする貿易金融のデジタルプラットフォームを活用した新たなサービスを段階的に開始する。

三井住友銀行・副会長の川嵜靖之氏は2019年4月25日、都内で開いたフィンテックセミナーで、同行が2019年後半をめどに、マルコ・ポーロ・ネットワーク(Marco Polo Network)を活用した貿易金融における新たなサービスを、輸出入企業などを対象に始めていくと述べた。

2019年4月25日、フィンテックセミナーに登壇した三井住友銀行・副会長の川嵜靖之氏。

川嵜氏は「貿易金融 (トレードファイナンス) は非常に複雑で、貿易取引に必要な書類はその多くが紙ベースで煩雑。この手間のかかるプロセスは100年間、続いてきた」とした上で、「(三井住友銀行は)グローバルプラットフォームを構築すべくマルコ・ポーロに参画してきた。今年後半には新しいサービスを提供できるよう、準備を進めている」と話した。

貿易取引において、売主である輸出者と買主の輸入者が取引をする場合、銀行や保険会社、輸出入監督官庁、税関などが関与し、一つの取引には信用状や保険証券を含む70〜100種類の書類が必要となる。ブロックチェーン技術を基盤とするプラットフォームを活用して、これらの煩雑なプロセスのデジタル化を進めるコンソーシアムが現れてきている。

その代表的なコンソーシアムの一つがマルコ・ポーロ・ネットワーク(Marco Polo Network)だ。米R3が開発した分散台帳技術(DLT)のコルダ(Corda)とTradeIXの技術が牽引し、仏BNPパリバ(BNP Paribas)や独コメルツ銀行(Commerzbank)などの欧州主要金融機関が参加するコンソーシアム。三井住友銀行は2018年2月に参画した。

今年3月には、ドイツの企業がコメルツ銀行などと連携しながらマルコ・ポーロを活用した貿易取引を行なっている。

貿易金融の分野では、マルコ・ポーロ以外にもいくつかのグローバル・コンソーシアムがつくられてきている。その一つの「we.trade」には、英HSBCホールディングスや仏ソシエテ・ジェネラル(Societe Generale)などが参加しており、「ボルトロン(Voltron)」には、HSBCやBNPパリバの他にみずほフィナンシャルグループが参画している。

国内では、NTTデータや国内企業が中心となり、ブロックチェーンを活用した「貿易情報連携基盤」を構築し、現在実証実験を行なっている。NTTデータは2019年度中に貿易情報連携基盤の実装を目指している。

文:佐藤茂
編集:浦上早苗
写真:CoinDesk Japan

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