2020年のクレカ不正利用振り返り──偽造カード、情報流出、フィッシング・スキミングなど

クレジットカード関連の不正は後を絶たず、カード偽造や盗用などの被害が相次いでいる。1人が複数枚カードを持っていることも珍しくないクレジットカードだが、2020年にはどのような被害があったのだろうか。

2020年のクレジットカード偽造・盗用、国内外別の被害額

まず、2020年のクレジットカード偽造・盗用の被害額について見てみよう。日本クレジット協会の調査によると、クレジットカードの偽造被害額は2020年1月から9月の間で6.7億円、カード番号の盗用による被害額は156.5億円にのぼったという。

偽造による被害額・6.7億円

国内……1.7億円(25.4%)
海外……5億円(74.6%)

番号盗用による被害額・156.5億円

国内……112.8億円(72.1%)
海外……43.7億円(27.9%)

こうした被害は誰にでも起こる可能性がある。明細を確認する癖をつけ、万が一不審な内容の請求があればすぐ確認し、被害を最小限に抑えるよう対策をすべきだろう。

東映ビデオ、カード情報1万円が流出の可能性──10月1日

東映ビデオが運営するオンラインショップが不正アクセスを受け、ユーザーのカード情報1万395件が漏えいした可能性があると発表した。

漏えいした情報はクレジットカード名義人名やカード番号、有効期限、セキュリティコードだ。同社はユーザーに個別連絡を行い、システムの移行や監視体制の強化など、再発防止に努めるとしている。

山梨中央銀で偽造カード被害、コンビニで不正引き出し 被害額は160万円──10月14日

山梨中央銀行は、偽造されたキャッシュカードやクレジットカードで、計160万円を不正に引き出されたことを発表した。偽造クレジットカードでキャッシングなどの取引が行われたという。

小学館の関連会社でカード情報流出、不正利用の可能性──11月16日

大手出版社・小学館の関連会社が運営するオンラインショップが不正アクセスを受け、6月までの5年間で1000件以上のクレジットカード情報が流出し、不正利用された可能性があることを明らかにした。カード会社からの指摘により調査を進め、発覚した。

小学館は利用者には個別に連絡をとり、システムの安全対策を強化し、再発防止に努めるとしている。

カード会社や暗号資産事業者を装うフィッシング詐欺が多発──12月8日

サイバー犯罪対策センターは12月8日、消費者金融や暗号資産事業者を装い、フィッシング詐欺や偽サイトが確認されたため、注意喚起を促すレポートを公開した。

11月中旬以降から、ショッピングサイトや運送系企業を装ってSMSを送信し、偽サイトに誘導する手口が確認された。さらに、クレジットカード会社を装って不正ログインの検知や登録情報の変更等を促し、偽のサイトでIDやパスワードなどの個人情報を入力させる手口も見られたという。

EXILE公式オンラインショップが不正アクセス、カード情報流出・不正利用の疑い──12月8日

人気グループEXILE(エグザイル)などが所属する芸能事務所LDHは、運営するオンラインショップが不正アクセスを受け、約4万4600件のクレジットカード情報が流出した可能性があることを明らかにした。11月27日時点で、少なくとも209人分のクレジットカードがすでに不正利用された疑いがあるという。

オリコカードのフィッシングメールを確認、フィッシング対策協議会が注意喚起──12月8日

オリエントコーポレーションは12月8日、オリコをかたるフィッシングメールが確認されたとして、注意喚起をした。フィッシング対策協議会も情報を公開。両者の発表によると、メールの件名は「【Oricoカード】ご利用確認のお願い」など、オリコカード公式を思わせる文面で、メール内にあるリンク先は「eオリコサービス」のログインページを装ったフィッシングサイトになっているという。

会員IDやパスワードだけでなく、カード番号やセキュリティコード、有効期限などの情報を入力するよう促されるため、フィッシングサイトと気づかれないうちに重要な情報を盗まれてしまう可能性が高い。

同協議会はユーザーに対し、サイトのURL確認や、公式アプリからの利用を呼びかけ、注意を促している。

カードの不正利用が発覚したら迅速に対応を、補償期間に注意

クレジットカードの不正被害は、実際に請求が届いた後に発覚するケースも多い。そのため、不正利用から日数が経って被害がわかると、カード会社によっては補償対象期間外になることもある。

カードの情報を盗み取る「スキミング」など、不正の方法によっては被害発覚が遅れる場合も少なくない。こうした被害を防ぐためにも、カード明細をオンラインで確認できるようにしておき、普段から明細をこまめにチェックする意識を持っておきたい。

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文:CoinDesk Japan編集部
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