ビットコインのマイニング機器、供給不足が深刻化──大手メーカーは8月出荷分まで完売

暗号資産のビットコインをマイニング(採掘)するために使われる機器の供給不足が深刻化している。ビットコインの価格上昇に伴い、マイニング機器への需要が急増。中古市場でも値段が跳ね上がっているという。

大手マイニング機器のビットメイン(Bitmain)は、販売価格を2倍近くに設定しているが、すでに3カ月分の在庫を売りつくした。同社は12月初めに、翌年5月の出荷分を販売。それからひと月足らずの間、販売価格をさらに上げたが、すでに8月出荷予定分まで売り切れの状態だ。

11月下旬、ビットメインが製造する「アントマイナー(Antminer)S19」の価格は1897ドルだったが、現在のプライスタグは3769ドルと、ほぼ2倍になった。

中古市場も活況

新品のマイニング機器に対する需要がすぐに弱まる兆しは見えないと話すのは、ニューヨークのマイニング企業、ファウンドリー(Foundry)のケビン・ツァン(Kevin Zhang)氏。

マイニング機器の中古市場も2017年以来の活況を呈している。ルクソール・テクノロジーズ(Luxor Technologies)のデータによると、高性能の中古機器の価格は12カ月ぶりの高水準だ。

「2019年5月には20ドルだった機器が、今は一部のルートでは130ドルで販売されている」と、 ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)のマイニング責任者、アマンダ・ファビアーノ(Amanda Fabiano)氏は述べる。

マイニング機器の価格推移
出典:Luxor Technologies, CoinDesk Research

ビットコインの価格は昨年1年で300%以上上昇し、マイニングに使われる機器の需要を押し上げた。マイナーの収益も急増し、テラハッシュ/秒(TH/s)あたりの収益は1月3日に0.25ドルに達し、2019年8月以来の最水準となった(ルクソールのデータ)。

ハードウエア調達が2021年の課題に

急増する需要に応えるため、ビットメインは「工場の効率性と製造能力を強化している」と、同社国際マーケティングディレクター、ナタニエル・ユー(Nathaniel Yu)氏はコメント。

マイニング機器の旺盛な需要はある程度、維持するとユー氏は予測する。「多くの機関投資家が暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーン技術に興味を持っている」

ギャラクシー・デジタルのファビアーノ氏は、現在のマイニング機器市場の状況は「最悪の事態」と話す。工場の生産能力が限られるなか、大規模施設が機器を購入し、かつ大量発注できる大きな資産を持つ企業が市場に参入していると説明する。

大きな資産を持つ企業とは、3万1000台以上の機器を購入したライオット・ブロックチェーン(Riot Blockchain)や、一度の注文でビットメインから5万9000台を購入したコア・サイエンティフィック(Core Scientific)、保有台数数を10万台以上へと拡大させたマラソン・パテント・グループ(Marathon Patent Group)があげられる。

「この状況が続けば、ハードウエア調達が2021年を通して障害となるだろう」とファビアーノ氏は語った。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:Luxor Technologies, CoinDesk Research
原文:Bitcoin Mining Machine Shortage Worsens as Bitmain Sells Out Through August