- ビットコインは10万9000ドル前後で安定しており、先週末の大規模な清算後も低ボラティリティの傾向が続いている。
- イーサリアムやソラナ、XRP、カルダノといった主要暗号資産はほとんど動きがなく、市場全体の停滞を反映している。
- トレーダーは、不透明なマクロ経済指標と間近に迫ったFRBの会合を前に慎重な姿勢を維持しており、市場の大きな動きを待っている。
ビットコイン(BTC)は10月23日のアジア取引時間中に10万9000ドル付近で安定的に取引され、10月10日の暴落以来、広いレンジでの相場が継続している。この暴落では190億ドル(約2兆8500億円、1ドル=150円換算)相当のレバレッジ取引が消滅し、リスク選好が弱まった。
イーサリアム(ETH)は3850ドル付近で推移し、ソラナ(SOL)、エックス・アール・ピー(XRP)、カルダノ(ADA)は過去24時間ほとんど動いていない。この停滞は、10月の不安定なスタートの後に起こったものだ。10月は今のところ強気派にも弱気派にもほとんど進展がなく、季節的に強気な月であるにもかかわらず、投資家にとって2015年以来最も低い上げ幅になる見込みだ。
平穏だが背景には興味深いものがある。暗号資産(仮想通貨)市場は、トレーダーが「成長売りモード(sell-the-growth mode)」と呼ぶ状態にあり、流動性が薄れて、センチメントが変化する中でわずかな反発もすぐに押し戻されている。
「恐怖と貪欲指数(crypto fear and green index)」は25に低下し、「極度の恐怖」をやや上回っている。ビットコインは2週間近く、50日単純移動平均線(SMA)と200日SMAの間で変動しており、反発するたびに、前回よりも速く売り圧力に押されている。
グーグル(Google)でさえ、市場を動かすことはできなかった。このテクノロジー大手は、Willowチップの「量子優位性」を発表した。これは、一部の人にとっては画期的な出来事だ。量子コンピューティングの実用化に世界が近づくという主張は、ビットコインの暗号基盤に関するかつての懸念を一時的に再燃させた。
その考え方はシンプルだ。量子コンピューターはいつか、ビットコインの安全性を保っている暗号を解読できるかもしれない。実際には、昨年12月に議論されたように、それはまだ遠い未来の話だが、他のすべてが疲弊している時に信頼がいかに脆いものであるかをトレーダーに思い知らせるには十分だ。
しかしながら、マクロ経済の兆候は不透明で、10月29日のアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の会合も迫っているため、どちらの方向にも大きく賭ける人はほとんどいない。
「市場はこの狭いレンジで均衡しており、これはより大きな動きが近づいていることを示している」と、FxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏は述べた。「強気派が忍耐を失うか、弱気派が確信を失うかのどちらかだ」。
現時点では、ほとんどのトレーダーは価格や物語において何かが変わるのを待っているだけだ。グーグルの量子コンピューティングの飛躍的進歩でさえ、それを実現させるには十分ではなかった。
憶測と物語で成り立つこの空間において、無関心は最も弱気なシグナルかもしれない。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:BTC, XRP, SOL, ADA Hold Flat as Google’s Quantum Breakthrough Rekindles Old Crypto Fears


