JPYC、いよいよ明日27日発行──岡部氏とJPYCの取り組みをCoinDesk JAPANの記事で振り返る

いよいよ明日10月27日、円建てステーブルコイン「JPYC」の発行が始まる見込みだ。日本の法律で認められた初めての円建てステーブルコイン(正確には資金決済法で定められた電子決済手段)となる。

JPYC代表取締役の岡部典孝氏と同社の取り組みをCoinDesk JAPANの記事で振り返ってみた。

◇◇◇

2019年

岡部氏の名前が初めてCoinDesk JAPANに登場したのは、2019年5月19日。スマートコントラクトとトークンエコノミーを活用した政策課題解決に向け活動する政治団体「トークントークン」を設立したという記事だった。

日本初、代表がいない政治団体「トークントークン」。非中央集権社会のための法改正目指す

2019年当時の写真を見ると、今と若干(かなり?)印象が異なる。

2021年

その後、2019年11月に日本暗号資産市場を創業、2021年1月に前払式支払手段型のステーブルコインとして「JPYC」の発行を開始、8月には発行額が1億円に到達した。

11月には、ドル建てステーブルコインを発行する米サークルがJPYCに出資したニュースを伝えた。

米サークル、日本円ステーブルコインのJPYCに出資──5億円調達ラウンドで

2022年

JPYCの発行額は、2022年5月10日に10億円に達した。翌日の11日にインタビュー記事を掲載。

ステーブルコインの「JPYC」、発行額が10億円に──9カ月で10倍に拡大した理由

インタビューは、資金決済法が2022年6月に改正される前、つまりステーブルコインが「電子決済手段」として定義される前だった。読み返すと当時の流動的な状況を知ることができて興味深い。

改正資金決済法は翌年2023年6月に施行され、日本にステーブルコインが登場する環境は整った。JPYCも発行に向けて、さまざまな動きを展開した(以下、日付はCoinDesk JAPANの掲載日)。

2023年

●11/28:プリペイド型ステーブルコインを手がけるJPYCが三菱UFJ信託銀行、Progmatと協業──JPYC(信託型)の発行を目指す

●12/8:JPYCとウニードス、日本円連動のステーブルコインで提携検討

2024年

●3/25:JPYC、パーソルから資金調達

●5/21:カーボンクレジットの決済にステーブルコイン活用──三菱UFJ信託、プログマ、JPYC、KlimaDAOなどが連携

●5/23:JPYCと北國銀行、ステーブルコイン利用拡大に向けた共同検討を開始

2024年7月、岡部氏は京都で開催された「IVS Crypto/JBW Summit」において「ステーブルコインの現状と展望」と題したセッションに登壇。壇上で「スタートアップ企業にとっては、従来の決済手段は手数料の高さがネックになることがある。手数料がほぼゼロの決済手段があれば、もっとイノベーションが起きやすくなるだろうと確信し、ステーブルコインに人生をかけて取り組んでいる」と発言した。

ステーブルコイン、いつ出る? 何が変わる? 何を変える?【JBW Summit at IVS Crypto】

この後も、さまざまな発表が続いた。今振り返ると発行に向けて、さまざまなユースケースを模索していたのだろうか。

●9/11:JPYC、インボイスNFT特許取得──ブロックチェーンによる事務効率化を目指す

●9/17:鹿島建設がWeb3サービスの実証実験、現場でのインセンティブにJPYC活用

●10/21:ステーブルコインとRWAを融合、JPYC社と韓国IT大手が共同研究

2024年11月には、当時発行していた前払式支払手段型の「JPYC」を「JPYC Prepaid」に名称変更することを発表。

「JPYC」から「JPYC Prepaid」に名称変更──資金移動業型ステーブルコイン準備で区別明確化

2025年

2025年1月には、複数投資家から計3.32億円を調達、累計調達額は約17億円になると発表した。

JPYC、3億円超を調達──J-KISS型新株予約権を発行

2025年3月、日本初の円建てステーブルコイン発行を視野にインタビューに答えた。岡部氏はその収益モデルについて「1兆円分を発行して、国債の平均金利が1パーセントになれば、100億円の粗利が見込める」と述べた。

日本初の円連動型ステーブルコイン、今夏にも登場へ──発行即100億円規模の流通か【JPYC岡部代表に聞く】

〈JPYC社提供〉

5月には「JPYC Prepaid」の発行を終了し、円建てステーブルコイン「JPYC」の発行に向けて動きを加速させた。

JPYC Prepaid、電子決済手段へ移行──新規発行終了

2025年8月17日、ついに金融庁の承認を受け、秋に円建てステーブルコイン「JPYC」を発行する見込みと伝え、CoinDesk JAPANは岡部氏に確認を取った。

金融庁、国内初の円建てステーブルコインを承認へ──JPYC岡部代表、報道内容認める

翌日の18日には、正式に資金移動業者として登録を完了。

【速報】金融庁、JPYCを資金移動業者として登録──国内初の円建てステーブルコインへ、岡部代表「早期発行」を表明

19日には記者会見を行い、発行・償還サービス「JPYC EX」を今秋スタートさせると明らかにした。

ユーザーの保有・送金額に上限なし──円建てステーブルコイン発行・償還サービス、今秋スタート:JPYC岡部氏

岡部氏は冒頭、登録完了について触れ、「登録番号は関東財務局長 第00099号、100に1つ足りないが、良い番号だと思っている」と述べた。

これ以降は、岡部氏とJPYC関連のニュースが日本の暗号資産/Web3にさまざまな動きを巻き起こしていった。

●8/21:日本円ステーブルコイン「JPYC」と企業システムをノーコードで連携、アステリアが新アダプター開発へ

●8/26:EXPOウォレット、「HashPort Wallet」へ刷新── JPYC・マルチチェーン対応やガスレス機能を発表

●9/11:ステーブルコイン「JPYC」で支払い可能なクレジットカード登場

●9/16:「JPYC」をアプリで使える支払い手段に── アステリア、MikoSea買収でステーブルコイン普及を促進

●9/17:JPYC、電算システムと基本合意──全国コンビニでステーブルコイン決済実現目指す

●9/19:日本円ステーブルコイン「JPYC」に法人向けウォレット「N Suite」が対応──国内初

●10/3:地図上でステーブルコイン投げ銭、イラストデジタルマップのStrolyがJPYC導入へ

〈リリースより〉

そして10月24日、JPYC社は、日本円ステーブルコイン「JPYC」の発行・償還を担う専用プラットフォーム「JPYC EX」を10月27日午後1時に公開すると発表。「JPYC EX」の稼働開始をもって、JPYCの発行がスタートする。

【速報】円建てステーブルコインJPYC発行日が「10月27日」に決定

改正資金決済法の施行から2年と数カ月。ようやく円建てステーブルコインが登場する。どれくらいのユーザーが集まるのか、1日目の発行額はどれくらいになるのか。その動向に注目だ。

|文:増田隆幸

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