- テザー(Tether)のCEOパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は、米連邦規制に準拠するため、米国に焦点を当てたステーブルコイン「USAT」を12月に立ち上げる計画であると述べた。
- 同社は、ユーザーベースを1億人のアメリカ人に拡大するため、ランブル(Rumble)のようなプラットフォームに投資している。
- テザーのUSDTの供給高は1820億ドルに増加し、ステーブルコイン市場を支配しており、一方でテザーゴールドは今年、市場規模が3倍になった。
世界最大のステーブルコインUSDTを手がける暗号資産(仮想通貨)企業テザーは、米国に焦点を当てた米ドル連動型ステーブルコインを、1億人のアメリカ人のユーザーベースに届けるための新たな投資を計画していると、同社CEOのパオロ・アルドイノ氏が10月24日、インタビューで述べた。
ジーニアス(GENIUS)法によって設定された連邦規制に準拠するために米国市場専用に設計されたUSATトークンは、今年12月に立ち上げられる予定であると、アルドイノ氏は述べた。
同トークンは、テザーと規制された米国の暗号資産銀行アンカレッジ・デジタル(Anchorage Digital)の合弁事業であるテザー・アメリカ(Tether America)によって発行される。
今後トークンを流通させるためにテザーにとって重要な要素は、昨年テザーが7億7500万ドル(約1200億円、1ドル=153円換算)を投資した動画共有プラットフォームのランブルと、今年中にリリースされる予定のランブルの暗号資産ウォレットである。
ランブルだけでも、USATトークンにオンボードする可能性のある月間アクティブユーザーを米国で5100万人抱えていると、アルドイノ氏は述べた。
アルドイノ氏は、「我々は、その数を5100万人から1億人に増やすような、2、3の企業に投資している」と述べた。
特定の企業の名前は挙げていないが、テザーがUSATトークンをクリエイターエコノミーでの決済用トークンとして位置づけることを目指しているため、投資のターゲットにはソーシャルメディア企業、ランブルに類似したコンテンツプラットフォームが含まれる可能性があると、アルドイノ氏は述べた。
「米国市場では、ペイパルなどと競争できる、よりプロフェッショナルでデジタルなお金へのアプローチを作る必要がある。素晴らしいのは、すでにその資金を経済で活用するユーザー基盤が存在する点だ…したがって、このトークンは圧倒的な優位性を持つだろう」とアルドイノ氏は述べ、次のように続けた。
「我々は最初から全力で始動し、最初に我々を潰そうとした競合他社から市場シェアを奪い始めるつもりだ」。
ゴールドラッシュ
テザーは、ドルへのアクセスが限られている新興市場に主に焦点を当てているが、デジタルトークンがグローバルな決済により組み込まれることを可能にする米国のジーニアス法のような規制の進展によって後押しされた、ステーブルコインの急速な採用から恩恵を受けている。
テザーの主力トークンUSDTは、供給高が年初から3分の1増加して1820億ドルとなり、約3000億ドル規模の資産クラスを支配している。
サークル(Circle)の手がけるUSDコイン(USDC)は現在、時価総額720億ドルで2位であり、今年に入って約70%増加している。
一方、物理的な金に裏付けられたテザーゴールド(XAUT)も、金が新しい史上最高値を更新するに伴って、過去数カ月間で上昇した。
テザーゴールドの市場規模は過去最高の22億ドルに上昇し、年初から3倍以上になった。 この成長の多くは、個人投資家からの需要に起因していると、アルドイノ氏は述べた。
「中南米とアジアの個人投資家の間で、トークン化された金への関心が急速に高まりつつある」と、アルドイノ氏は述べた。
金に対する個人投資家からの熱狂的な需要を受け、マーケットメーカーもトークン化された金をますます利用している。これは、取引の反対側でCME先物を用いることで、二次市場でより大きなスプレッドを伴って売却できるためである。
ナスダック上場のプレスティージ・ウェルス(Prestige Wealth)は先日、ビットコイン(BTC)レンディングを手がけるAntalphaの主導によって1億5000万ドルを調達し、テザーゴールドを買い集めたが、このこともまた、需要増加に寄与している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:テザー社のパオロ・アルドイノCEO(Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:Tether Eyes Fresh Investments to Push USAT Stablecoin to 100M Americans at December Launch


