- トレーダーがFRBの利下げを予想する中、ビットコインは11万4000ドル付近で推移した。
- 暗号資産市場全体は下落し、イーサリアム、ソラナ、バイナンスコインは約2%下落した。
- アナリストは、政府閉鎖の中でFRBがハト派的な姿勢に転換したことで市場が安定する可能性があると指摘しており、ビットコインは週5.8%の上昇を記録している。
ビットコイン（BTC）は10月27日、直近の高値を一時的に試した後、11万4000ドル付近で推移した。これは、今年2回目の利下げが見込まれるアメリカ連邦準備制度理事会（FRB）の会合を前に、トレーダーが慎重なポジションを取ったためだ。
暗号資産（仮想通貨）市場全体も下落に追随し、主要トークンはすべて小幅な下落となった。イーサリアム（ETH）は2.6%下落して4115ドルとなり、ソラナ（SOL）とバイナンスコイン（BNB）はそれぞれ約2%下落した。
今週序盤の軟調な動きは、米中貿易協議への楽観的な見方と世界的なリスクセンチメントの改善を受け、ビットコインが10万4800ドルから11万6000ドル近くまで上昇した週末の好調な動きを受けてのものだった。
ビットゲット・ウォレット（Bitget Wallet）のリサーチアナリスト、レイシー・チャン（Lacie Zhang）氏は、「ビットコインの回復は、機関投資家からの新たな資金流入と長期的な投資判断を裏付けている」と述べた。
「未決済建玉が250億ドルから300億ドル（約3兆7500億円から4兆5000億円、1ドル=150円換算）近くに増加したことは、市場に新たなレバレッジが流入していることを反映している。これは諸刃の剣であり、11万2000ドルを超えると上昇モメンタムが強まる可能性がある一方で、11万ドルを下回ると清算リスクが高まる可能性がある」とチャン氏は付け加えた。
この状況は、今月初めに見られた動きを反映している。新たなレバレッジが緩やかな上昇を追いかけたものの、11万7000ドルから12万ドル付近で抵抗に遭ったのだ。それでも、トレーダーは10月の売り急ぎ（記録的な190億ドル、約2兆8500億円の清算を引き起こした）の時ほど恐怖感を抱いていないようだ。
CoinGlassのデータによると、主要取引所の未決済建玉と資金調達率（ファンディングレート）は依然として高水準ながら安定しており、政策金利発表に向けてトレーダーが過度にリスクを取っていないことを示唆している。
アメリカ連邦公開市場委員会（FOMC）は10月28日・29日（現地時間）に開催され、市場は政策金利が25ベーシスポイント引き下げられ、4.00%から4.25%の範囲になると予想している。アナリストたちは、インフレ率が目標をわずかに上回っているにもかかわらず、これはFRBが金融緩和に舵を切っていることを示すこれまでで最も明確なシグナルだと見ている。
「ジェローム・パウエル（Jerome Powell）議長は、データに基づいたアプローチを強調しつつ、制御された流動性拡大を示唆するだろう」とチャン氏は述べた。「緩和と慎重さの間のこのバランスこそが、国債需要を安定させ、株式と暗号資産のセンチメントを押し上げているのだ」。
FRBのハト派転換は、アメリカ政府の閉鎖によって経済指標の発表が滞る中で起こった。パウエル議長は政策担当者に対し、当面はADP雇用統計などの民間指標への依存度を高めると伝えたと報じられており、トレーダーはこの微妙な動きを注視している。
ビットコインの週間上昇率は5.8%で、他のコイン全般の下落とは対照的だ。アナリストはこの乖離を、最近のボラティリティ上昇後の資本統合に起因するものとしている。 FxProのデータによると、暗号資産（仮想通貨）の時価総額は3兆9000億ドル（約585兆円）付近で推移しており、50日単純移動平均線（SMA）と200日SMAの両方を上回って推移している。
FxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ（Alex Kuptsikevich）氏は、「暗号資産市場は懸念を払拭したようだ」と述べている。「ビットコインは27日の朝に11万6000ドルを超え、200日SMAを支持線として反発した。11万7000ドルから12万ドルの領域は依然として強い抵抗線だが、持続的なブレイクアウトがあれば高値を更新する可能性があるだろう」。
これらの楽観的な見方にもかかわらず、長期保有者はエクスポージャーを削減し続けている。OnChainSchoolのオンチェーンデータによると、7年以上休眠状態にあったコインが過去最速のペースで移動しており、アーリーアダプターによる利益確定の動きが示唆されている。
アルトコインはアジア取引時間の早い時間帯にまちまちの取引となった。エックス・アール・ピー（XRP）は2.65ドル付近で取引され、SOLは202ドル付近で推移し、ドージコイン（DOGE）は3%下落しました。 トロン（TRX）は24時間で1.4%下落した。
FRBによる発表の週になり、リスク選好度が徐々に回復する中、市場は恐怖から忍耐へとシフトしつつあるようだ。次の方向性が上昇か下落かは、政策のサプライズよりも、トレーダーが再構築したレバレッジをどう扱うかに大きく左右されるだろう。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：Shutterstock
｜原文：Bitcoin Slips Ahead of Fed Week, DOGE, ETH Lead Losses as Traders Price in 4.25% Rate Cut
