JPYC、フィリピンでのステーブルコイン事業検討を開始──国際通信インフラのIPSと提携

日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行するJPYC社は10月28日、フィリピンなどで通信インフラ事業を展開するアイ・ピー・エス(IPS)およびそのフィリピン子会社InfiniVANとの間で、ステーブルコイン事業に関する業務提携の基本合意書(MOU)を締結したと発表した。

この提携は、フィリピンにおけるデジタル送金および決済インフラの構築を目的としている。

今回のMOUに基づき、両社はフィリピンペソ建てステーブルコインの発行・流通の共同事業、ならびにJPYC社が発行する日本円ステーブルコイン「JPYC」のフィリピン国内での流通について共同で検討を進める。

JPYCは、提携の背景としてフィリピンの国際送金における課題を挙げている。

2024年における在外フィリピン人労働者からの個人送金額は、GDPの約8%に相当する約400億ドルに達したが、既存の送金手段は手数料が高く手続きが煩雑である点が指摘される。

また、同国では人口の40%以上が銀行口座を保有しておらず、金融包摂の推進も重要な課題となっている。

JPYCは2025年8月に資金決済法に基づく資金移動業者として登録され、日本国内で10月27日に電子決済手段としてのdJPYC発行を開始した。

一方、IPSはフィリピンで通信ネットワーク事業や国際海底ケーブル建設などを手掛けており、現地の規制環境に関する知見を持つ。

フィリピン中央銀行(BSP)は既に仮想資産サービス提供者(VASP)を監督する枠組みを整備しており、事業環境も整いつつあるという。

|文:栃山直樹
|画像:リリースから

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