- スタンダード・チャータードは2025年のステーブルコインブームを背景に、分散型金融(DeFi)が伝統的な金融を急速に破壊しつつあると述べた。
- 同行は、トークン化された現実資産(RWA)は2028年までに2兆ドルに達し、ステーブルコインに匹敵する市場規模に達すると予測している。
- 同行は、DeFiの成長サイクルは自己強化的になると予測しており、アメリカの規制の遅れが主なリスクだとしている。
投資銀行のスタンダード・チャータード(Standard Chartered)は、分散型金融(DeFi)が、中央銀行のような信頼できる当局が運営する中央集権型システムに依存する伝統的金融(TradFi)に代わる強力な選択肢として台頭していると指摘した。
同行は、2028年末までにステーブルコイン以外のトークン化資産の時価総額が現在の350億ドル(約5兆2500億円、1ドル=150円換算)から2兆ドル(約300兆円)に達し、ステーブルコイン市場の予想規模に匹敵すると予測した。
10月30日の報告書で同行は、トークン化されたマネーマーケットファンド(MMF)と上場株式がそれぞれ約7500億ドル(約112兆5000億円)を占め、残りはファンド、プライベートエクイティ、コモディティ(商品)、企業債務、不動産が構成すると述べた。
スタンダード・チャータードのデジタル資産調査責任者のジェフ・ケンドリック(Geoff Kendrick)氏は、ブロックチェーン技術に基づくDeFiは中央当局を不要とし、代わりに透明性、アクセシビリティ、コードに基づく信頼で運営されると記した。
ケンドリック氏によると、2025年のステーブルコインの急成長は、DeFiをニッチな暗号資産固有の活動から主流の金融勢力へと移行させる加速要因となり、従来は伝統的金融機関が支配していた決済・貯蓄業務を非銀行機関が担うことを可能にした。
ステーブルコインの広範な利用は、先進国の市場における認知度を高め、オンチェーン流動性を注入することで、特に貸出・借入においてDeFiのさらなるイノベーションを促進していると報告書は述べている。
ステーブルコインとは、米ドルやゴールド(金)などの資産に価値を連動させた暗号資産だ。暗号資産市場において決済インフラを提供する主要な役割を担い、国際送金にも利用されている。
ケンドリック氏は、この流動性とDeFiバンキングの成長が、現実資産(RWA)トークン化の爆発的拡大の基盤を築いていると主張した。
スタンダード・チャータードはこれを自己増幅サイクルの始まりだと考えている。流動性が新たな商品を生み出し、それがさらなる流動性を呼び込むからだ。報告書が指摘した主なリスクは、アメリカが2026年の中間選挙までに規制の明確化を実現できない場合だが、これを基本シナリオとは見ていない。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:DeFi Set to Challenge TradFi With $2T in Tokenized Assets by 2028: Standard Chartered


