- ストラテジー(Strategy)社は、2025年の最初の9カ月間で営業利益120億ドル、純利益86億ドルを計上し、前年の赤字から黒字転換を果たすとともに、1株当たり利益27.71ドルを達成した。
- フォン・リー(Phong Le)CEOとマイケル・セイラー(Michael Saylor)エグゼクティブ・チェアマンは、2029年までに転換社債を削減し、世界中でデジタル信用事業を拡大することを強調した。
- ストラテジー株は、2四半期連続でS&P500への組み入れの要件を満たした。
マイケル・セイラー氏のビットコイン(BTC)トレジャリー企業ストラテジー社は、世界的な信用発行体としての主導的地位確立を目指す一環として、世界中の管轄区域における信用証券の機会を模索している 。
「我々はまた、世界中の管轄区域で信用証券のための基盤を積極的に構築しており、ストラテジー社を世界的に主導的な信用発行体となるよう位置づけている」と、同社の社長兼CEOフォン・リー氏は10月30日、第3四半期の決算説明会で述べた。
この動きは、ストラテジー社が米国を超えてその金融事業の足場を拡大し、ビットコインに裏付けられたデジタル資産ベースの信用商品において他市場での主導的立場を確立しようとする野心を裏付けるものである。
ストラテジー社は、第3四半期に営業利益39億ドル(約6000億円、1ドル=154円換算)、純利益29億ドルを計上した。前年同期はそれぞれ、4億3260万ドルの損失と3億4020万ドルの損失であった。
1株当たり利益は8.42ドルであり、2024年第3四半期の1.72ドルから増加した。
2025年の最初の9カ月間で、ストラテジー社の営業利益は前年同期の8億ドルの損失から120億ドルの黒字に増加し、純利益は5億ドルの損失から86億ドルの黒字に増加、1株当たり利益はマイナス2.71ドルからプラス27.71ドルに急増した。
ストラテジー社は年間6億8900万ドルの配当金および利払いの義務を負っており、内訳は累積型優先株による5億2200万ドル(STRF:1億2400万ドル、STRK:1億1100万ドル、STRC:2億9400万ドル)と、非累積型優先株STRDによる1億2500万ドルである。
転換社債は、額面で合計82億ドルであり、平均金利は0.421%で、年間利息は約3500万ドルに相当する。これらの債務の39%はイン・ザ・マネー状態にある一方、2029年および2030年満期のゼロクーポン債は、2028年のプット行使日までアウト・オブ・ザ・マネー状態(50億ドル)が続く。これらの債券の市場価値は合計106億ドルである。
リーCEOは、2029年までに転換社債をゼロにするという目標を再確認したが、これはS&Pがストラテジー社の信用格付けで指摘した点であり、同社にB-の信用格付けを与えている。
一方、セイラー氏は、同社の純資産価値倍率(mNAV)が約1.25と、2024年初頭以来の最低水準にあることを強調した。セイラー氏はこの要因として、ボラティリティが低下した成熟期にあるビットコイン市場、IBIT(ブラックロックが手がけるビットコイン現物ETF)の成功、ボラティリティを抑制するデリバティブの影響力拡大などを挙げた。
ただしセイラー氏は、優先株式を通じたデジタル信用拡大が時間をかけてmNAVを押し上げると予想している。
ストラテジー社は、今年に入って6種類の証券(普通株、永久優先株、転換社債)を通じて200億ドルを調達し、2024年に調達した226億ドルにほぼ匹敵する水準となった。
規制の面では、ストラテジー社は、9月30日に米財務省と米内国歳入庁(IRS)が発表した暫定的なガイダンスに基づき、未実現のビットコインの利益が法人代替ミニマム税の対象とはならない見込みであることを明らかにした。
ストラテジー株は、2四半期連続でS&P500への組み入れの要件を果たした。
ストラテジー株はプレマーケットの取引で6%上昇して、270ドルで取引されていた。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ストラテジー社のエグゼクティブ・チェアマン、マイケル・セイラー氏(Danny Nelson、CoinDeskが加工)
|原文:Strategy Eyes Global Credit Expansion With Focus on International Markets


