金融庁は10月31日、海外で組成された暗号資産(仮想通貨)ETFを原資産とするデリバティブ商品の国内提供が「望ましくない」とする公式見解を公表した。これは同日更新された「金融商品取引業等に関するQ&A」の中で明記されたものである。
同庁はまず、これらの取引の法的整理として、特定の暗号資産ETFの価格は実質的に原資産の価格に連動するため、これを原資産とするCFD(差金決済取引)は金融商品取引法が定める「暗号等資産又は金融指標に係るデリバティブ取引」に該当しうるとの考えを示した。
その上で、現状、日本国内において暗号資産ETF自体の組成や販売が認められていない事実を指摘し、このような「投資者にとって十分に環境整備されていない中での商品提供」は、投資家保護上の懸念があるとしている。
この発表は、IG証券が9月30日から国内で提供を開始したサービスが念頭にあると見られている。同社は、ブラックロック社の「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)」など、米国に上場する現物暗号資産ETFを原資産とするCFDを国内投資家向けに提供していた。

一方で、金融庁は国内での暗号資産ETF組成そのものについては前向きな姿勢も見せている。
8月に公表した「令和8(2026)年度 税制改正要望」の中では、暗号資産取引の分離課税導入の検討と並行し、「我が国でも暗号資産ETFの組成を可能とするための検討を税制面を含めて行う必要」があると明記していた。
|文:栃山直樹
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