- ビットコインの価格は清算とマクロ経済への懸念により、10万ドルを割り込んだ。
- 20億ドル以上の先物契約が清算され、損失の大部分をロングトレーダーが被った。
- ボラティリティが高いにもかかわらず、アナリストはビットコインの長期的な見通しを良好だとしている。
ビットコイン(BTC)は一時10万ドルを割り込んだ後、10万2000ドル付近まで反発した。これは、一連の清算とマクロ経済の動揺再燃により、暗号資産(仮想通貨)市場全体で数十億ドル規模の投機筋のポジションが消失したためだ。
CoinGlassによると、過去24時間で20億ドル(約3000億円、1ドル=150円換算)以上の先物契約が清算され、そのうち、ロングトレーダーによる損失は16億ドル(約2400億円)と、全体の約80%を占めた。

清算とは、トレーダーの初期証拠金の一部または全部の損失により、取引所がトレーダーのレバレッジポジションを強制的にクローズすることを指す。暗号資産先物取引所ではこのプロセスは自動化されており、レバレッジをかけた取引が急激な価格変動に見舞われると、プラットフォームが損失を補填するためにポジションを市場で売却する。
買い(ロング)ポジションの大量清算は投げ売りや短期的な底値の可能性を示唆する可能性がある。一方、売り(ショート)ポジションの大量清算は勢いが反転する局所的な天井の前兆となり得る。
トレーダーは清算が集中する領域を追跡することで、強制的な取引が発生するゾーンを特定できる。こうしたゾーンは短期的な支持線や抵抗線として機能する可能性がある。
今回の清算は9月以来最大規模のレバレッジ解消イベントの一つであり、数週間にわたる乱高下を経てポジションがどれほど脆弱化しているかを示している。
ビットコインは過去24時間で5.5%下落し、週間では10%超の下落となった。イーサリアム(ETH)は10%安の3300ドル付近、ソラナ(SOL)とバイナンスコイン(BNB)はそれぞれ8%、7%下落した。また、エックス・アール・ピー(XRP)、ドージコイン(DOGE)、カルダノ(ADA)も5~6%下落した。
暗号資産市場の時価総額は3兆5000億ドル(約525兆円)台まで後退し、1カ月以上ぶりの低水準となった。
フィンテックスタートアップ、ハッシュデックス(Hashdex)のグローバル市場インサイト部門責任者のゲリー・オシェア(Gerry O’Shea)氏はCoinDeskへのメールで次のように述べた。「リスク回避ムードが金融市場を覆い、暗号資産・株式・コモディティなど幅広い資産に影響を与えたため、ビットコインは本日10万ドル前後で取引された」。
「アメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)が今年さらなる利下げを見送る可能性への最近の憶測に加え、関税問題、信用市場の状況、株式評価額への懸念が市場の下落を後押しした。ビットコインの最近の価格推移は、長期保有者による売り圧力にも影響を受けている。これは資産が成熟することで予想される現象だ」とオシェア氏は付け加えた。
取引所別では、バイビット(Bybit)が6億2800万ドル(約942億円)の清算額を占め、ハイパーリキッド(Hyperliquid)が5億3300万ドル(約799億5000万円)、バイナンス(Binance)が4億2100万ドル(約631億5000万円)と続いた。単体最大の清算はHTXにおける1100万ドル(約16億5000万円)相当のBTC/USDTロングポジションだった。
こうしたボラティリティにもかかわらず、アナリストらは全体的な見通しは依然として建設的だと指摘している。
「10万ドルは心理的に重要な支持線かもしれないが、今日の価格動向がビットコインの長期投資対象としての弱体化を示すとは考えていない」とオシェア氏は述べた。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げを見送り、世界的なリスク選好が依然として脆弱な状況下で、トレーダーらは今後の数営業日がビットコインの反発を持続的な回復に転換できるか、あるいはさらなる清算の波が待ち受けているかを試す場となると指摘している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Bounces Near $100K, ETH, SOL, XRP Drop 6-10% as Bulls See $1.6B Liquidations


