CFD(差金決済取引)とは?基礎知識や口座開設の方法を徹底解説

少ない元手で始められるという特徴から、いま個人投資家の間で「差金決済取引」(CFD)が広がりつつある。そして日本の証券会社でもこのCFDの取り扱いを開始するケースが目立ち始めている。

CFDとは簡単に言えば、株式といった有価証券そのものなどの受け渡しはせず、買い値と売り値の差額のみを決済する取引方法のことだ。証拠金を用いてレバレッジを効かせた投資ができるため、大きな利益も狙うことも可能だ。

このCFDについて詳しく知らない人は、まずは基礎知識をおさえてから投資を検討しよう。

CFDとは?──日本語では「差金決済取引」

CFDとは「Contract For Difference」の略語で、日本語では「差金決済取引」と呼ばれる。CFDの取引サービスは1990年代にイギリスで始まり、欧米そして日本にも広がってきた経緯がある。

CFDの仕組みは?──買い値と売り値の差額のみを決済

CFDは前述の通り、有価証券などを保有せず、買い値と売り値の差額のみを決済する取引方法だ。対象となる資産は、個別株式や株式指数、債券、原油や金などとさまざまだが、原理はすべて一緒だ。

例えば個別株式を例にあげれば、株価が今後上がるか下がるかを予想し、価格が上昇すると見込んだ場合は「買いポジション」を、逆に価格が下落すると見込んだ場合は「売りポジション」を建てる。

仮に買いポジションを建てて予想通り株価が上昇した場合は、その取引を決済(クローズ)することで利益を得ることができる。売りポジションの場合はその逆で、株価が下落してから取引をクローズすることで、利益を上げることが可能となる。

買い/売りポジションと損益の関係性

・買いポジション → 株価が上がる → クローズ → 利益
・売りポジション → 株価が下がる → クローズ → 利益

では、買いポジションを建てたものにも関わらず、予想に反して株価が下落してしまうとどうなるのか。下落局面で取引をクローズしてしまうと損失を出すことになるが、CFDでは取引期限が設けられておらず、株価が上昇するまで待つという選択肢もある。

CFDにおけるレバレッジ取引──規模の大きな取引が可能に

CFDでは「証拠金」を用いることで、自分の資金を上回る規模の大きな取引をすることが可能だ。このことを「レバレッジ取引(証拠金取引)」と呼び、基本的にはFX(外国為替証拠金)取引と同様の仕組みとなる。ちなみにFXもCFDの一種だ。

そのため、例えば5倍のレバレッジを効かせてCFDを行う場合は、2万円の投資元本で10万円分の取引をすることが可能となる。

仮に価格が上昇すると見込んで買いポジションを建て、価格が5%上昇し10万5,000円になった時点でクローズしたとしよう。その場合は5,000円の利益が得られ、資金が2万円から2万5,000円に25%増えることになる。株価の上昇率が5%であるにも関わらずだ。

CFDにおける「追証」と「ロスカット」

ただし、レバレッジ取引はこのように少ない資金で大きな利益も狙えるが、一方で損失が大きく膨らみやすいというリスクがあることも覚えておきたい。証拠金の金額以上の評価損が出ても取引を維持したい場合は、「追証(おいしょう)」を入金する必要が出てくる。

一方でCFDでは「ロスカット」という仕組みがある。この仕組みを利用すると、証拠金を上回る損失が出る前にポジションが自動で決済され、証拠金として差し入れた資金は最悪ゼロになることはあっても、それ以上の損失は回避することが可能だ。

CFDを始めるためには?──口座から取引開始までは3ステップ

CFD取引を開始するためには、まず証券会社で専用の取引口座を開く必要がある。CFDに対応している日本の証券会社としては、楽天証券やDMM.com証券、GMOクリック証券などがあるが、口座の開設方法に若干の違いはあるものの、大体の流れは一緒だ。

以下、口座開設から取引開始までの基本的な流れを紹介していく。

(1) 証券会社の公式サイトから開設手続きを行う

まずはCFDの取り扱いがある証券会社の公式ウェブサイトを開き、CFD用口座の開設申し込みを行うのが第一歩だ。

口座開設の申し込みフォームに必要事項を記載し、そのあとでマイナンバー確認書類など指定された本人確認書類を提出する。提出方法としてはウェブ上でのアップロードのほか、メールやFAXでの提出に対応しているケースも多い。

(2) ログインIDやパスワードの通知を受ける

口座開設が完了すると、取引ページや取引ツールにアクセスするためのログインIDとパスワードが発行される。ログインIDとパスワードは郵送書類やウェブ上で通知される。

(3) 取引に必要な資金を口座に入金する

取引ページや取引ツールにアクセスできるようになっても、資金を入金しなければCFDを開始することはできない。

入金方法としては、銀行の窓口やATMなどを利用する方法や、各証券会社が提携している銀行の口座からオンライン振込を行う方法がある。入金方法によって手数料が無料のケースとそうでないケースがある。

証券会社を選ぶ際にはよく比較を

この記事ではCFDの基礎知識を包括的に解説してきた。証券会社によって、CFDの手数料や取扱商品や取扱銘柄、取引ツールの使い方が異なるため、証券会社を選ぶ際にはよく比較することもポイントだ。