CFD・先物取引・信用取引の違いは?取引期限やレバレッジ倍率で比較

短期売買で大きな利益を狙える投資手法の1つに、「CFD」(差金決済取引)がある。レバレッジを効かせることできるからだ。また、「買い」ではなく「売り」から取引を開始することもできるため、相場が下落傾向にあるときでも成果を挙げるチャンスがある。

このCFDは「先物取引」や「信用取引」と似た側面を有している。どの投資手法でもレバレッジを効かせることが可能だからだ。ただし、取引の仕組みや取引期限の有無、レバレッジの最大倍率などで違いあり、この3つの取引手法は似て非なるものだ。

CFD・先物取引・信用取引──3つの取引方法の仕組みをおさらい

3つの取引手法の違いを理解するためには、まずそれぞれの取引の基本的な仕組みを知っておく必要がある。

CFD──思い通りに価格が動いたあとで決済すると利益

CFDは、現物資産を保有せずに将来の値動きを予想し、狙った方向に価格が動いたときに利益を出せる取引方法だ。

価格が上がると思ったときは「買いポジション」、逆に価格が下がると思ったときは「売りポジション」を立て、思い通りに価格が動いたあとで決済すると利益が生じる。

先物取引──定められた期日までに取り決めた価格での売買を約束

先物取引とは、特定の資産・商品を、現時点で取り決めた価格で、将来の定められた期日までに売買することを約束する取引だ。

取引期日までに価格上昇すると予想する場合は「買いポジション」を、逆の場合は「売りポジション」を立て、予想通りに価格が動けば、最初に取り決めた価格との差額分を利益として受け取ることができる。

信用取引──保証金として預け、最大3.3倍の株式取引が可能

信用取引は、現金や株式などを保証金として証券会社に預けることで、その保証金の金額・評価額の最大3.3倍の株式売買を可能にする取引だ。

信用取引では、証券会社から代金を借りて株を購入する「買建」と、証券会社から株券を借りてその株を売る「売建」という2つの取引方法があり、買建の場合は将来株価が上がった場合に、売建の場合は逆に下がった場合に利益を残せる。

CFD・先物取引・信用取引の共通点・違いは?

このように説明すると、それぞれの取引方法で共通点と異なっている点があることに気付いていただけると思う。ここからは「取引の起点」「取引の期限」「レバレッジ倍率」「対応している証券会社」の4つの視点で、それぞれの特徴を比較してみる。

取引の起点──いずれも「買い」と「売り」のどちらかでも取引開始が可能

3つの取引方法ではいずれも、「買い」と「売り」の両方から取引を始めることができ、共通点であると言える。この3つの取引方法とよく比較されるのが株の現物取引で、株の現物取引では「買い」からしか入ることができない。

取引期限──CFDはなし、先物取引はあり、信用取引は取引の種類による

取引期限に関して言えば、取引期限が基本的には設けられていないCFDに対し、先物取引では取引期限が定められている。

信用取引の場合は取引期限が設けられている場合と設けられていない場合があり、証券取引所がルールを決める「制度信用取引」では6カ月以内だが、証券会社がルールを決める「一般信用取引」では返済期限が無期限であるケースもある。

レバレッジ倍率──金先物の場合は70倍を超えることも

3つの取引方法の全てでレバレッジを効かせた取引をすることが可能だ。いずれの取引方法でも「証拠金」を証券会社に預け、手元の資産以上の大きな取引を可能にする。ただし、レバレッジの「倍率」には違いがある。

CFDの場合、証券会社との取引となる「店頭CFD」では対象が個別株の場合は5倍以下、株価指数の場合は10倍以下、金や銀などの商品の場合は20倍以下、債券の場合は50倍以下だ。

先物取引の場合、取引対象の商品や価格変動によって最大レバレッジが異なってくるが、特にレバレッジが高いとされる金の場合は70倍を超えることもある。また信用取引の場合はすでに触れた通り、最大倍率は3.3倍となっている。

対応している証券会社──歴史が浅いCFDは対応証券会社も少ない

CFDと先物取引、信用取引の3つの中で、最も対応している証券会社が少ないのがCFDだ。その理由としては、CFDが日本で初めて証券会社で取り扱われるようになったのは2005年11月で、先物取引や信用取引と比べるとまだ歴史が浅いことが挙げられる。

 CFD先物取引信用取引
取引の起点いずれも「売り」と「買い」のどちらかから可能
取引期限なしありなしor あり
レバレッジ倍率債券なら最大50倍金なら70倍以上も最大3.3倍
対応している証券会社少ない多い多い

共通点もあれば異なる点も

このように、CFDと先物取引、信用取引には、共通点もあれば異なる点もある。こうした点をよく理解して、自分の投資スタイルに合った取引方法を選ぶと良いだろう。

ちなみにレバレッジの最大倍率は、金融庁などによって見直しが行われることもあるので、定期的に最新情報を入手するようにしたいところだ。

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