暗号資産のマイニングとは? その特徴と個人での参加について解説

暗号資産(仮想通貨)のマイニングとは、ビットコインをはじめとする仮想通貨の取引記録に必要な難解な計算作業を、コンピュータを用いて行い、その成功報酬として新たな仮想通貨を得ることをいう。本記事では、マイニングの始め方や注意点について解説する。

仮想通貨のマイニングとは

仮想通貨を正常に取引する上では取引台帳にすべての取引記録を記録する必要がある。この取引台帳はすべての取引データとの整合性を保ちながら更新を続けなければならない。更新を行うためには正確で速い計算処理ができるコンピューターが必要だ。

この記録作業に有志のコンピューターリソースを借りることで膨大な計算処理が必要な問題点を解決している。初めて記録した人には報酬として仮想通貨が発行されるため、報酬を得るためにコンピューターリソースを記録作業に貸す行為をマイニング(採掘)と呼ぶ

ビットコインを始めとする複数の仮想通貨は有志によるマイニングを利用して取引台帳を正確な状態にしているため、安全性が保たれ安心して取引ができるようになっている。

仮想通貨マイニングの種類

仮想通貨マイニングには大きく分けて3つの種類が存在する。

  • ソロマイニング
  • プールマイニング
  • クラウドマイニング

ソロマイニング

ソロマイニングは1人でマイニングを行う方法だ。仲介者を介さず利益を分ける必要がないので、報酬に対する利益率は最も高いが報酬を得るのは最も難しい。なぜなら、報酬を得られるのは最初に記録した人のみであるため、マイニング競争が激化しているからだ。事業的規模で行う業者もいるので個人での太刀打ちが難しく、求められる機材や知識のハードルも高い。

プールマイニング

プールマイニングは複数の人と協力してマイニングする方法だ。高性能なコンピューターやハイレベルな知識のない人はこの方法でマイニングを始めるのが現実的である。報酬獲得の難易度は高くないが、分配されるため高い利益を得るのは難しい。

クラウドマイニング

クラウドマイニングはマイニングを行っている団体に出資して利益を得る方法であるため、上述した2つの方法とは性質が異なる。自身でマイニングして通貨を得るのではなく、クラウドファンディング形式で収益を獲得する仕組みだ。マイニング用の機材も不要である。

個人でプールマイニングを行う方法

前述のとおり、現在は競争が激化した状況のため自分1人で行うソロマイニングは現実的でない。ここではプールマイニングを行う方法を解説したい。

マイニング用のパソコンを用意

マイニング用のパソコンは「GPU(Graphics Processing Unit)」搭載のものが望ましいだろう。この分野は「NVIDIA(エヌビディア)社」や「AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)社」製のシェアが高い。GPUは「グラフィックボード(グラフィックカード)」と呼ばれるモジュールに組み込まれていることが一般的だ。

関連記事:エヌビディア、暗号資産マイニング専用GPUの生産を再開か

CPU(Central Processing Unit)のみ搭載した一般的なパソコンでもマイニングは可能だが、GPUと比較し処理能力に劣る。プールマイニングは提供した処理能力に応じて報酬が分配されるため効率が悪い。

専用のソフトウェアをインストール

パソコンの準備ができたらマイニング用のソフトウェアのインストールを行う。ソフトウェアはマイニングプール運営者などが提供している。

ソフトウェアを通じマイニングプールに参加し、パソコンを稼働させればプールマイニングが始まる

個人でマイニングを行う場合の注意点

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プールマイニングにおける注意点として以下5つを紹介したい。

  • 主要な仮想通貨で報酬を勝ち取ることは困難
  • 設備費用がかかる
  • 電気代が高額になりやすい
  • マイニング収益には税金がかかる
  • 脆弱なソフトウェアの存在

主要な仮想通貨で報酬を勝ち取ることは困難

マイニングは他のマイナーとの競争に勝って初めて報酬を受け取れる。ビットコインなどの主要銘柄は競争が激しく、報酬の獲得は難しいだろう。あまり知られておらず、今後の有望な仮想通貨を選ぶことが大切だ。その時点で最新の情報を収集しておきたい。

設備費用がかかる

GPUはCPUよりも一般的に高い価格で販売されている。特に近年はマイニングのほかゲーム用パソコンに使用される例も増え、価格は高騰した。

またGPUやCPUは使用に応じて劣化が起こる消耗品だ。継続的に設備費用の負担には注意したい

電気代が高額になりやすい

マイニングは電力を多く使うため、電気代が高額になりやすい。上述の設備費用と電気代がマイニングを行う上での主なランニングコストだ。

報酬よりもランニングコストが大きくなる可能性には注意してほしい。

マイニング収益には税金がかかる

マイニングで得られた報酬は、その時点の価格(時価)が雑所得上の収入に計上される。設備費用や電気代などの必要経費は差し引き、利益が残った場合は雑所得として課税される。

雑所得は総合課税として給与などの所得と合算される。そのため税率はもともとの所得が大きいほど高くなる。本業で高い所得を得ている方ほど税負担が大きくなりやすいため注意が必要だ。

脆弱なソフトウェアの存在

マイニングソフトウェアはこれまで不正な攻撃にさらされるケースがあった。2018年にはイーサリアムなどのマイニングに使われるソフトウェア「Claymore Mining」が標的となり、同ソフトウェアを利用するパソコンに感染しマイニング収益を奪う「Satori Coin Robber」と呼ばれるマルウェアが発見された。

ソフトウェアはさまざまなものがあるが、その脆弱性が狙われて攻撃を受ける可能性はゼロではない

仮想通貨マイニングのやり方のポイント

仮想通貨マイニングのやり方のポイントは2つある。

  • 個人ではなく集団でおこなう
  • マイナーなアルトコインを狙う

個人ではなく集団でおこなう

上述した通りソロマイニングは事業者に対して個人で競争するのは難しい。マイニングは自身の所有しているコンピューターを利益に還元できる仕組みであるため、パソコンのスペックに自信のありそれを活かしたい人はプールマイニングを始めよう。モナコインのマイニングを行なうプールマイニングには「VIPPOOL」がある。アカウントの登録とソフトをインストールだけでマイニングが始められるのでハードルも低い。

マイナーなアルトコインを狙う

ビットコインマイニングは知名度が高く、高い収益が見込めるがその分競合相手が多い。マイナーなアルトコインのほうが競争相手は少ないのでマイニングしやすい。ただし、取引所では取り扱いがないマイナーなアルトコインは取引所が取り扱っていないことも多いので、換金手段が少ないことを留意しておきたい。

仮想通貨で利益を得るならマイニングよりもトレードが効率的

今あるコンピューターや機材を利用してマイニングするのはすでに初期投資が完了している状態にあるため効率的といえるかもしれない。しかし、マイニングのために高いコンピューターや機材を購入しても初期投資額を回収するのに時間がかかり、最悪の場合は回収しきれないことも考えられる。

もし、マイニング用の機材を購入できる費用があるなら、そのお金で仮想通貨をトレードしたほうが効率的に利益を上げることが可能だ。パソコンのリソースを貸すだけで安定した収益を上げられるマイニングは魅力的に見えるかもしれないが、マイニングによって獲得した利益も換金前の仮想通貨価格の上下次第で変化してしまう。

つまり、仮想通貨をトレードする場合でもマイニングする場合でも市場価格に影響される点は変わらない。マイニングで永久に利益を上げられる保証もないので、仮想通貨に投資して利益を上げるなら、マイニング環境に投資するよりも仮想通貨自体に投資をしたほうが効率的である。

仮想通貨マイニングは赤字になる場合がある

仮想通貨マイニングは電気代や、設備投資の費用によっては赤字になることもある。トレードをする場合は損をする可能性もあるが、マイニングを計画的に行わない場合も間接的に損をすることが考えられる。マイニングの現状を理解した上で現在ある設備でマイニングを始めるのか、トレードも合わせて始めるか、トレード一本に絞るべきかを検討しよう。

マイニングに関する世界のニュース

日々、仮想通貨マイニング業界は変化するため、マイニングを始める上で動向のチェックは欠かせない。ここからはマイニングに関する新たな情報を紹介するので参考にしてほしい。

中国政府がマイニングを禁止、一時「ゼロ」に

中国政府は仮想通貨に対し、厳しい姿勢をとっている。政府は仮想通貨が違法な資産取引や資金洗浄を後押しして経済の秩序を乱す恐れがあると見ているのだ。また、デジタル人民元との競合や、マイニングで電力を大量に消費することによる環境被害も懸念している。

日経新聞によると、中国の中央銀行である中国人民銀行は2021年5月にマイニングを禁止する方針を打ち出し、次々と取り締まりを行った。2020年秋までは世界の約3分の2を占めていた中国のシェアは、この規制の影響で大幅に縮小し、22021年夏以降は「ゼロ」になった

なぜ?マイニングシェア、中国2位に再浮上

その中国が、再び世界シェアで2位に浮上した。ケンブリッジ大学の研究チームが2021年9月から2022年1月までの世界全体のビットコインマイニングに関するデータを公表したことで判明した。

そのデータでは、政府によってマイニングが禁止されたはずの中国が、世界2位にランクインしているのだ。これは、中国国内で秘密裏にマイニングを続ける「アンダーグラウンドな採掘活動」を続ける業者が多いということを示唆しているという

中国でのマイニングが政府による規制直後に「ゼロ」になっていたことについても、仮想のプライベートネットワーク(VPN)やプロキシを利用して、自身が中国にいることを隠しながらマイニングを続けていたためだと見られている。今後の中国の動向にも注目しておきたい。

太陽光発電でビットコイン採掘の動きも

マイニングは大量の電力を必要とすることは前述した通りだが、最近はそれによる環境負荷が問題視されている。それを受けて、電力の供給源として太陽光発電を活用するサービスも出てきた。

再生可能エネルギーを活用したビットコインマイニング事業を展開する「Fuel Hash(フエルハッシュ)」(東京都・千代田)は、2022年夏にも、国内の太陽光発電を使った仮想通貨の採掘サービスを始めるという。投資家などに太陽光パネルとマイニング機器を購入してもらい、同社がパネルを国内に設置して、生み出した電力でマイニング機器を代理運用する仕組みだ。

投資家はマイニングによる利益を得られるだけではなく、条件を満たせば環境省の補助金も受け取れるため、機器の即時償却が可能となり、節税効果も期待できる。太陽光発電を活用したマイニングサービスは、今後さらに注目が高まりそうだ。

関連FAQ

仮想通貨とは?

仮想通貨とは、インターネット上でモノやサービスの対価として取引できる財産価値である。資金決済法では、仮想通貨を次の性質を持つものと定義している。

「不特定の者に対して、代金の支払いなどに使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドルなど)と相互に交換できる」「電子的に記録され、移転できる」「法定通貨又は法定通貨建ての資産(プリペイドカードや電子マネーなど)ではない」

代表的なものには、ビットコインやイーサリアムなどがある。一般的に、「交換所」や「取引所」と呼ばれる仮想通貨交換事業者から入手・換金することができる。国や中央銀行によって発行された法定通貨とは異なり、需給バランスなどの要因によって価値が大きく変動するという特徴がある。

仮想通貨のマイニングとは?

マイニングとは、ビットコインをはじめとする仮想通貨の取引承認に必要な難解な計算作業(コンピュータ演算)をいう。最も早く処理できた人が新たな仮想通貨を報酬として得ることができる。

マイニングを行う個人や法人は「マイナー(採掘者)」と呼ばれる。仮想通貨には、中央銀行のような管理者が存在しないため、この作業が仮想通貨の安全性や信頼を担保している。

どんなマイニングがある?

マイニングには主に以下の3種類がある

1種類目はソロマイニングで、1人で行う方法をいう。利益率は最も高いが、報酬を得るのは最も難しい。

2種類目はプールマイニングで、複数人と協力して行う方法だ。高性能なコンピューターや高度な知識を持たない人はこの方法で、利益は分配されることになるが、初心者におすすめの方法だ。

3種類目は、クラウドマイニングだ。マイニングを行う団体に出資して利益を得る方法で、名前の通り、クラウドファンディング形式で収益を獲得する仕組みとなっている。

マイニングを始めたい!何を準備したらいい?

初心者におすすめのプールマイニングを始めるのに必要な手順を紹介しよう。まずは、専用のパソコンを購入する必要がある。処理能力の高い「GPU(Graphics Processing Unit)」搭載のものが望ましい。次に、専用のソフトウェアをインストールする。プールマイニングが運営するアプリがあるので、それに参加し、パソコンを稼働させれば始めることができる。

マイニングを始める前に・・・心得ておくべき注意点は?

マイニングには次のような注意点がある。「主要な仮想通貨で報酬を勝ち取ることは難しい」「設備費用がかかる」「電気代が高額になりやすい」「マイニング収益には税金がかかる」「脆弱なソフトウェアが存在している」の5点だ。このようなリスクがあることを理解しておきたい。

マイニングで稼ぐためのポイントは?

1つ目は、個人ではなく、集団でおこなうことだ。競争が激化しているマイニング市場において、ソロマイニング、つまり個人で事業者らに勝つのは難しい。まずは集団から始めるのが得策だ。従って、プールマイニングから始めることをおすすめしたい。

2つ目は、マイナーな仮想通貨を狙うことだ。多くの種類がある仮想通貨だが、ビットコインマイニングは知名度が高いため、競争が激しい。あまり知られていない仮想通貨を狙う方が、まだ勝ち目があるだろう。

参考文献

VIPPOOL – Monacoin採掘所(VIPPOOL)
https://vippool.net/index.php

Coincheck(コインチェック)で現在取引できる通貨は何種類?仮想通貨(暗号資産)の購入手順(Coin check)
https://coincheck.com/ja/article/336

手数料(Coin check)
https://coincheck.com/ja/info/fee

暗号資産(仮想通貨)チャート一覧・マーケット情報(GMOコイン)
https://coin.z.com/jp/corp/information/

手数料(入出金・取引)(GMOコイン)
https://coin.z.com/jp/corp/guide/fees/

つみたて暗号資産(GMOコイン)
https://coin.z.com/jp/corp/product/info/tsumitate/

DMM Bitcoinが選ばれる理由(DMM Bitcoin)
https://bitcoin.dmm.com/service

新規口座開設完了で、全員にもれなく2,000円プレゼント!(DMM Bitcoin)
https://bitcoin.dmm.com/campaign/20210831_01

国税庁 仮想通貨に関する税務上の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq.pdf