暗号資産ETFとは?いつ日本で買える?具体的な銘柄も含めて徹底解説

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ビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)といった暗号資産(仮想通貨)のETFが、海外の証券取引所で売買され始めている。仮想通貨ETFとはどのような金融商品で、仮想通貨そのものへの投資とは、いかなる違いがあるのか。代表的な仮想通貨ETFを解説しつつ、説明する。

「仮想通貨ETF」とは?

そもそも仮想通貨ETFとはどのような金融商品なのか。

「ETF」とは?

まずETFとは「上場投資信託」のことで、証券取引所に上場している投資信託のことを指す。上場しているため、株式と同様に証券取引所で売買をすることが可能だ。そして仮想通貨ETFとは、複数の仮想通貨の値動きに連動した運用成果を目指すETFのことだ。

そして冒頭説明した通り、ETFは証券取引所に上場している金融商品であるため、仮想通貨ETFであれば仮想通貨取引所に口座を持っていなくても、間接的に仮想通貨に投資することができる

「ビットコインETF」との違いは?

仮想通貨ETFに似たETFとしては「ビットコインETF」がある。ビットコインETFはビットコインのみの値動きに連動したETFであるのに対し、仮想通貨ETFは複数の仮想通貨で構成されるインデックスに連動しているという違いがある。

具体的な例を挙げれば、ビットコイン(BTC)70%、イーサリアム(ETH)20%、イーサリアムクラシック(ETC)5%、ライトコイン(LTC)5%、というように、仮想通貨ETFは複数の仮想通貨で構成されている。

また、仮想通貨ETFはビットコインETFに比べて、リスクが低めに抑えられているという特徴がある。仮に構成通貨の1つが暴落しても、仮想通貨ETF全体に与える影響は1種類の仮想通貨に投資しているときよりも小さく済むからだ。

取引所名 取扱数 手数料(BTC) 最低取引数量 スマホ対応 セキュリティ
DMM Bitcoin
(DMM ビットコイン)
銘柄数20種類 手数料(BTC)販売所:スプレッド 最低取引数量0.0001BTC スマホ対応注文・分析に優れたスマホアプリ セキュリティ顧客資産(日本円及び仮想通貨)の分別管理を実施
Coincheck
(コインチェック)
銘柄数17種類 手数料(BTC)取引所:0% 最低取引数量円建てで500円相当額 スマホ対応投資初心者でも見やすく分かりやすい優れたUI/UX セキュリティ国内外複数の情報セキュリティ企業等を通じ、
情報システムの信頼性、安全性、効率性のモニタリングを実施
bitFlyer
(ビットフライヤー)
銘柄数14種類 手数料(BTC)取引所:0.01〜0.15%/販売所:スプレット 最低取引数量取引所:0.001BTC
販売所:0.00000001BTC
スマホ対応スマホアプリでビットコインFXも取引可能 セキュリティマルチシグを他社に先駆けて導入

仮想通貨ETFはどのようにして承認される?

続いて、仮想通貨ETFが承認されるまでの流れを説明しておく。

まず資産運用会社が仮想通貨ETFを各国の金融規制当局に申請する。そして金融規制当局がその申請を承認すると、仮想通貨ETFがその国の証券取引所で上場する。そうすると、市場でその仮想通貨ETFの売買取引がスタートする。

ここでいう「金融規制当局」とは、アメリカの場合は「米証券取引委員会(SEC)」が相当する。

仮想通貨ETFはどうすれば購入できる?

仮想通貨ETFを購入するためには、自身が証券口座を有している証券会社が仮想通貨ETFを取り扱っている必要がある

仮想通貨ETFはブラジルなどですでに承認・上場しているが、2021年9月時点では日本の証券会社ではそれらの仮想通貨ETFを取り扱っていない。

アメリカで仮想通貨ETFが承認されれば日本の証券会社が取り扱う可能性も出てくるが、2021年9月時点ではアメリカで仮想通貨ETFはまだ承認されておらず、日本の証券会社を通じて購入できるようになるにはまだ時間がかかりそうだ。

すでに上場している仮想通貨ETFは?

参考までに、世界ですでに上場している仮想通貨ETFの1つを紹介しておこう。

Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF

「Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF」は、2021年2月からバミューダ証券取引所で取引が始まった仮想通貨ETFだ。提供会社は、米ナスダックとブラジルを拠点とする投資企業Hashdexだ。

この仮想通貨ETFは、ナスダックの仮想通貨指数「Nasdaq Crypto Index」(NCI)に連動する投資成果を目指している。ナスダックの公式サイトによれば、2021年9月15日時点ではNCIの構成通貨は以下のように説明されている。

仮想通貨構成比率
Bitcoin(BTC)62.39%
Ethereum(ETH)31.7%
Litecoin(LTC)1.34%
Chainlink(LINK)1.25%
Bitcoin Cash(BCH)1.01%
Uniswap(UNI)0.90%
Stellar Lumens(XLM)0.75%
Filecoin(FIL)0.66%
出典:ナスダック公式サイト

ビットコインとイーサリアムを中心に、ライトコインなどその他のアルトコインで構成されている。ちなみにHashdex Nasdaq Crypto Index ETFについては、ブラジルでも2021年4月までに上場している。

プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETF

プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETFは、米国の資産運用会社プロシェアーズが提供し、2021年10月からニューヨーク証券取引所アーカ(NYSE Acra)で取引されている。

NYSE AcraはNYSEグループの傘下にありながら、NYSEからは独立して運営されている。上場基準もNYSEとは異なり、新興企業が中心だ。

米国では、株やETFの個々の銘柄にティッカーと呼ばれるアルファベットが付される。これは個々の銘柄を識別するためのもので、プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETFの場合は「BITO」だ。

BITOは米国初のビットコイン連動型ETFで、投資成果はビットコインのパフォーマンスに基づく。証券口座で株やETFを取引することには慣れているが、仮想通貨の取引用口座を開設してビットコインへ直接投資することには抵抗を感じる投資家向けにつくられたという。

XBTO Bitcoin Futures Fund

米国の仮想通貨投資企業Valkyrieが提供するXBTO Bitcoin Futures Fundも、米国の株式市場の1つであるナスダックに上場される予定だと報じられている

ナスダックはハイテク株比率が高い市場で、XBTO Bitcoin Futures Fundもビットコインに連動するETFの1つだ。

Valkyrieが提供する仮想通貨ETFとして上場が認められたのはXBTO Bitcoin Futures Fundが2例目で、1例目のBitcoin Strategy ETF(BTF)はポートフォリオに米債券が入るが、XBTO Bitcoin Futures Fundはビットコインだけでの運用になるという。

仮想通貨ETFの今後

仮想通貨ETFに関しては、2021年8月までにカナダで資産管理企業Evolve Fundsが金融規制当局に申請を行っている。承認されるかどうかはまだ不透明だが、Evolve Fundsが運用するビットコインETFはすでにカナダで上場しており、仮想通貨ETFも承認される可能性が高そうだ。

そして今後の注目は、世界最大のマーケットであるアメリカで、いつ仮想通貨ETFが承認されるか、という点だ。アメリカで承認されればその後、様々な国で仮想通貨ETFの申請が活発化するとみられているからだ。

また将来的には、「仮想通貨と国債」「仮想通貨と株式」「仮想通貨と国債と株式」というように、仮想通貨とほかの資産と組み合わせたETFも誕生していくはずだ。こうしたETFを「バスケット型ETF」などと呼ぶ。

バスケット型ETFにおいて、仮想通貨よりもボラティリティ(値動きの振れ幅)が低い資産と組み合わせられることで、高いボラティリティに躊躇して仮想通貨投資をしていない個人投資家も、手が出しやすくなる。

取引所名 取扱数 手数料(BTC) 最低取引数量 スマホ対応 セキュリティ
DMM Bitcoin
(DMM ビットコイン)
銘柄数20種類 手数料(BTC)販売所:スプレッド 最低取引数量0.0001BTC スマホ対応注文・分析に優れたスマホアプリ セキュリティ顧客資産(日本円及び仮想通貨)の分別管理を実施
Coincheck
(コインチェック)
銘柄数17種類 手数料(BTC)取引所:0% 最低取引数量円建てで500円相当額 スマホ対応投資初心者でも見やすく分かりやすい優れたUI/UX セキュリティ国内外複数の情報セキュリティ企業等を通じ、
情報システムの信頼性、安全性、効率性のモニタリングを実施
bitFlyer
(ビットフライヤー)
銘柄数14種類 手数料(BTC)取引所:0.01〜0.15%/販売所:スプレット 最低取引数量取引所:0.001BTC
販売所:0.00000001BTC
スマホ対応スマホアプリでビットコインFXも取引可能 セキュリティマルチシグを他社に先駆けて導入

関連ニュースには目を通しておこう

2021年9月時点では、仮想通貨ETFは日本の証券取引所を通じて売買することはできないが、アメリカで承認・上場する流れが加速すれば、いずれは気軽に売買できる日が来ると考えられる。

ちなみに仮想通貨ETFの承認のニュースは、仮想通貨の相場にも大きな影響を与える。仮想通貨ETFの承認によって、仮想通貨への信頼度が高まることが期待されるからだ。そのため今は日本の証券取引所を通じて売買ができなくても、関連ニュースには目を通しておきたい。

申請や却下のニュースが飛び交う状況に

仮想通貨ETFの承認をめぐっては、米国の市場監視機関「証券取引委員会(SEC)」と承認を申請する運用会社側との間で攻防が続いている

SECは2021年10月に初めてプロシェアーズのビットコイン連動型ETFを承認したが、2022年6月には世界最大の仮想通貨投資会社グレースケールが上場申請していたビットコイン連動型ETFを却下した。

グレースケール側はすぐさまSECを提訴するなど、申請却下に反発を強めている。プロシェアーズのビットコインETFが認められてグレースケールが却下されたのはなぜか。

2つはいずれもビットコイン連動型のETFでありながら、連動するビットコインが現物か先物かの違いがある。先物とは、前もって定められた期日にあらかじめ決められた価格で商品の売買を行うことを約束する取引を意味し、プロシェアーズのビットコインETFは先物型だった。XBTO Bitcoin Futures Fundが運用するのも先物だ。

一方、グレースケールが申請したのは現物型で、SECは現物型については、詐欺などを未然に防止し、投資家と公共の利益を保護するための基準を満たしていないと指摘している。

オーストラリアで新たな3つの仮想通貨ETFが取引開始

米国市場で先物型だけでなく現物型の仮想通貨ETFが承認されれば、仮想通貨の信頼性が高まり、より多くの資金を呼び込むことが期待できる。米国の規制当局が今後、申請される仮想通貨ETFに対してどのような判断を下すかは引き続き焦点の1つだ。

一方、オーストラリアでは、ビットコインとイーサリアムの現物価格に連動するETFの取引がすでに始まっている。オーストラリアで取引されている仮想通貨現物型ETFには以下のものがある。

  • ETFS 21Shares Bitcoin ETF(EBTC)
  • ETFS 21Shares Ethereum ETF(EETH)
  • Cosmos-Purpose Bitcoin Access ETF(CBTC)
  • Cosmos-Purpose Ethereum Access ETF(CPET)

EBTCとEETHはETFセキュリティーズが、CBTCとCPETはコスモス・アセット・マネージメントが提供しており、いずれもオーストラリアの資産運用会社だ。仮想通貨現物型ETFの承認がどのように広がっていくかも注目だ。

多くの仮想通貨の取り扱いがある取引所

初心者でも利用しやすい国内の取引所で多くの仮想通貨を取り扱っている取引所を3つ紹介する。3つの取引所の比較表を下記にまとめた。

取引所/販売所取扱銘柄数手数料
Coincheck17種類取引所:無料
販売所:0.1〜5.0%
GMOコイン14種類取引所:
Maker:-0.01%
Taker:0.05%
販売所:無料
bitFlyer13種類取引所:0.01~0.15%
販売所:無料
※Makerは受取の手数料、Takerは支払の手数料

関連FAQ

仮想通貨ETFとは?

仮想通貨ETFは、仮想通貨の値動きに連動した運用成果を目指すETF(上場投資信託)のことだ。ETFは株式と同様に証券取引所で売買できるため、仮想通貨を取引するための口座を持っていなくても、間接的に、仮想通貨に投資するのと同様の効果を持つ。

仮想通貨ETFはすでに取引されているのか?

仮想通貨ETFの取引はすでに海外で始まっている。米国では、仮想通貨の先物に連動したETFが規制当局によって承認されているが、現物に連動するETFの申請は却下されている。今後、米国の規制当局が下す判断が仮想通貨ETFの広がりに影響するとみられる。

仮想通貨ETFはどこで取引できるのか?

仮想通貨ETFが売買されているマーケットは、各ETFによって異なる。例えば、米国のプロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETFはニューヨーク証券取引所アーカで取引されている。

仮想通貨ETFに投資するメリットは?

仮想通貨は、サイバー攻撃による流出のおそれなど、さまざまなリスクをはらむ。価格変動率(ボラティリティ)が大きいのも特徴で、ハイリスク・ハイリターンな投資だ。仮想通貨ETFであれば、仮想通貨に直接投資するわけではなく、構成通貨を分散することもでき、リスクを減らせる

仮想通貨ETFの種類は今後、増えるのか?

世界最大のマーケット米国で、規制当局が仮想通貨ETFの申請を承認する動きが進めば、仮想通貨ETFの銘柄が増える可能性はある。

仮想通貨ETFに投資する際に注意すべきことは?

仮想通貨ETFは、大きな損失を必ず回避できるとは限らない。投資する際は、メリット・デメリットを考慮すべきだ。

参考文献

Hashdex Launches First Crypto ETF(ナスダック)
https://www.nasdaq.com/articles/hashdex-launches-first-crypto-etf-2021-02-16

Hashdex to launch the Hashdex Nasdaq Crypto Index ETF(Hashdex)
https://www.prnewswire.com/news-releases/hashdex-to-launch-the-hashdex-nasdaq-crypto-index-etf-301225330.html

Nasdaq Crypto Index (NCI) Tracking the Crypto Landscape(ナスダック)
https://www.nasdaq.com/crypto-Index

Bitcoin ETF – ビットコイン(Bitcoin)用語集(bitFlyer)
https://bitflyer.com/ja-jp/glossary/bitcoin_etf

(画像:Shutterstock)

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