【イーサリアム10年後】価格はビットコインを超える?将来価格を予想

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2021年に入ってから暗号資産(仮想通貨)市場が上向き、特に時価総額2位の「イーサリアム」が堅調だ。上昇率で時価総額首位の「ビットコイン」を大きく超え、時価総額の差は約半分にまで縮まった。

イーサリアムはいずれ時価総額がビットコインを超えると期待されている。本記事で、なぜイーサリアムに値上がりが期待されているのか解説したい。

イーサリアム上昇率がビットコイン超え

2021年に入り、8月末までにビットコインは6割を超える上昇を見せたが、イーサリアムはその5.8倍上昇した。

2021年の上昇率

  • ビットコイン:62.80%
  • イーサリアム:366.17%
    ※8月末まで

イーサリアム優位の流れは2020年から続く。ビットコインの上昇率は300%を超え、4倍以上に上昇したが、イーサリアムは5.7倍になった。

2020年の上昇率

  • ビットコイン:302.28%
  • イーサリアム:469.57%

これらから、2020年~2021年8月末までの21カ月間において、ビットコインは6.5倍になりイーサリアムは26.6倍になったことがわかる。本記事執筆時点(2021年9月13日)でビットコインの時価総額は95.6兆円、イーサリアムは44.3兆円だ。2019年以前は約10倍の開きがあったが、イーサリアムが差を埋めつつある。

イーサリアムとビットコインの価格推移

2020年以降のイーサリアムとビットコインの値動きは以下の通り。青がイーサリアム、オレンジがビットコインを表している。いずれも2020年後半から大きく値を上げ始めたが、イーサリアムの上昇率が顕著だ。

イーサリアム チャート
引用:TradingView

イーサリアムとビットコインの違い

イーサリアムとビットコインの概要は以下の通り。ビットコインは決済手段として、イーサリアムはアプリケーションの開発プラットフォームとして開発された。そもそも「イーサリアム」は開発プラットフォームそのものを指し、イーサリアム上で用いられる仮想の通貨を「イーサ」と呼ぶ。

 イーサリアムビットコイン
役割開発プラットフォーム決済手段
コンセンサスアルゴリズムPoW
※将来PoSへ移行
PoW
発行上限未定2,100万枚
ブロック生成時間約15秒約10分

コンセンサスアルゴリズム(ブロックチェーン上の取引の正しさを保つ仕組み)は両者とも「PoW(Proof of Work)」方式を採用している。ただし、イーサリアムは将来的によりエネルギー消費が小さい「PoS(Proof of Stake)」への移行を予定している。

大きく異なる点は「発行上限」と「ブロック生成時間」だ。ビットコインは2,100万BTCまでしか発行されず、2140頃に上限に達する見込み。一方、イーサリアムに上限は定められていない。

取引の処理能力に関係が深いブロック生成時間はイーサリアムのほうが短い。ビットコインが10分かかるところ、イーサリアムはわずか15秒だ。

イーサリアムの「スマートコントラクト」が開発に有用

イーサリアムにはスマートコントラクトと呼ばれる機能がある。条件をあらかじめプログラムとして記述し、自動的に取引を実行させる仕組みだ。

本来、取引は信頼できる仲介者を介して行う必要があるが、スマートコントラクトはこれを省略できる。あらかじめ定められた条件で実行されるため信頼性が維持され、また取引はブロックチェーン上に記録されるため透明性も高い。仲介者に支払っていたコストの削減も可能だ。

10年後のイーサリアムにビットコイン超えが期待される3つの理由

イーサリアムが将来的にビットコインの時価総額を超えると期待されている理由は主に以下の3点だ。

  1. 恒常的な開発・改善がなされている
  2. 企業連合によるバックアップ
  3. dApps(分散型アプリケーション)の発展

1.恒常的な開発・改善がなされる

イーサリアムはこれまで段階的にアップデートされてきた。これはイーサリアム価格を押し上げた要因の一つといえるだろう。

イーサリアムは今後もアップデートが予定されており、さらなる値上がりに期待できる。以下に直近予定されているアップデートをまとめた。

PoSへの移行

イーサリアムは2020年12月、コンセンサスアルゴリズムをPoWからPoSへ移行させるアップデートに着手した。現在は「ビーコンチェーン」としてメインネットと別に稼働しているが、2022年にはメインネットにも導入される見込み。

スケーラビリティ問題の改善

参加者が多くなり取引の処理速度が低下してしまうことを「スケーラビリティ問題」という。イーサリアムはアップデートの1つ「シャーディング」を行い、1秒あたりのトランザクション(取引)を増加させることで解決を目指している。シャーディングは2021年中に実行される見込み。

2.企業連合によるバックアップ

イーサリアムの企業への活用を目的に標準的な仕様作りを行うのが「EEA(Enterprise Ethereum Alliance)」だ。2017年2月にマイクロソフトなどの大企業で組織され、現在では500以上の企業が加盟している。

大企業による開発が進むことでイーサリアムの価値も上昇に向かうだろう。

3.dApps(分散型アプリケーション)の発展

管理者がいない自律型のアプリケーションを「dApps(ダップス。decentralized applications)」という。イーサリアムのスマートコントラクトを利用した開発が主流のため、dAppsの開発が進むほどイーサリアムの価値上昇を後押しするだろう。dAppsの技術を用いたものに以下のようなものがある。

DeFi

「DeFi(ディーファイ。Decentralized finance)」は分散型金融アプリケーションだ。銀行や保険会社などの金融機関を介さず、ユーザーに金融サービスを提供できる。利用者が負担してきたコストを削減できるメリットがある。

NFT

「NFT(Non-fungible tokens)」は非代替性トークンと呼ばれ、ブロックチェーン上に書き換え不可能なデータとして記録される。なんらかのデータをNFTにひも付けることで、鑑定書や所有証明書のような使い方が可能だ。

イーサリアムが持つ課題

上述したスケーラビリティ問題がイーサリアムの主な課題だ。

開発プラットフォームとして需要が高いイーサリアムは年々参加者が増加している。「シャーディング」などのアップデートで解決を目指しているが難航の可能性はある。これまでも大型アップデートの1つ「コンスタンティノープル」などが延期された。アップデートの進捗が予想を下回る場合、イーサリアム価格にネガティブな影響を与えるだろう。

アップデートの進捗遅れは、たしかに短期的にはイーサリアム価格を押し下げるかもしれない。しかしアップデートが将来のどこかで行われる可能性は高いだろう。となれば中長期的な値上がり期待は不変だ。事実、上述したコンスタンティノープルの延期は2019年1月に発表されたが、翌月末には実施された。以降これまで大きく値上がりしたことは先述の通り。将来の値上がりを考えれば投資妙味は十分だろう。

イーサリアムを購入できる取引所

暗号資産(仮想通貨)を購入するためには取引所で口座を設ける必要がある。ただし、取扱銘柄は取引所ごとに異なる。イーサリアムへ投資を行う場合、イーサリアムを取り扱う取引所で口座開設しなければならない。

イーサリアムを取り扱う取引所の中で、代表的なものは以下の通りだ。

取引所名 取扱数 手数料(BTC) 最低取引数量 スマホ対応 セキュリティ
DMM Bitcoin
(DMM ビットコイン)
銘柄数20種類 手数料(BTC)販売所:スプレッド 最低取引数量0.0001BTC スマホ対応注文・分析に優れたスマホアプリ セキュリティ顧客資産(日本円及び仮想通貨)の分別管理を実施
Coincheck
(コインチェック)
銘柄数17種類 手数料(BTC)取引所:0% 最低取引数量円建てで500円相当額 スマホ対応投資初心者でも見やすく分かりやすい優れたUI/UX セキュリティ国内外複数の情報セキュリティ企業等を通じ、
情報システムの信頼性、安全性、効率性のモニタリングを実施
bitFlyer
(ビットフライヤー)
銘柄数14種類 手数料(BTC)取引所:0.01〜0.15%/販売所:スプレット 最低取引数量取引所:0.001BTC
販売所:0.00000001BTC
スマホ対応スマホアプリでビットコインFXも取引可能 セキュリティマルチシグを他社に先駆けて導入

イーサリアムの10年後に関するQ&A

イーサリアムの10年後に関するQ&Aを整理する。

イーサリアム価格が高騰している理由は?

イーサリアム価格が高騰している理由としてはいくつかの要因が考えられるが、最も大きな影響を与えている可能性があるのが、イーサリアムを活用した分散型アプリケーション(DeFi)の増加である。DeFiが一般に普及し、イーサリアムへの需要が高まれば、イーサリアム価格はさらに上昇する可能性がある。

イーサリアム価格は1,000万円になる?

イーサリアム価格が将来1,000万円になる可能性はゼロではないが、その時点においては世界全体でインフレが加速しており、現在の1億円の価値が大きく目減りしている可能性についても押さえておきたい。

イーサリアムを買うタイミングは?

投資で利益を得るためには、「価格が安い時に買って、高くなったら売る」ことが必要となる。イーサリアムを取り巻くファンダメンタルズを分析し、これから価格が上がると判断したタイミングで購入することをおすすめする。

参考文献

コインチェック イーサリアムとビットコインの違いを動画付きで分かりやすく解説
https://coincheck.com/ja/article/109#i5-1

ビットフライヤー コンセンサスアルゴリズム
https://bitflyer.com/ja-jp/glossary/consensus_algorithm

ビットフライヤー PoW(プルーフ・オブ・ワーク)
https://bitflyer.com/ja-jp/glossary/proofofwork

NTTデータ ブロックチェーンの仕組み
https://www.nttdata.com/jp/ja/services/blockchain/002/

Ethereum.org ビーコンチェーン
https://ethereum.org/ja/eth2/beacon-chain/

ビットフライヤー 発行量
https://bitflyer.com/ja-jp/glossary/issuance_amount

日立 確実な業務の遂行(スマートコントラクト)
https://www.hitachi.co.jp/products/it/blockchain/features/smart_contract/index.html

Ethereum.org シャードチェーン
https://ethereum.org/ja/eth2/shard-chains/#what-is-sharding

Enterprise Ethereum Alliance
https://entethalliance.org/

Enterprise Ethereum Alliance Launches
https://entethalliance.org/enterprise-ethereum-alliance-launches/

ビットフライヤー dApps
https://bitflyer.com/ja-jp/glossary/dapps

Ethereum.org  Decentralized finance (DeFi)
https://ethereum.org/ja/defi/

コインチェック NFTとは『代替不可能なトークン』|具体的な活用例と将来性を解説
https://coincheck.com/ja/article/454

野村證券 SNSの投稿が数億円に? 話題の「NFT」の仕組みと魅力を解説
https://www.nomura.co.jp/el_borde/view/0053/

フィスコ 【話題沸騰】人気急上昇中のNFTアートとは?特徴や購入・販売方法を解説
https://fisco.jp/media/nft-art-about/

フィスコ イーサリアム、大型ハードフォーク「コンスタンティノープル」を延期
https://web.fisco.jp/FiscoPFApl/SelectedNewsDetailWeb?nwsId=0010780020190116001&nwsType=00107800

Ethereum.org Constantinople
https://ethereum.org/ja/history/#constantinople

(画像:Shutterstock)

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