FXのスワップポイントとは?計算方法やスワップが高いFX会社を比較

FXのスワップポイントとは
FXで利益を得るためには、売買を繰り返すだけでなく、建玉を保有し続けてスワップポイントを積み重ねていく方法もある。
建玉とは注文をおこなってから決済をするまでの取引を指しており、ポジションと呼ばれる。
簡単なイメージとしては、銀行預金に対して付与される利息が最も近いだろう。
2ヵ国間の金利差を利益として得られる
スワップポイントとは、2ヵ国間の政策金利の差を利益として毎日得られる仕組みであり「低金利の通貨を売って、高金利の通貨を買う」ことで付与されるものである。
たとえば、トルコリラ(18.0%)と日本円(-0.1%)における金利差は、18.0-(-0.1)で18.1%となるため、「トルコリラ/日本円で買い注文」をおこなえば、売買差益と同じように口座に加算される。
スワップポイントは通貨発行国の政策金利次第で増減する性質を持っていることから、各国の中央銀行による発表は欠かさずチェックしておこう。
ちなみに現在の設定値は次の通りである。
通貨発行国 | 政策金利の名称 | 金利(%) |
---|---|---|
日本 | 日本銀行当座預金のうちの 超過準備預金の金利 (短期) |
-0.10 |
米国 | フェデラルファンド(FF)金利 | 0.00~0.25 |
ユーロ | 中銀預金金利 リファイナンス金利 限界貸付金利 |
-0.50 0.00 0.25 |
トルコ | 1週間物レポレート | 18.00 |
メキシコ | 翌日物銀行間レート | 4.50 |
<政策金利>
中央銀行が一般の金融機関にお金を貸し付ける際の金利
<中央銀行>
国家の金融機構における中枢機関(一部例外はあるが通貨を発行する役割も持っている)
スワップポイントを支払うケースもある
先ほど解説した通り、スワップポイントは低金利通貨を売って、高金利通貨を買うことで利益が得られる仕組みだが、逆の場合は差額相当分(マイナススワップ)を支払わなくてはならない。
たとえば、金利差18.0%のトルコリラ/日本円の売り注文は、「高金利通貨を売って、低金利通貨を買う」ことになるため、1日経過するごとに含み損として計上されていくのである。
そのため、スワップポイントを狙った取引に限らず、長期保有する際は自身が支払うべき状況になっていないかを欠かさず確認しておいてほしい。
ニューヨーククローズ時に付与される
スワップポイントはニューヨーククローズ(以下:NYクローズ)にあたる米国時間午後5時に付与されるため、取引の際はこの時間帯を覚えておいた方が良いだろう。
米国冬時間 (11月第1日曜日~) |
午後7時 |
---|---|
米国夏時間 (3月第2日曜日~) |
午後6時 |
ちなみに、注文を入れてから決済をおこなう価格に到達しなかった場合、あるいはスワップポイントを獲得するために建玉を保有し続けると、NYクローズ時間を超えて翌営業日まで持ち越すことになる。
この行為を「ロールオーバー」と呼んでいる。
土日分は水曜日のNYクローズに付与される
スワップポイントは建玉を保有している限り毎日付与されるシステムだが、為替取引がおこなわわれていない(中東など一部地域を除く)土日に関してはどうだろうか。
この場合、一つのパターンとしては水曜日のNYクローズでまとめて3日分が付与されることから、たとえば金曜日に建玉を保有すると、月曜か火曜日は通常のスワップポイントが付与されて、木曜日の朝に3倍の額が得られるのだ。
ただし、付与日は木曜日のNYクローズ(金曜日の朝)や水曜日(木曜日の朝)といったようにFX会社によって異なるケースもあるため、口座開設の際は忘れずに確認しておこう。
ここで注意しておきたいのが「土日をまたがなくとも」この仕組みが適用されることであり、もしマイナススワップの建玉を水曜日から木曜日まで保有すると、3日分の含み損が発生することになる。
そのため、取引をおこなう際は曜日に関しても把握して、金利差の大きい通貨ペアで思わぬ損失を被らないようにしてほしい。
スワップポイントはFX会社によって異なる
スワップポイントのベースは政策金利に基づいて算出される一方、FX会社全体で全く同じ数値というわけではない。
この実態については、次のスワップポイント比較表を見てもらうとよりわかりやすいだろう。
FX会社 | 南アフリカランド/日本円 |
---|---|
ヒロセ通商 | 買い:6円 売り:-16円 |
SBI FXトレード | 買い:7円 売り:-9円 |
Money partners | 買い:1円 売り:-24円 |
セントラル短資FX | 買い:2円 売り:-17円 |
アイネット証券 | 買い:8円 売り:-18円 |
このように、同じ通貨ペアであっても数十円程度の違いが発生しているが、これはスワップポイントがFX会社にとっての収益であることに起因している。
トレーダーに支払うスワップポイントと、受け取るマイナススワップの差額がFX会社にとっての利益になるため、各社でコントロールをおこない、収益確保とトレーダーへの還元を調整しているのである。
スワップポイントの計算方法
ここからは、スワップポイントの計算方法を確認していこう。
今回はFX会社ごとの違いを考慮せずに、南アフリカランド/日本円を例に挙げていく。
【為替レート7円の南アフリカランド/日本円 10,000通貨買い 南アフリカ金利3.5%-日本金利-0.1%=金利差3.6%】
7円×10,000通貨=70,000円
そして、金利差3.6%は年利となるため、次の通り日割りに直して乗じる。
70,000円×(3.6%÷365日)÷100=6.9円
このように、南アフリカランド/日本円を買うと、1日あたり6.9円の利益を得ることが可能となり、売り建玉を保有すると同額を支払わなくてはならないのである。
ほとんどのFX会社では自社で提供しているスワップポイントの一覧を公表しているため、実際に取引する際はそちらを参考にするとよいだろう。
スワップポイントが高い通貨
スワップポイントはFX会社によって変動するが、基本的に政策金利の差が大きい通貨ペアは高水準な傾向である。
ここからは、スワップポイントが高い通貨ペアを解説していくため、運用の際は参考にしてほしい。
- トルコリラ/日本円
- メキシコペソ/日本円
- 南アフリカランド/日本円
- 中国人民元/日本円
- ロシアンルーブル/日本円
トルコリラ/日本円
FX業界における代表的な高金利通貨ペアであり、ほとんどのFX会社で取り扱っていることから、スワップポイントの運用においてはメインに据えているトレーダーも多い傾向である。
低水準の場合は買い4円程度、高水準は40円以上であるため、口座開設の際は利用したいFX会社が提供しているスワップポイントをしっかりチェックしておこう。
メキシコペソ/日本円
トルコリラ/日本円ほど程ではないが、同じく代表的な高金利通貨ペアに挙げられており、取り扱っているFX会社も多い。
メキシコは米国との貿易取引が多いことから、経済的に関連性が高く米ドル/日本円の値動きと連動する特性を持っているため、取引の際は参考にしてほしい。
ちなみにメキシコペソ/日本円のスワップポイントは、高水準の場合8円で低水準であれば2円程度である。
南アフリカランド/日本円
南アフリカランド/日本円のスワップポイントは、高水準の場合は10円、低水準であれば1円程度となっている。
また、南アフリカは金やダイヤモンドといった鉱物資源が豊富であることから、金相場の価格変動が影響を及ぼすケースもあるため、あわせて確認しよう。
こちらもほとんどのFX会社で取り扱っている通貨ペアである。
中国人民元/日本円
経済大国同士の通貨ペアである中国人民元/日本円のスワップポイントは、高水準で10円、低水準なら3円程度となっており、FX会社によって取り扱いの有無は異なる。
ちなみに、中国は為替レートをコントロールし、ユーロや米ドルに対する価値を一定に保つ管理フロート制という方式を採用していることから、EU、そして米国経済と連動するケースがあるため、取引の際は参考にしてほしい。
ロシアンルーブル/日本円
ロシアンルーブル/日本円は、業界全体でも数社しか取り扱っていない通貨ペアであり、高水準の場合は2円程度に設定されている。
ちなみにロシアンルーブル/日本円の為替レートは約1.5円を推移しているため、レバレッジが25倍のFX会社で取引する場合は次のように最低6,000円あれば10万通貨の取引が可能だ。
- 1.5×10万通貨=150,000円
- 150,000円÷25=6,000円
ただしレバレッジ25倍というのはハイリスク・ハイリターンな運用であるため、最初は一定の資金を用意し、レバレッジ2~5倍くらいで運用するとよいだろう。
スワップポイントで利益を得ることは可能?運用で気をつけること
ここからは、スワップポイントで利益を得るための注意点について解説する。
運用するためには重要な知識であるため、ぜひ参考にしてほしい。
マイナススワップに注意する
まず注意したいのは、注文がマイナススワップにならないことである。
通貨量によっては損失が拡大してしまうため、FX会社のスワップカレンダーをチェックし、注文パネルの押し間違いがないように注意してほしい。
通常の損失も発生する
スワップポイントはあくまでも通貨同士の金利差における仕組みであるため、売買の損益は通常通り発生する。
たとえば、トルコリラ/日本円の買い建玉でどれだけスワップポイントの利益を得ていても、相場が大きく下落すれば一時的であれ、利益以上の含み損が発生するケースも当然あり得るのだ。
一方、それ以上の損失拡大を防止するために決済してしまうと、せっかくのスワップ収益が無駄になってしまうため、じっくりと売買の損益がプラスに転じるのを待つような長期視野の運用が重要といえるだろう。
価格変動が大きい通貨ペアが多い
トルコリラや南アフリカランドなどは、今後経済発展が見込まれている新興国の法定通貨であり、現状は経済的に不安定な側面がある。
加えて、為替相場全体における通貨の取引量自体も少ないことから、経済状況が落ち込んだ場合などは急激な価格変動が起こりやすい。
ここでは、通貨量と価格変動の関係性について触れておきたい。
たとえば、米ドル/日本円のような世界的に取引量の多い通貨ペアは、大きな注文があっても、同程度の反対注文が入りやすいため、値動きの勢いが相殺されやすく、全体として安定した相場となる。
一方、新興国通貨が絡む通貨ペアは取引量が少ないことから反対注文が入りにくく、大きな注文によって一方向に値が動きやすいのだ。
そのため、トルコリラ/日本円や南アフリカランド/日本円を取引する際は、マーケットニュース、そして経済指標発表を欠かさずチェックして、急激な価格変動が発生した際にいつでも損切りできるようにしておこう。
ちなみに新興国が政策金利を高く設定する大きな理由としては、自国通貨を多くの投資家に買ってもらいたい思惑に起因しているため、あわせて覚えてほしい。
これはあくまでも新興国に多い理由であり、米国や日本は、市場に出回る通貨の量を減らすために金利を上げるケースもある。
イメージとしては、金利を上げると消費者は「使うよりも預金して金利を受け取る」という動きに繋がり、企業は「金利が高いから資金の借り入れは見送る」という方向性となるため、流通し過ぎて価値が下がった通貨の流通量をあえて減らして、市場における価値を再度上昇させるのである。
<経済指標発表>
失業率やGDPなど各国の経済状況を表した数値の発表
<損切り>
建玉に発生している含み損を決済して、それ以上の損失拡大を防ぐ手法
スワップポイントに定評のあるおすすめFX会社
ここからは、スワップポイントを運用する上でおすすめのFX会社を3社に厳選して解説していく。
現在口座開設を検討している人は、ぜひ参考にしてほしい。
IG証券
出典:IG証券
取扱い通貨ペア数100種類以上というトップクラスの水準を誇るIG証券は、豊富なテクニカルチャートを備えた独自ツールに加えて、世界的に知名度の高いMT4(Meta Trader4)という取引ツールも利用できるFX会社である。
ノースリッページ注文方式の採用や、FX通貨ペアをノックアウト・オプションで取引可能なことでも知られている。
そして、主要な高金利通貨ペアのスワップポイントが高水準で比較的安定していることに加え、ブラジルレアル/円(買いスワップ28円)取り扱っていることから、初心者はもちろん中上級者になってからも長く愛用していけるスペックといえる。
また、IG証券のスワップポイントは保有しているポジションが決済されていない場合でも途中引き出しができる。
スワップポイントのみの途中引き出しができないFX会社も多いため、IG証券を利用するメリットの一つとなるだろう。
通貨ペア | スワップポイント |
---|---|
トルコリラ/日本円 | 買い:56円 |
メキシコペソ/日本円 | 買い:6円 |
南アフリカランド/日本円 | 買い:10円 |
中国人民元/日本円 | 買い:3円 |
ロシアンルーブル/日本円 | 売り:2円 |
外為どっとコム
出典:外為どっとコム
FXを始めたばかりの人でも学習できる豊富な情報コンテンツや、24時間サポートも実施している外為どっとコムは、初心者におすすめのFX会社である。
業界最狭水準のスプレッドや各種取引手数料が無料で、取引コストが抑えられることにも定評があり、人気の高金利通貨のスワップポイントも高く、中・長期投資を考えている場合も満足できるだろう。
また、「スワップ振替機能」により、スワップポイントが3,000円以上となれば即時口座へ振替可能となる。振り替えたスワップポイントはそのまま新規注文に使うことができたり、ポジションを決済しなくても出金することができる。
外為どっとコムのスワップポイントは次の通りである。
通貨ペア | スワップポイント |
---|---|
トルコリラ/日本円 | 買い:43円 |
メキシコペソ/日本円 | 買い:6円 |
南アフリカランド/日本円 | 買い:9円 |
中国人民元/日本円 | 買い:6円 |
ロシアンルーブル/日本円 | 買い:20円 |
スワップポイントのメリット・デメリットを理解して運用をしよう
スワップポイントは通常の売買をおこなうことなく、建玉を保有しているだけで利益が得られるシステムであり、ある程度放置していても運用できるメリットがある。
一方、高金利通貨は価格変動の大きい新興国通貨が多いことから、一時的に売買損益がスワップポイントを超えるマイナスになるケースもあり、そのタイミングで損切りしてしまうとせっかく積み上げた利益が得られないことには注意が必要である。
そのため、短期的な含み損に注目し過ぎず、長期視野で利益を積み重ねるスタンスの人に適しており、取引をおこなうためのまとまった時間が確保できない人にもおすすめの手法といえるだろう。
また、本記事で解説した高金利通貨ペアやFX会社を活用すれば、より効率的にスワップポイントで収益が得られるため、現在チャレンジを検討している人はぜひ参考にしてほしい。