FXの自動売買は儲かる?運用のメリット・デメリットを解説

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FXの自動売買ツールとは

自動売買ツールはシステムを利用して自動的に資産を運用する取引手法である。

あらかじめ売買ルールを設定する

自動売買ツールは、あらかじめ設定された売買ルールの通りに取引をおこなう。

たとえば「米ドル/日本円が110円に到達したら買い注文を入れて、10pipsの利益がでたら決済」というルールを設定しておくと、トレーダーが取引ツールを開いていなくても、相場状況が当てはまれば自動的に執行されるのである。

また、チャートにセットして将来的な値動きを予測するテクニカルチャートと組み合わせることも可能であり、たとえば「移動平均線を下抜けたら売り注文」でも機能するだろう。

一方、経済指標発表の数値やマーケットニュースの内容といったファンダメンタルズに分類される項目は、ほとんどの場合ルールには組み込めないことは理解しておいてほしい。

用語解説

<移動平均線>
一定期間の値動きの平均値をラインにしたもの
<経済指標発表>
各国の経済状況の数値(代表的なものに失業率や貿易収支がある)
<ファンダメンタルズ>
企業や国の経済状態などを表す指標

ある程度放置した状態で運用ができる

自動売買ツールは24時間相場を監視しつつ、感情に左右されずに取引をおこなうため、ある程度放置しても資産を運用できるだろう。

しかし、為替相場における値動きの習性は刻々と変化することから、自身が採用している売買ルールが通用しなくなる可能性は考慮しなくてはならない。

具体的には、一定の値幅を往復するレンジ相場に特化したルール設定では、一方向に価格が動くトレンド相場に変化した際に対応できず、取引チャンスを逃してしまうケースがある。

したがって、定期的に相場の様子をチェックしながら、自動売買ツールの切り替えやルール変更をおこなう必要があるため、完全に放置するのは難しいといえるだろう。

自動売買ツールの種類

自動売買ツールには大きく分けて3つの種類があり、それぞれ異なった特徴を持っている。

自動売買ツールの特徴

<リピート注文型自動売買ツール>
前もって設定した売買価格に基づいて取引を繰り返すツール
<ストラテジー選択型自動売買ツール>
あらかじめセットアップされたストラテジーの中から選択するツール
<ストラテジー設定型自動売買ツール>
自身の手法に基づいて自由にストラテジーが組み立てられるツール

リピート注文型自動売買ツール

リピート注文型自動売買ツールは、前もって設定した売買価格に基づいて取引を繰り返す特徴があり、レンジ相場で効果を発揮するだろう。

たとえば、「米ドル/日本円が100円になったら買い注文、102円で決済」そして「103円で売り注文、101円で決済」といったルールが同時に設定できるため、チャートが上下に動く限りこまめに利益が狙えるのである。

また、現在は注文する価格を固定するのではなく、設定した値幅が相場の変動に合わせてスライドで移動するトラッキング機能を搭載した自動売買ツールもリリースされているため、定期的なルール変更やチャートをチェックする手間を最小限にしたい人はぜひ検討してほしい。

ストラテジー選択型自動売買ツール

ストラテジー選択型自動売買ツールは、テクニカルチャートを組み合わせたより高度なルールを採用しており、トレーダーはあらかじめセットアップされたストラテジー(戦略)の中から選ぶことができる。

そのため、知識に自信のない初心者でも効果的な運用が可能となり、相場環境に合わせて切り替えられる汎用性も備えている。

ストラテジー設定型自動売買ツール

ストラテジー設定型自動売買ツールは、あらかじめ用意されたルールではなく、自身の手法に基づいて自由にストラテジーが組み立てられるのが特徴だ。

テクニカルチャートを用いて相場の反発ポイントが判断できる人や、現状のトレンドが上昇、あるいは下落基調かどうかが容易に判断できる中上級者にマッチしているだろう。

自動売買ツールで取引するメリット

ここからは、自動売買ツールで取引するメリットを解説する。運用する上では重要なポイントであるため、しっかり押さえておこう。

機械的に取引できる

裁量取引では、資金を失いたくない気持ちによって損切りをためらうことがあり、さらに損失が拡大してロスカットされてしまうトレーダーも少なくはない。

しかし、自動売買ツールは「~pips分の損失がでたら損切り」というルール然設定できるため、感情に流されず機械的に取引できるポイントはメリットといえるだろう。

用語解説

<裁量取引>
自動売買ツールを利用せず自身の操作でおこなう取引
<損切り>
損失を決済してそれ以上拡大することを防ぐ手法
<ロスカット>
一定以上の損失が発生した際にFX会社が強制決済するシステム

初心者でも簡単に取り組める

ストラテジー選択型自動売買ツールは、あらかじめ用意されたルールが利用できるだけでなく、成績優秀なストラテジーをランキング形式で紹介しているFX会社もある。

また、リピート注文型自動売買ツールに関しても価格を設定するだけで運用できるため、相場知識や分析スキルに自信のない初心者でも簡単に取り組める点はメリットといえるだろう。

24時間利益チャンスがある

FX相場は土日を除いて24時間稼働している一方、常にチャートをチェックするのは専業トレーダーであっても現実的に難しいだろう。

しかし、自動売買ツールはどんなときでも相場をチェックしており、売買ルールにマッチすれば昼夜問わず取引が可能だ。

そういった意味で24時間利益チャンスに恵まれるメリットがあり、取引するためのまとまった時間が確保できない人には利便性の高い方法といえるだろう。

自動売買ツールのデメリット・危険性

ここからは、自動売買ツールのデメリットや危険性について見ていこう。

手数料が発生する場合がある

FXの取引コストといえばスプレッドがあげられるが、多くのFX会社は自動売買の取引量にあわせて手数料を徴収しており、ほとんどの場合は裁量取引よりも高額になってしまう。

一方、無料提供されている場合もあるため、自動売買ツールを利用する際は忘れずに規約を確認するようにしてほしい。

詐欺にあうリスクもある

自動売買ツールはFX会社が提供しているものだけでなく、個人が開発したソフトとして販売されていることもある。

そして、中には十数万円という価格でありながら、粗悪な売買ルールを起用していることによってほとんど利益がだせず、投入した資金の大半を失ってしまうトレーダーもいるのである。

そのため、初心者はまず信頼性や運営実績の長い、大手のFX会社が提供している自動売買ツールを選び、成績優秀なストラテジーを利用するのがおすすめといえるだろう。

ファンダメンタルズに対応できない場合がある

自動売買ツールは価格などの表面的な情報をベースに相場を認識していることから、経済指標発表やマーケットニュースといったファンダメンタルズが原因の値動きには対応できないケースが多くなっている。

たとえば、毎月第1金曜日に発表される米雇用統計で大きな乱高下が発生した場合、急激な下落をトレンドと誤認して売り注文を入れてしまい、その後決済価格に到達せず急ピッチで価格が上昇して損失が発生するという可能性もあるだろう。

したがって、注目度が高く価格変動が大きくなりがちな経済指標発表前後は自動売買ツール自体を停止させるなどの対策が必要である。

一方、FX会社によってはAIを組み合わせて、ファンダメンタルズにも対応したものをリリースしているため、ぜひチェックしてみて欲しい。

自動売買ツールで儲けることはできる?運用のポイントは?

ここまで解説した内容から初心者が気になるのは、自動売買ツールで儲けることはできるのか、というポイントだろう。

結論からいえば、資金を効率よく増やしているトレーダーも存在しているため、儲けることは決して不可能ではない。

しかし、逆に資金を失ってしまうトレーダーも少なくはないため、ここからは少しでも成功に近付くポイントを見ていこう。

自動売買ツールを利用するポイント
  • 長期的視野で運用する
  • 定期的に売買ルールをチェックする
  • メジャー通貨で取引する

長期的視野で運用する

自動売買ツールは100%の勝率が保証されているわけではないため、当然損失が発生することもある。

ただし、そこで重要になるのが長期的視野の運用である。

1日~数日程度の期間で収支がマイナスになったからといって、自動売買をやめてしまうのではなく、数ヶ月~1年といった長期視野の収支結果を見て判断することが重要であり、少しずつ見守っていくようなスタンスが望ましいだろう。

定期的に売買ルールをチェックする

為替相場は常に同じ動きを形成するわけではないため、売買ルールがマッチしなくなる時期は必ず訪れる。

そのため、1~2ヶ月単位で収支状況をチェックして、損失が増えてきた場合や、利益率が落ち込んでいれば売買ルールの見直し、あるいは切り替えをおこなうようにしよう。

メジャー通貨で取引する

メジャー通貨とは取引量が多く、流動性が高い通貨を指しており、たとえ大きな注文があっても、価格変動の勢いを相殺するような反対注文も入りやすいことから、値動きが安定している特徴を持っている。

したがって、自動売買ツールがトレンドと誤認するような急激な暴落、あるいは暴騰が比較的発生しにくく、損失機会を最大限に抑えることができる。

代表的な通貨ペアとしては米ドル/日本円やユーロ/日本円が挙げられるが、これらはマーケットニュースを取り扱っているサイトや企業も多いため、情報収集がおこないやすいというメリットもあわせ持っている。

自動売買ツールでも完全に放置して利益を上げることは不可能

自動売買ツールはあらかじめ設定したルール通りに取引ができる手法であり、感情に左右されず、24時間常に利益チャンスが狙えるメリットがある。

現在は成績優秀なストラテジーをランキング形式で公開しているFX会社もあるため、初心者でも簡単に取り組めるポイントも魅力といえるだろう。

ただし、ファンダメンタルズ起因の急変動には対応しきれず、裁量取引よりも手数料が高く付いてしまうデメリットがある。また、粗悪なソフトを販売している業者には特に注意が必要である。

そして、自動売買ツールは長期視野の運用が重要であることから、コツコツと利益を積み重ねていくスタンスの人には特におすすめだが、マイナー通貨で取引したい場合や、完全に放置して資産を増やしたい人は逆に損失が膨らんでしまう可能性が高いため、利用を控えた方が良いだろう。

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(画像:Shutterstock)

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