FXにおける仲値・五十日とは?値動きや取引のポイントを解説

仲値とは
仲値とは銀行がその日の顧客との為替取引時に基準とする為替レートのこと。
仲値は9時55分ちょうどのタイミングで成立した為替レートを利用することが多く、仲値のレートは金融機関の為替トレーダーが決定する。
銀行から外貨を購入したり売却したりする場合に利用する「TTS」や「TTB」の為替レートは、仲値を基準にしてスプレッドを加算し設定されている。
仲値の時間帯で為替相場はどのように変動するのか
仲値は銀行や金融機関が外国為替取引を行うための基準となるレートということは理解できただろう。
仲値までの時間(9時55分)は銀行のトレーダーが顧客の注文を執行するために、外貨を調達したり売却をおこなったりしている。
銀行の為替のトレーダーには9時30分頃までに顧客が外貨の売り買いの注文がまとまって連絡が来るようになっており、買い注文と売り注文を計算して多い外貨分を市場から購入している。
たとえば、米ドルの買い注文が200万ドル・売り注文が100万ドルでオーダーが来た場合、銀行のトレーダーは米ドルを差し引き100万ドルの買いが多いため、9時55分までに100万ドル買っておき、顧客に9時55分のレートで提供する。
ただし、9時55分ちょうどに一気に外貨を購入したり売却したりすることはない。
9時30分頃にトレーダーが数量を把握した後、9時55分までにオーダー分を取引する行動に出るという流れになる。
五十日は相場が動きやすい
日本の場合は五十日といわれるものがあり、5または10のつく5日、10日、15日、20日、25日、30日を指す。
五十日は外貨の調達ニーズが高いとされており、日本企業は海外への支払いのために米ドルやユーロなどを買いたいニーズが増える。
さらに五十日は、銀行のトレーダーが9時55分までに外貨の買いのオーダーを増やすということが予想されるため、円安方向で推移しやすい。
また、仲値の時間帯はチャートを見てトレードしている銀行のトレーダーがあまりおらず、注文を執行するタイミングのみを図っているトレーダーが多いとされている。
そのため、チャートに関係なく上昇したり下落したりすることが起こりやすいのが特徴である。
仲値前後の時間帯や五十日のトレードはどうすればよい?
最後に仲値の時間帯や五十日でトレードする場合の注意点を見ていこう。
- 相場のクセをあてにし過ぎない
- 急な相場の動きになりやすい
- 金曜日は比較的円安に推移しやすい
五十日は円安というアノマリー(クセ)は信用しないこと
五十日は円安で推移しやすいということを説明したが、実際のデータではアノマリーと呼ばれる相場のクセは当てはまらないケースが多く、トレードで利用するには難しいだろう。
そのため、五十日だから必ず円安に推移するというような考え方をもたず、あくまでもそのように言われている程度で留めておいた方がいいだろう。
また、いつのタイミングでトレーダーが注文を執行してくるかわからない。
一時的に円安で推移したとして、必ず9時55分まで上昇するというわけではなく、フェイクのような動きの可能性も十分に考えられる。
チャートに通りに動かない可能性が高い
デイトレードやスキャルピングトレードをおこなう場合、相場のクセを含めてトレードとチャートを利用しても、ノイズが発生して上手くトレードができない場合がある。
仲値の時間帯で取引をおこなっているのは機関投資家が多く、顧客の注文を執行する邦銀が取引量を占めている。
機関投資家が、チャートを見ずに相場が動き過ぎないよう考えながらトレードしてくるため、チャートが機能しないことが多くなる時間帯であることは認識しておこう。
また、急な変動が起こりやすい時間帯であるため、ちょっとした値動きに一喜一憂せずに大局観を捉えたトレーディングが必要となる。
金曜日の仲値は上昇しやすい傾向がある
五十日をトレードに利用するのは難しいが、曜日毎にみると金曜に円安方向で推移しやすいデータがある。
この理由ははっきりされていないのが、金曜日に上昇しやすいことは覚えておいて損はないデータだろう。
仲値だけをトレードに活かすのは難しい
仲値のみをトレードに活かして勝率を上げるのは、難しいというのが正直なところである。
曜日毎のデータは頭に入れておいて損はないが、予想しない値動きをする可能性も考えると、五十日によるトレードはあまり有効ではないこともしっかり覚えておいてほしい。
仲値はノイズが発生しやすい時間帯でもあり、難しいことを理解したうえで、トレードをおこなう際は動きを十分にチェックして欲しい。
また、方向性も出にくい時間帯のため無理なエントリーは避けることをおすすめする。