FXのトレードスタイルと取引手法|メリットや注意点を解説

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FXで利益を得るためには売買を積み重ねることが基本だが、単純にそれだけを実施していても効率的な運用には繋がらないだろう。

なぜなら、トレーダーにはそれぞれの癖や好みがあり、ライフスタイルによってチャートをチェックできるタイミングも変わるからである。

まずは自分自身にマッチしたトレードスタイルの確立が重要であり、それをベースに分析して戦略を構築することが安定した資産形成のポイントと言えるだろう。

FXのおもなトレードスタイル

まずはFXにおける代表的なトレードスタイルを見ていこう。

スキャルピング

FXにおけるトレードスタイルの中で最も短期的に売買が完結するのがスキャルピングであり、多くの場合は数分から数十分、場合によっては数秒程度で取引が完結することも珍しくはないだろう。

トレードの時間軸が短い分、一度に狙う利幅は数pips程度に抑えるのが一般的であり、そういった薄利を少しずつ重ねていく性質が「頭の皮を剥ぐ」という意味を持つスキャルピングの由来にもなっている。

したがって、コツコツと小さな利益を積み重ねていくトレードスタイルと言えるだろう。

一方、損切りラインに関しても浅く設定する必要があり、リスクも考慮しながら比較的取引量を大きくしながら細かく利益を取っていくことが大切である。

スキャルピングのメリット

  • トレード時間が短い
  • ファンダメンタルズ分析はほとんど必要ない
  • 取引量を大きく設定できる

スキャルピングはトレードスタイルの中で利幅が最も小さい。

ただし、その分取引量を大きく設定して1pipsあたりの利益を増やすことも可能だ。

また、数分程度でトレードが完結するため、長期的なトレンドに影響するファンダメンタルズ分析をほとんど必要としない。

本来必要とされる2種類の分析のうち一つを大幅に削減することができ、テクニカル分析に集中することが可能である。

スキャルピングのリスクと注意点

  • 長期トレンドに巻き込まれた際に損切りをためらうとロスカットの危険もある
  • スキャルピングを禁止しているFX会社もある
  • 瞬間的な判断力と正確な操作が必要

スキャルピングは1分から5分足が主軸になるが、目の前の値動きばかりに集中しすぎると1時間以上の長期足で発生するトレンドに巻き込まれてしまうケースがある。

取引量が大きい分、損切りをためらえば早い段階でロスカットになってしまうだろう。

細かい値動きを捉えるためには、瞬間的な判断力や正確な操作が必要とされるポイントにも注意が必要である。

そもそもスキャルピング自体を禁止行為に規定しているFX会社もあるため、口座開設の段階で忘れずに確認するようにしてほしい。

スキャルピングはどのような人に適したトレードなのか

厳格な判断を瞬時に行わないといけないことから、FXの経験が少ない人には少々難易度が高いと言えるだろう。

したがって、全ての時間足を俯瞰(ふかん)できる一定以上の経験値を持ったトレーダーに適したトレードスタイルとなっている。

デイトレード

デイトレードは保有したポジションを1日以内で決済するスタイルであり、相場の値動きが大きい日によっては大きな利益が期待できる。

また、ポジションを翌日まで保有せずに1日の間に決済まで完了させるというルールによって損失を限定することが可能だ。

後述する「スイングトレード」や「ポジショントレード」といった、さらに長い時間軸のスタイルと組み合わせて相場状況に応じた柔軟な運用をしているトレーダーも多くなっている。

デイトレードのメリット

  • ポジションを長期保有しないためリスク管理が行いやすい
  • 本業の合間に取り組める
  • 利益機会が比較的多い

ポジションを長期保有する際、ネックになるのが通貨同士の金利差であるスワップポイントであり、これがマイナスに設定されている場合、日毎にコストが発生することになる。

デイトレードはそのスワップポイントによるマイナスがないため、高金利通貨でもショート(新たに通貨を売る)をおこないやすいというメリットがあるだろう。

また、比較的短期のスタイルであることから、ファンダメンタルズ分析をさほど重視する必要がなく、まとまった時間を確保するのが難しい人でも隙間時間で運用できるメリットがある。

補足としてファンダメンタルズから発生した長期足(日足や週足)のトレンドはチェックしてトレードに反映させることがベターだろう。

  • どのような場合でも1日以内に決済する必要がある
  • エントリーに適していない日は無駄なエントリーしない
  • 一度に大きな利幅は狙いにくい

デイトレードは翌日に持ち越さないことがルールであり、たとえ含み損を抱えていても決済しなくてはならない。

そのため実際の運用には、自己管理能力が問われる場面もあるだろう。

この自己管理能力というのはトレードで知識以上に重要なものになり、決めたルールを守れない投資家は利益を確保することが難しいと言える。

また、短い時間軸でトレードするため値動きの弱い日や有効なサインがない場合はエントリーを控える必要がある。

無理なエントリーをおこなう必要はなく、自分が決めたルールやサインに合致した場合のみエントリーすることが大切である。

どのような人に適したトレードなのか

1日でトレードを完結させてリスクを軽減できることから、初心者でも比較的取り組みやすいスタイルと言える。

また、長期でポジションを保有しながら並行運用も可能である。

たとえばスイングトレードのポジションを持ちつつ新たにデイトレードを行う際、「十分な証拠金維持率を保てて適切な取引量が計算できる」中上級者にもトレードしやすい時間軸と言えるだろう。

スイングトレード

スイングトレードとはポジションを数日から数週間程度保有し、4時間以上の長期足トレンドを狙っていく「FXの中でもトレードが一番多いと言われている手法である。

また、ある程度の逆行を想定して取引量を小さく、損切りラインを広く取るのが基本となっており、チャートをチェックする頻度が少ないことも特徴の一つだろう。

スイングトレードのメリット

  • 利幅が大きいことがある
  • 取引量を小さくすることでリスクを軽減することができる
  • トレードや分析に割ける時間が大きくなくても取り組みやすい

長期足を主軸とする性質上、一度に狙える利益も数十から100pips程度と大きく、含み損のリスクを調整しながら取引量を設定するのが基本である。

トレンドに乗った場合のリターンが大きく、損切りラインで損切りを行った場合の損失幅も小さいためリスク管理が行いやすいトレードスタイルと言えるだろう。

また、分析と利確、損切りラインの設定さえすれば、後は頻繁にチャートをチェックする必要がないため、トレードに割く時間がない方にとっては大きなメリットである。

スイングトレードのリスクと注意点

  • 利益の確定を早めた場合リスクとリターンが合わない
  • トレードの頻度が少ない
  • 一定以上の資金が必要

スイングトレードは数日以上の時間をかけるのが基本であり、エントリー頻度自体も少ないことから、「せっかくのポジションを急いて薄利で決済してしまうリスク」とそれに合ったリターンが得られない場合がある。

利益の幅を伸ばしつつ、限定的にルールを守って損切りを行うことがスイングトレードの基本として意識することが大切だろう。

また、一定以上の資金を準備しなければ含み損に耐えることができず、仮に少額で運用しても十分な取引量が確保できないため、資産を増やすのに時間がかかってしまう。

※含み損とは:相場が注文に対して逆行した際、保有しているポジションに発生する見込みの損失額であり、決済するとその金額が確定される。

スイングトレードはどのような人に適したトレードなのか

取引量を抑えてリスクを軽減しつつ、長期足を主軸にトレードするため、比較的難易度が低いことが特徴だ。そのため、取引を始めたばかりの人に適したスタイルと言えるだろう。

また、ポジションを保有する期間が長い分、大きな値動きの中で利益を伸ばしていけることから、中上級者でも活用できるバランスの良さも備えている。

ポジショントレード

ポジショントレードはFXにおけるスタイルの中で最も保有期間が長い特徴があり、基本的に数か月、長い場合は数年間ポジションを持ち続ける場合もあるだろう。

また、メインの時間軸も週足から月足となるため、大きな流れの中で数百pips以上を狙うことが可能である。

一方、トレーダーによっては売買差益よりもスワップポイントを目的に運用しているケースもあり、そういった場合は「スワップトレード」と呼び名が変わることも特徴の一つである。

ポジショントレードのメリット

  • 大きな利幅を狙うこともできる
  • スワップポイントの利益が得られる
  • 投資初心者向け

為替相場においては流動性の高い「米ドル/日本円」や「ユーロ/米ドル」などのメジャー通貨であれば、数ヶ月あるいは数年で1,000pips以上の大きな値動きがあることも珍しくはない。

そのため、ポジショントレードの時間軸であれば十分利益を狙うことが可能である。

また、トルコリラやメキシコペソといった新興国通貨をメインにすればスワップポイントを着実に積み重ねられるだろう。

資金が50万円くらい用意できるのであれば、1万通貨ほどの小さい取引量に設定することで、ロスカットをほとんど考慮せずに安全投資することもできる。

注意すべき点は新興国通貨は値幅が大きく、また下落トレンドが継続しているような通貨もあるため、最初は新興国通貨ではなくメジャー通貨を選択して取引することをおすすめする。

ポジショントレードのリスクと注意点

  • スイングトレード以上に資金が必要
  • 一回の取引における損失の幅が比較的大きくなる
  • ファンダメンタルズ分析のスキルが必要

ポジショントレードは利幅を広く設定する分、相当の含み損も許容できる資金が必要である。

さらに長期的な動向に影響するファンダメンタルズ分析のスキルがなければ、方向性を大きく誤ってしまうことになる。

エントリーしてから決済までの時間軸が一番長い分、一度の損失の幅も大きくなることは注意点と言える。

ポジショントレードの場合、取引を行う国の経済状況や金融政策の動向は、通貨の強弱を測る上で大切な指標となる。

ポジショントレードはどのような人に適したトレードなのか

ポジショントレードはFXを資産運用として利用したいユーザーに適しているトレードスタイルと言えるだろう。

トレードや分析を頻繁に繰り返すよりも、ゆったりと外貨預金のような感覚で運用したい方には適したスタイルであり、各国の経済状況を的確に捉えて自身の方向性が正しいかを判断できればより効率的なトレードができる。

また、50万円ほどのまとまった余剰資金が準備できる方は、スキャルピングやデイトレードよりポジショントレードの方がリスク管理がしやすいため、ポジショントレードでFXに慣れていくといいだろう。

FXの取引手法

ここからはFXで利益を重ねていくために重要な取引手法である「順張り」と「逆張り」について解説していく。

順張り

順張りは相場のトレンドに従う形でエントリーする手法であり、高値と安値の切り上げ起こっている場合は買い、逆の場合は売りとなる。

場合によっては、多少の逆行による一時的な含み損を抱える可能性もあるが、適切な分析ができていれば含み益に転換するケースは多い。

スイングトレード以上のトレード期間をメインに運用している場合、トレンドに従う順張りをおこなうことで、相場の逆行によるロスカットのリスクを軽減できる。

そのため、最初に身につけることが推奨されている取引手法である。

逆張り

上昇トレンドの天井・下落の場合は大底を狙って、それまでの流れに逆行する形でエントリーする手法。

相場を見極めるスキルが要されることから比較的中上級者向きとされている。

分析が不十分であればトレンドが継続して損失が拡大する一方、成功すれば新たなトレンドの初動を掴むことができる。

そのため、上手く使いこなせば大きく利益を得ることも可能である。

FXの分析手法

次はFXにおける代表的な2つの分析手法を解説する。両者は相場の動向を掴む上で必須といっても過言ではなく、適切に使い分けることで効果的な運用に役立つだろう。

テクニカル分析

テクニカル分析とは、移動平均線などのインジケーターやチャートに表れるサインを活用しつつ、過去の価格動向から値動きを予測する方法。

相場全体が上昇と下落、どちらのトレンドかを把握するのはもちろん、一定の値幅を往復する保ち合い相場の終焉といったさまざまな状況を判断することに活用される。

基本的にすべてのトレードスタイルに必要なスキルであることから、いかに精度の高いテクニカル分析ができるかが、利益を重ねる上で大切な要素と言えるだろう。

ファンダメンタルズ分析

チャートを中心とするテクニカル分析とは対照的に、ファンダメンタルズ分析は自身がトレードしている通貨ペアに対応した国の経済情勢や財政状況、金融政策といった内容から為替相場の動向を読み解くものである。

情報収集は金融ニュースサイトや指標発表を利用する形となり、ある程度の専門的な知識が必要とされる。

初心者にとっては難易度が高いとされている一方、通貨発行国の経済情勢は相場のトレンドに大きな影響を与えるため、長期目線のトレードほど重視される傾向がある。

自身の経験値に合わせて適切なスタイルを見つけることが大切

FXで利益を重ねていくためには自身にマッチしたトレードスタイルを採用し、そのルールに基づいた堅実な運用を心掛けることが重要である。

しかし、取引に慣れるまでは適切なスタイルがわからず、安直なトレードによって損失をだしてしまう可能性も考えられる。

まずは以下のポイントを整理し、総合的な判断でトレードスタイルを決めてほしい。

  • ファンダメンタルズ分析ができるか
  • 潤沢な資金を投入できるか
  • 本業を別に持っているか

これらは必要最低限の情報であるが、スキャルピングは一定の経験値が必要となるため、最初はスイングトレード以上の時間軸からゆっくりと状況判断しながら相場になれることが重要となる。

したがって、現在悩んでいる方は本記事の内容を参考にしつつ、ライフスタイルや自身の運用方針なども組み合わせてより適切なトレードスタイルの選定に繋げていってほしい。

(画像:Shutterstock)

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