FXの通貨に関する基礎知識|初心者におすすめの通貨ペアを解説

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FXで取り扱っている通貨の特徴

まずは、FXで取り扱っている通貨の特徴と、通貨ペアについて解説していこう。

FXにおいては、「米ドル/日本円」や「ユーロ/米ドル」という形で2つの国の通貨を組み合わせて取引をおこなう。これを通貨ペアという。

通貨ペアの右側を決済通貨、左側を基軸通貨と呼び、仮に取引をして利益か損失が発生した場合は決済通貨建てとなる。

決済通貨とは、取引で発生した利益や損失が発生する通貨であり、具体的には、米ドル/日本円を取引して利益を得た場合の決済通貨は日本円であるため、日本円建ての利益になるということである。

ちなみに、ポンド/米ドルの場合は米ドル建てとなるが、FX口座に反映される際は自動で日本円に換金されるため、基本的に自身で計算や手続きをする必要はない。

以上を把握した上で、各通貨ペアの特徴を参考にしてほしい。

米ドル/日本円

米ドルと日本円を組み合わせた通貨ペアであり、流動性が高いため値動きが安定しているのが特徴。

ほどよくボラティリティ(※1)もあり、ほとんどのFX会社でスプレッド(※2)が狭く設定されている。

また、米国と日本の経済情報を取り扱う情報サイトも多いことから、初心者にとって取引しやすい通貨ペアと言えるだろう。

一方、米国の政策金利発表や雇用統計等の重要経済指標の内容によっては、相場が激しく乱高下(※3)することがあるため、その点には注意してほしい。

※1:ボラティリティとは、為替相場の価格が変動する度合いを指している。値動きが大きればボラティリティが高い、その反対は低いと表現する。
※2:スプレッドとは、買値と売値の価格差であり、実質的なFX会社に支払う手数料。
※3:乱高下とは、為替レートが短期間で激しく上昇と下落を繰り返すこと。

ユーロ/米ドル

ユーロ/米ドルは世界で最も取引されている通貨ペア。流動性が高く、スプレッドも比較的狭く設定されている。

そして、ロンドン市場が始まる日本時間16時と、米国市場が始まる日本時間21時30分のタイミングは値動きが大きくなる特徴がある一方、アジア時間と呼ばれる8時~16時の間は相場が緩やかになる。

また、米国経済の影響が大きいことに加え、ドイツ・イタリア・フランスといったユーロ圏の国々の経済情勢も値動きに関わってくることを覚えておいてほしい。

ユーロ/日本円

ユーロ/日本円は全体的な取引額が多い通貨ペア。

スプレッドが狭く設定されており、比較的緩やかな値動きの特徴があることから、初心者でも取引しやすい通貨ペアと言えるだろう。

また、ユーロ/米ドルと同じようにロンドン市場の時間帯に相場が活発になり始める一方、日本市場が動いているアジア時間はそこまで大きな値動きにはならないことが多い。

そして、ユーロ圏と日本の経済状況に加えて、ユーロ/米ドルとも相関(※4)していることから、米国経済もユーロ/日本円の値動きに影響を与えるため、経済指標発表等は欠かさずチェックしておこう。

※4:相関とは、一方に変化があればもう片方が変わるような関係性のこと。FXにおいてはユーロ/米ドルが買われて(ユーロが買われ米ドルが売られる)レートが上昇すると、米ドル/日本円では米ドルが売られたことでレートが下落するといった現象。

英ポンド/日本円

英ポンド/日本円は世界的にも取引量が多い反面、市場に流通している量が比較的少ないことからボラティリティ(価格の変動率)が高い通貨ペアである。

短期的に利益を狙える一方、その分の損失も大きくなるため、チャレンジする際は少額資金で安全に始めることをおすすめする。

また、スプレッドが比較的広く設定されていることが多く、英国と日本に加えて、ユーロ圏の経済情勢も価格の変動要因になるため、情報収集の際はあわせて確認するクセをつけてほしい。

豪ドル/日本円

オーストラリアは鉱物等の資源が豊富であることから、鉄鉱石などのコモディティ(※5)の相場とも相関している。

たとえば、銀の価格が上昇すると豪ドル/日本円も連動する特徴がある。

また、主な貿易相手国である中国経済の影響も強く受けるため、オーストラリアと日本の経済情報とあわせて中国経済の動きも確認してほしい。

基本的にアジア時間に値動きが活発になることから、日中に取引をおこなうことをおすすめする。

※5:コモディティとは、商品を指す言葉であり、商品先物市場の銀や原油といった銘柄のことである。

カナダドル/日本円

カナダは天然ガスや鉱物等の資源が豊富であることから、豪ドル/日本円と同じくコモディティの相場と相関している。

とくに、原油価格と主要貿易相手国であるアメリカ経済の影響を受けやすいことから、分析する際はカナダと日本経済をあわせてチェックしてほしい。

また、値動きは比較的安定しているが、スプレッドが広く設定されていることが多いため、短期的に頻繁な取引を行うと、取引コストが増加する可能性がある点には注意が必要だろう。

トルコリラ/日本円

高金利通貨の代表格であるトルコリラと低金利な日本円の組み合わせであり、FX市場においてとくにスワップポイント(※6)が高い通貨ペアである。

通貨の流動性が低く、値動きが激しい特徴があることに加えて、トルコは中東やヨーロッパに囲まれていることから、地政学リスク(※7)による価格変動が発生しやすい点に注意が必要である。

たとえば、海洋資源開発におけるギリシャとの関係性や、ロシアとの軍事取引などは価格変動の大きな要因になり得ることから、取引する上でも把握しておく必要がある。

過去の例で言うと、シリア内戦はトルコリラが下落したきっかけになっている。

以上のことから、短期的に価格が大きく変動するリスクがあるため、長期的にスワップポイントを得るトレードスタイルで活用されることが多い通貨ペアである。

※6:スワップポイントとは、2つの国の金利差によって得られる利益であり、毎日付与される。

※7:地政学リスクとは、地理的な位置関係によって軍事的、政治的な緊張の高まりが、その地域または世界経済に影響を与えることを指している。

南アフリカランド/日本円

南アフリカランドは、アフリカ諸国全体におけるGDPのおよそ20%を占める南アフリカの通貨である。

トルコリラ同様、高金利通貨であることから、南アフリカランド/日本円は短期取引よりも長期的なスワップポイントを得るトレードに利用されることが多い。

また、プラチナや金、自動車製造に必要不可欠なパラジウムの輸出が活発であることから、コモディティ相場とも相関が深い。取引の際は日本経済とあわせて押さえてほしい。

通貨ペアの選び方

ここからは、FXの通貨ペアの選び方について解説していく。取引する通貨ペアが決まっていない方はぜひ参考にしてほしい。

スプレッドの狭さで選ぶ

FXは基本的に買値と売値の価格差であるスプレッドが設定されており、FXにおける実質的な取引コストにあたる。

たとえば、スプレッドが1円の際に米ドル/日本円を100円で買った場合は、1円分の含み損がある状態となり、101円までレートが上昇しなければ利益に転換しないのである。

スプレッドが広いほどコストが大きくなってしまうことから、なるべくスプレッドが狭く設定されている通貨ペアを選ぶことをおすすめする。

取引量の多さで選ぶ

取引量が多い通貨ペアは値動きが安定する特徴があるため、分析による将来的な値動きの予測をしやすいと言える。

また、突発的に価格が変動することも少ないことから、損失リスクを抑えながら取引できる。これはFXを始めたばかりの人はとくに重視した方が良いポイントである。

以下は取引量が多い通貨ペアの一覧である。今後の取引の参考にしてほしい。

通貨ペア 直近1年の取引量 市場におけるシェア
米ドル/日本円 293,926,456 58.47%
英国ポンド/円 62,162,484 12.37%
豪ドル/円 40,182,925 7.99%
ユーロ/米ドル 36,940,754 7.35%
ユーロ/円 30,144,656 6.00%
英国ポンド/
米ドル
5,368,829 4.27%
豪ドル/米ドル 293,926,456 1.07%
英国ポンド/
豪ドル
2,583,376 0.51%
NZドル/米ドル 2,386,625 0.47%
メキシコペソ/
1,667,271 0.33%

※2021年2月末時点:(単位:百万円)
参照元:SMBC日興証券

ボラティリティの大きさで選ぶ

ボラティリティとは、相場における値動きの度合いを指しており、値動きが大きいことをボラティリティが大きい、逆の場合はボラティリティが小さいと表現する。

そして、FXにおいては値動きが小さすぎると取引を行っても利益をだすことが難しく、逆に大きすぎても、自身の注文と反対方向の値動きに巻き込まれて損失が発生してしまうだろう。

最初のうちは「米ドル/日本円」や「ユーロ/米ドル」などの値動きが大きすぎず小さすぎない通貨ペアを選ぶことをおすすめする。

通貨国の安定性で選ぶ

FXの通貨ペアを選ぶ上では、発行国の安定性もチェックするべきポイントとなる。

たとえば、地政学リスクのある国は近隣諸国の紛争や経済的対立が価格の下落を引き起こしやすい。

また、一党制を採用している国も突発的に規制や政策が変更されやすい特徴があるため、大きな価格変動が起こりやすいリスクがある。

そのため、経済情勢や政治の運営体制が安定している国の通貨を選んだ方が、突発的な価格変動による損失リスクを抑えることができるだろう。

スワップポイントで選ぶ

トルコリラ/円や南アフリカランド/円といったスワップポイントの高い通貨ペアで取引する方法もある。

長期的に建玉(※8)を保有し続けることでスワップポイントを毎日得られるため、短期的な取引に苦手意識がある人にはとくにおすすめである。

※8:建玉(たてぎょく)とは、新規注文後、決済せずに保有している通貨ペア。ポジションと呼ばれることもある

初心者におすすめの通貨ペア

ここからは「これからFXを始める人・FXを始めたばかりの人」におすすめの通貨ペアを解説していくため、ぜひ参考にしてほしい。

米ドル/日本円

米ドル/日本円は初心者に最もおすすめの通貨ペアである。

米国と日本両方の経済情報を収集しやすく、スプレッドが狭く設定されているため、取引コストを抑えることができる。

また、アジア時間やロンドン市場、そして米国市場の全ての時間帯で安定した値動きがあるため、自身の好きなタイミングで取引をおこなうこともできるだろう。

ユーロ/米ドル

ユーロ/米ドルはアジア時間では値動きが小さい反面、ロンドン市場が始まってからはほどよいボラティリティが発生しやすいことから、比較的利益を出しやすい通貨ペアと言えるだろう。

また、米国はもちろんユーロの経済情報も比較的収集しやすく、米ドル/日本円と反対の値動きになる頻度が高いため、組み合わせてトレードすると値動きの流れが掴みやすくなる。

また、比較的スプレッドが狭く設定されていることも初心者におすすめのポイントである。

トルコリラ/日本円

トルコリラ/日本円はボラティリティが高く、トルコの経済情勢や地政学リスクによって値動きが不安定になる傾向があるため、短期間で取引をおこなうにはリスクが大きい通貨ペアである。

しかし、一度新規注文をして決済をせずに保有しておけば、頻繁に取引を重ねることなくスワップポイントを得ることが可能である。

したがって、長期的な運用におすすめの通貨ペアと言える。

通貨取引に関する用語解説

ここからは、通貨取引に関する用語について解説をしていく。FXに関する情報サイトなどで頻繁に登場するため、ぜひとも覚えておいてほしい。

クロス通貨とストレート通貨

FXの通貨ペアには2種類の呼び方がある。

米ドル/日本円やユーロ/米ドルといった米ドルが組み合わされている通貨ペアはストレート通貨、それ以外はクロス通貨と呼ばれる。

これは為替市場が、世界の基軸通貨である米ドルを中心に取引が行われていることに起因しており、米ドルをストレート取引するため、ドルストレートとされるのである。

一方、米ドルを含まない通貨ペアでも為替取引をおこなう上では、一度米ドルを介する必要がある。

たとえばユーロ/英ポンドを買った場合、FX口座に入金されている資金(日本円)で米ドルを買う取引が自動でおこなわれ、その後、米ドルを売ってユーロを買うのである。

米ドルを売り、ユーロを買うという2度の取引がクロスするため、クロス通貨とされている。

ちなみに、ユーロ/日本円等の通貨ペアは、日本円が絡むことからクロス円と呼ばれる特徴があるため、あわせて覚えてほしい。

メジャー通貨とマイナー通貨

FXにおいては流動性が高く、米ドル、日本円、ユーロなどの取引量が多い通貨をメジャー通貨と呼んでいる。

一方、流動性が低く、取引量が少ない通貨はマイナー通貨とされており、トルコリラや南アフリカランドがそれにあたる。

ちなみにメジャー通貨とマイナー通貨は、通貨ペアのことを指しているわけではなく、通貨単体のことを言う。

通貨に関するQ&A

ここでは通貨に関するちょっとした疑問に回答していこう。

FX会社によって取り扱っている通貨ペアは違いますか?

カバー取引先(※9)の銀行の多さ、そして種類によって取扱い通貨ペアは異なる。

通貨ペアの種類は、標準的なFX会社で20種類程度、豊富なFX会社では100種類を超えるところもある。

※9:カバー取引先とは、FX会社がトレーダーの注文と同じ数量の注文をおこなうカバー取引の相手先であり、銀行、証券会社等がそれにあたる。

カバー取引をおこなう理由として、FX会社とトレーダーは利益相対関係、つまりトレーダーの利益がFX会社の損失、そしてトレーダーの損失が利益になる関係であるため、仮にトレーダーが利益を出し続ければFX会社にとっては大きな損失になる。

そこで、トレーダーと同じ注文を別の金融機関に対して行い、損失をカバーしているのである。

スワップポイントが低くなることはありますか?

スワップポイントは基軸通貨と決済通貨同士の金利の差であるため、それまで高金利であった国が金融政策によって利下げを実施すれば、差が縮まってスワップポイントも低くなるケースもある。

通貨ペアやコモディティ相場の相関関係が崩れることはありますか?

結論としては崩れる可能性はあるだろう。

たとえば、米ドルが買われれば米ドル/日本円は上昇し、ユーロ/米ドルは下落するのが基本である。

しかし、ユーロの指標発表が好調な場合等でユーロが買われ、反対に日本経済が落ち込んでいる場合は日本円の売りが強くなり、両方の通貨ペアが上昇するケースもある。

したがって、相関関係を分析する際は値動きの理由についても考察することが大切である。

(画像:Shutterstock)

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