【FX】スイスフラン特徴・変動要因・今後の見通し|どのような人におすすめの通貨か

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スイスフランの発行国であるスイスは他国の戦争に関与せず、軍事同盟も結ばない永世中立国である。また、ヨーロッパに位置していながらもEUには加盟せず、自国通貨を起用している。

そういった背景が為替相場へどのように影響するかを理解することで、スイスフランの値動きや需要が拡大するタイミングを判断することができるだろう。

この記事では、スイスフランの特徴や今後の見通し予想を説明し、スイスフランはどのような人におすすめの通貨なのかを解説する。

スイスフランの基礎知識

ヨーロッパの通貨といえば、世界第2位の流通量であるユーロが挙げられるが、EUに加盟していないスイスは自国通貨であるスイスフランを起用している。

国際決済銀行(BIS)が発表した最新統計によると、為替市場におけるスイスフランの流通量は全体の5%と決して規模は小さくなく、IMF(国際通貨基金)のSDRに採用されていることから、世界的にも信頼性の高い国際通貨といえるだろう。

ちなみにスイスフランのシェアは中国の人民元よりもやや大きく、カナダドルと同程度、日本円の約3分の1の水準である。

また、スイスの総人口は約800万人と比較的小規模でありながら、1人あたりの年間GDPは2021年時点で世界第2位となっている。

GDP(国内総生産)とは一定期間で生産したモノやサービスの価値を示す指標であり、数値が高いほどその国の景気、及び経済が豊かだと判断できることから、スイスは経済的に安定した国といえるだろう。

また、スイスが抱えている債務も年間GDPに対して4割程度と、国民全体の1年分の稼働で十分返済できる範囲に収まっているため、経済的に破綻するリスクが低いことも大きな安心材料といえるだろう。

SDR(Special Drawing Rights)とは
  • IMF加盟国が出資比率の分だけ得られる「特別引き出し権」
  • 国家的な外資不足などが起こった際、SDRと引き換えに加盟国の通貨を受け取れる

地政学リスクが発生した際に買われやすい

スイスは多国間の軍事衝突に関与せず、自国の保有する武力を行使することのない(自国がなんらかの軍事攻撃を受けた場合に備えて軍を保有している)永世中立国であり、周囲を取り囲むEU諸国からも一線を引いたスタンスを確立している。

そのため、スイスフランは地政学リスクの影響を受けにくい通貨の一つであり、裏を返せば「有事のフラン買い」が発生しやすいのである。

たとえば2001年の米同時多発テロにおいては、米国がテロ被害にあったことをネガティブに捉えた投資家達がドルを売ってフランを購入し、2009年のギリシャ経済危機においても同様の流れが見られた。

したがって、今後同じように諸外国における経済的、あるいは軍事的な緊張感が高まった際は、スイスフランの需要が拡大するタイミングとして注目しておくとよいだろう。

地政学リスクとは
  • ある特定の地域や国における経済や軍事的緊張感の高まり
  • 国家間の軍事衝突や経済的な意見対立があげられる

ユーロ相場の影響を受ける

スイスはEU加盟国に囲まれていることから、経済的な関わりが大きく、ユーロ相場の影響も受けやすいことが特徴だ。

これに関しては、スイスにおけるGDPの6割以上を占める輸出産業のシェアを解説した方がより理解が深まるだろう。

国名 輸出シェア(%) 輸入シェア(%)
ドイツ 15.2 20.9
アメリカ 12.3 7.9
中国 8.2 5
インド 6.7 データなし
イギリス 5.7 7.3
フランス 5.7 6.8
イタリア 6.7 7.6
ドイツ 15.2 20.9

これらはスイスと貿易取引のある主要国であり、ドイツ単体のシェアは比較的高くなっている一方、突出した数値はないようにも思える。

しかし、「対EU」のシェアはどうだろうか。

EU加盟国であるドイツ・フランス・イタリアの数値を合算すると、輸入は35.3%、輸出は27.6%にも昇る。

そのため、たとえばドイツ経済の悪化によって、製品や物資を仕入れる(輸入)余力がなくなれば、スイスにとっては収入が減ってしまうことに繋がる。

これはほかのEU加盟国でも同じことがいえるのだ。

金相場とも関連している

金は世界中で通用する共通資産であり、価値が変動するリスクのある通貨を金に換えて、財産を保全する投資家も多くなっている。

また、その概念は国家単位でも変わらず、IMF加盟国は輸入代金や債務の支払い、通貨の信用度を担保するために、自国が保有している資産の一定割合以上の金をストックしておくことが義務づけられているのだ。

スイスは通貨の40%相当分を金として持っていることから、金相場の上昇は資産価値の向上に繋がり、スイスフランが買われる材料となる可能性が高い。

ただし、金相場が下落すればスイスが保有する資産の価値も下がり、スイスフラン売りとなる可能性があるため、その点には注意が必要だろう。

スイスフラン/円のスプレッド・スワップポイント

2021年11月19日時点のFX会社のスプレッド・スワップポイントは次の通りだ。

スイスフラン/円 外為どっとコム DMM FX GMOクリック証券 みんなのFX LIGHT FX SBI FXトレード LINE FX 楽天FX LION FX 外貨ex byGMO
スプレッド 1.8銭 1.8銭 1.8銭 1.7銭 1.6銭 1.69銭※1 1.6銭 1.8銭 1.6銭 1.8銭
※2
スワップポイント
(買い)
-25円 -18円 -24円 -10円 -10円 -21円 -24円 -35円 -34円

※1:注文数量1,001~100万までのスプレッド最頻値
※2:午前9時~翌午前3時

スイスフランの今後の見通し予想

通貨の見通しを判断する上では、経済の成長性も重要なポイントだが、実際のところスイスは既に成熟している国ということもあり、どちらかといえば政策金利の推移に注目してほしい。

コロナウイルスの影響により、当面の間は現状のマイナス金利が続く観測が濃厚となっているが、SNB(スイス国立銀行)が景気回復と判断した場合は当然利上げに踏み切る可能性もあり、そうなればスイスフランの長期的な上昇要因となるだろう。

また、同じく注目しておきたいポイントとして、中東の地政学リスクもあげられる。

具体的には、昨今発生したアフガニスタンのテロ行為に対する米国の対応や、イラン核合意の再構築における緊張感が高まれば、米ドル売りスイスフラン買いに発展するパターンも考えられるため、特に米ドル/スイスフランの値動きに関しては注目しておきたいところである。

一方、全体的な総括として、スイスフランは対ユーロ、対ドル、対円で高値圏を推移しており、今後も大きく下落するような目立った材料はないといえるだろう。

ただし、SNBの為替介入は常に意識しておくべき懸念材料であることから、輸出シェアの大きいヨーロッパや米国に対してスイスフランが今以上に高くなった場合には、ある程度取引を控えて様子見、または保有している建玉を一部決済して手放すなどしてリスクを軽減しておくのがおすすめである。

スイスフランの取り扱いのポイント

ここからは、スイスフランを取り扱う際のポイントについて見ていこう。

中央銀行による為替介入がある

SNBはスイスフラン高を抑制するために為替介入をおこなうケースがあり、取引する上では押さえておくべきポイントといえるだろう。

ここではまず、なぜスイスフランの通貨高がSNBに嫌気されるのかについて触れておきたい。

為替レートというのは、他国が発行する通貨と両替する際に適用される価格を指している。たとえば「米ドル/日本円」が100円(1米ドル=100円)の際は、100米ドルの米国製品が1万円で購入できる。

また、「米ドル/日本円」が50円までドル安方向に下落した場合(1米ドル=50円)は、同じ製品が半額の5,000円で手に入るため、日本企業は積極的に輸入(購入)するようになり、米国の輸出産業は販売しやすくなるだろう。

一方、ドル高が進み「米ドル/日本円」が500円になった場合はどうだろうか。

もしそうなれば、先ほどの製品は5万円というコストを負担しなければ購入できなくなってしまうことから、当然米国製品を輸入したい日本企業は大幅に減少し、米国の輸出産業にとって不利になるのだ。

ただし、通貨高はデメリットばかりでなく、輸入においては海外製品が安く購入できるメリットがある。そのため、どちらを重視するかは国家の政策に左右されるのである。

SNBはスイスフラン高が引き起こす不利な状況を予防するために、輸出シェアの大きい対ユーロや対米ドル相場において為替介入をおこない、意図的にスイスフラン安を引き起こすのである。

ちなみに通貨安とは異なるが、SNBは2015年に1ユーロ=1.20スイスフランの上限制度をなんの前触れもなく撤廃(通称:スイスフランショック)したこともあり、その際わずか20分という短時間で「米ドル/スイスフラン」は約2,800pips、スイスフラン/日本円においては約4,000pipsという未曽有の大暴騰を発生させている。

これは「米ドル/日本円」で例えれば、100円から140円近くまで一瞬で上昇するのと同様であることから、いかに激しい値動きだったかがわかるだろう。

実際のところ2021年3月時点での介入規模は1,000億ドルを超えており、今後もSNBの動向は注視してほしい。

ユーロ経済と金相場の両方をチェックする必要がある

先ほど解説した通りスイス経済はユーロとの関わりが強い。

スイスフランを取引する際はEUの中央銀行にあたるECBの政策金利発表はもちろん、ドイツ、フランス、イタリアなどの失業率やGDPといった経済指標発表も欠かさずチェックしてほしい。

また、スイスは金保有量も大きいことから、金相場も同様に注視しておくとよいだろう。

スイスフランはどのような人におすすめの通貨か

スイスフランには次のような特徴がある。

スイスフランの特徴
  • ユーロ相場の影響を受けやすい
  • 金相場とも関連性が高い
  • 米ドル/スイスフランのスワップポイントは水準が高め

このような特徴を踏まえてスイスフランはどのような人におすすめなのかを解説する。

スイスフランの取引をおすすめできる人

スイスフランはEU加盟国の経済に影響を受ける性質があることから、ユーロ/米ドルやユーロ/日本円を取引している人にはとくにおすすめの通貨といえるだろう。

また、金相場の上昇はスイスが保有している資産の価値が向上し、スイスフランの買いが強まる可能性もあるため、CFD*8の金取引をおこなっているトレーダーも相性が良くなっている。

そして、米ドル/スイスフランのスワップポイントは比較的水準が高く、長期視野で保有していけばスワップポイントを積み重ねていくこともできるだろう。

スイスフランの取引をおすすめできない人

米ドル/日本円や英ポンド/日本円といった、ユーロが絡まない通貨ペアをメインに取引している人は、スイスフランを取引すると収集すべき情報が増えるため、おすすめはできないといえるだろう。

また、SNBによる為替介入が発生した際は相場の値動きが激しくなる可能性もあることから、経済指標発表やニュースから細かく動向を読み取る必要がある。

分析スキルに自信のない人は、情報収集ができるFX会社で口座を開設して勉強しながら始めてみてはいかがだろうか。

スイスフランを取り扱っているFX会社

ここからは、スイスフランを取り扱っているおすすめのFX会社を紹介する。

スワップポイントや対米ドル、対円を取り扱っているところを中心に厳選しているため、ぜひ参考にしてほしい。

みんなのFX

出典:みんなのFX

みんなのFXは業界最狭水準のスプレッド、高水準のスワップポイントが魅力のFX会社である。

最短1時間で口座開設できることや1,000通貨単位の少額取引ができることから、初めて口座開設するFX会社としてもおすすめできる一社である。

スイスフラン/円のスプレッドは1.7銭、スワップポイントは0円となっている。買いスワップがマイナスのFX会社が多い中、0円というのは高水準であるといえるだろう。

ヒロセ通商(LION FX)

出典:ヒロセ通商(LION FX)

50種類の通貨ペアと10種類以上の取引ツールを提供しているヒロセ通商は、スワップポイントも高水準且つFXの初心者でも相場知識が学べる情報コンテンツが豊富なFX会社である。

スイスフラン/日本円が1.6銭という狭いスプレッドで取引可能となっており、トレーダーにとってメリットは大きいといえるだろう。

IG証券

出典:IG証券

IG証券の親会社であるIGグループは、世界中で20万人以上のユーザー数を誇る金融企業であり、取り扱っている通貨ペア約100種類、CFD商品も17,000種類以上と業界トップクラスの水準を提供している。

もちろん金も取引可能であり、スイスフランの通貨ペアも8種類と豊富であることから、多彩な相場経験を積んでいけるだろう。

また、スプレッドも狭く、取引ツールに関してもテクニカルチャートを豊富に備えた機能性があるため、長期的な利用にも適しているFX会社である。

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(画像:Shutterstock)

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