【FX】ユーロ(EUR)の解説──主要通貨ペアや値動き要因も

ユーロ(EUR)基本情報

特徴ユーロは1999年に取引が開始されたまだ歴史の浅い単一通貨だ。米ドルに次いで2番目に取引量が多い。
EU加盟全27ヵ国中19ヵ国が通貨として採用している。1ユーロは100セントに分割可能だ。
使用国25ヵ国(非EU加盟国6ヵ国)
地域ユーロ圏
通貨記号
開始日1999年1月1日
中央銀行ECB(欧州中央銀行)
中央銀行総裁クリスティーヌ・ラガルド(2020年)
供給量14兆2,375億ユーロ(M3)
※2020年10月
政策金利0%
※2016年3月~
10年国債金利ドイツ:▲0.557%
フランス:▲0.314%
スペイン:0.063%
※いずれも2020年12月18日時点
物価上昇率ドイツ:+0.5%
フランス:+0.5%
スペイン:▲0.2%
※いずれも2020年予測
GDP成長率ドイツ:▲6.0%
フランス:▲9.8%
スペイン:▲12.8%
※いずれも2020年予測
公式サイトURLhttps://www.ecb.europa.eu/home/html/index.en.html
公式Twitter URLhttps://twitter.com/ecb

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ユーロ(EUR)の紙幣と硬貨

ユーロの補助通貨にはセントがあり、ユーロに関する紙幣と通貨には、7種類の紙幣と8種類の硬貨が流通している。

紙幣5ユーロ10ユーロ20ユーロ50ユーロ100ユーロ200ユーロ500ユーロ 
硬貨1セント2セント5セント10セント20セント50セント1ユーロ2ユーロ

ユーロ(EUR)の代表的な通貨ペア

ユーロの代表的な通貨ペアは5種類ある。

・ユーロ/ドル(EUR/USD)
・ユーロ/円(EUR/JPY)
・ユーロ/ポンド(EUR/GBP)
・ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)
・ユーロ/豪ドル(EUR/USD)

ユーロ/ドル(EUR/USD)

ユーロと米ドルは世界で最も流通量が多い通貨の組み合わせだ。そのため、世界で一番取引量が多い。2002年から流通が開始したので主用となる通貨ペアの中では新しいのも特徴の1つだ。

ユーロ圏とアメリカの経済状況によって値動きが変動する。また、米ドルとユーロの動きは反対の方向に動きやすく、米ドルが売りの場合はユーロが買い、ユーロが売りの場合は米ドルが買いという状況になりやすい。

ユーロ/円(EUR/JPY)

ユーロと円は世界で2番目と3番目に流通量の多い通貨の組み合わせだが、通貨ペアとしては取引量が少ない。そもそもユーロ/円を取引する場合は米ドルを円で購入し、ユーロ/ドルを取引するのが一般的だ。

そのため米ドルの影響を受けやすい通貨ペアであるといえる。また、ユーロ/円のような米ドル/円以外の外貨と円の組み合わせのことをクロス円と呼ぶ。

ユーロ/ポンド(EUR/GBP)

ユーロとポンドは世界で2番目と4番目に流通量の多い通貨の組み合わせだ。通貨ペアとしても取引量のある有名なペアとなっている。

ポンドは値動きの激しい通貨なので大きな利益が期待できる一方、米ドル/円などと比較するとリスクの高い通貨となっているので注意が必要だ。長期投資には向かず、デイトレード向きの通貨といえる。

ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)

スイスは欧州連合に参加せず、ユーロにも参加しなかった永世中立国であるため、ユーロとスイスフランの関係は深い。
2015年の「スイスショック」ではSNB(スイス国立銀行)がユーロ/スイスフランの上限、1ユーロ=1.20フランを廃止したことで、約30%の下落率である約0.35フランの暴落が発生した。

スイスフランは有事の際に買いが入りやすい安全とされる通貨ではあるが、SNBによる為替介入に気をつけて取引をしたい通貨である。

ユーロ/豪ドル(EUR/USD)

ユーロと豪ドルは政策金利の低いユーロと政策金利の高い豪ドルで、スワップポイントを得られる長期投資向けの通貨であった。

しかし、豪ドルの政策金利が2020年11月現在で0.10%と過去最低の水準になったことで、長期投資にメリットを感じにくい通貨ペアとなってしまった。
今後、長期投資を考えるなら政策金利の動きに着目しながらおこなう必要がある。

定期的なイベント

アメリカの雇用統計 毎月第1金曜日

アメリカ労働省が原則毎月第1金曜日に公表する、「失業率」や「非農業部門雇用者数」など、雇用に関する統計指数。

ユーロに直接関係のある指数ではないが、米ドルに与える影響が大きく、クロスレート(ユーロ/円のように、米ドルを介して取引する通貨ペア)のユーロ通貨ペアへの影響も大きい。

EU基準消費者物価指数(HICP) 毎月初旬

EU統計局が毎月公表する、EU加盟国全体の消費者物価指数。国ごとに作成されたものを集計し、作成される。

ECB(欧州中央銀行)は物価目標にHICPの前年同月比+2%以下、もしくは+2%付近の達成を掲げる。2020年11月では▲0.3%だが、2%に近づくと緩和的な政策の終了が意識される可能性があるだろう。リスクオフが意識されればユーロ安となろうが、金利の上昇やインフレ抑制が意識されればユーロ高となるだろう。

独IFO景況感指数 毎月下旬

ドイツIfo経済研究所(Information and Forschung)が毎月公表する、ドイツの現在と向こう半年の景況感に関する指数。ドイツ国内企業約7,000社へのアンケートを基に算出され、鉱工業生産との関連性が高いとされる。

後述のZEW景況感指数より発表が1週間程度遅いが、調査対象が広いため、正確性に優れるとされる。

ドイツの経済規模はユーロ圏で最大だ。市場の注目度は比較的高く、発表の前後はレートが大きく動く可能性がある。

独ZEW景況感指数 毎月中旬

ドイツ欧州経済研究センター(ZEW:Zentrum fur Europaische Wirtschaftsforschung)が毎月発表する、ドイツの向こう半年の景気見通しに関する指数。約350名のアナリストや市場関係者へのアンケートを基に算出される。

上述のIfo景況感指数より公表が早いため、先行指数としても活用される。

経営再建中「ドイツ銀行」決算 年に4回

ドイツ最大の民間銀行「ドイツ銀行」は経営再建中だ。ドイツおよびユーロ圏に与える影響が大きいため、その決算は市場の注目度が高い。

ドイツ銀行は2016年(12月決算)に13.6億ユーロ、2017年に7.4億ユーロの赤字となった。2018年は3.4億ユーロの黒字となったが、2019年は再び53億ユーロの赤字に転落した。

2020年は第3四半期が1.8億ユーロの黒字に転換した(前年同期は9.4億ユーロの赤字)が、新型コロナウィルス感染拡大の影響もあり、予断は許さない。ドイツ銀行の決算発表はしばらく警戒するテーマになるだろう。

ユーロ(EUR)の価格を予想する上でおさえるべき論点

ユーロの価格や今後の将来性を考える上で、論点となり得る要素を記載する。

軍事衝突や地政学的リスクの影響を受けやすい

1つ目の論点は、軍事衝突が発生すると地政学リスクを回避するために売りが先行しやすい点だ。
ユーロ圏は特にロシア、アラブ諸国と経済的に深い関係にあるので、該当する地域で紛争が発生した場合は売りが入りやすくなる可能性がある。

地域紛争・戦争が経済に影響を及ぼすことが懸念された場合は、ユーロに限らず短期的な変動要因になりやすいので、短期での取引を行う際は留意したい。

ユーロ圏中心国の経済指標と政策金利

2つ目の論点は、EU加盟国の中でもフランス、ドイツなどのユーロ圏の中心国の経済指標がユーロの買いと売りの基準を判断するのに使われやすい点だ。

EU加盟国は財政基盤の強い国と弱い国が混在する形になっているが、ECBのあるドイツと欧州議会のあるフランスの経済指標が欧州の代表として注目される形となる。
また、ECB理事会で決定される政策金利もユーロの変動要因になるだろう。

欧州債務危機(ギリシャ債務危機)

一方で、EU加盟国の中でも財政基盤の弱い加盟国の財政状態の問題が明らかになったときにユーロの価格も暴落するリスクも抱えている。

3つ目の争点は、実際に過去に暴落が発生した原因にもなったギリシャの債務危機である。2009年の秋にギリシャの政権交代により、前政権が赤字を秘匿していたことが明らかとなった。
EU加盟国の中でも、財政基盤の弱い国の財政の問題が明らかになるとユーロが暴落する要因になることが分かる過去の事例の1つだ。

2017年以降ギリシャのGDP成長率はプラスに転じ、ギリシャの財政収支は黒字化に成功している。しかし、今後ギリシャの財政に新たな問題があると発覚した場合や、他のEU加盟国の財政面における大きな問題が明らかとなった場合は暴落の可能性がある。

イギリスEUの貿易協定の合意

イギリスはユーロを採用していないが、EUの加盟国だ。2016年6月に実施された国民投票によりEUから離脱する方針が決まり、2017年3月にリスボン条約50条を発動して正式に離脱を通告した。

イギリスは、EUからの受け取りよりも拠出の方が大きい「純拠出国」だ。つまり、EU財政にプラスの影響を与えていた。イギリスの拠出額はドイツ、フランスに次いで3番目に多く、上位3国でEUの純収入の大半を占める。イギリスの離脱はEUの財政にとって痛手だ。

イギリスの離脱は確定しているため、EU財政への悪影響は避けられないだろう。ポイントは離脱後の貿易協定だ。イギリスのEU離脱後の貿易協定に関しての合意は、2020年12月18日現在、実現していない。これまでEUの自由貿易協定の恩恵で貿易が促されていた面があるが、合意のない離脱はイギリスとの貿易減少が想定される。

イギリスはドイツの輸出の6.8%、フランスの輸出の5.9%を占める(2019年)。貿易協定の合意がないまま離脱が行われると、EU圏内の企業業績にまで悪い影響が及びかねない。ユーロにとってさらなる下落圧力になり得るだろう。

「純受益国」の加盟増加によるEU財政圧迫

ドイツやフランスのように、EUからの受け取りより拠出の方が多い国を「純拠出国」というが、反対に受け取りの方が多い国を「純受益国」という。純拠出国が増えるほどEUの財政にはプラスだが、今後は反対に純受益国が増える可能性が高いだろう。

EU加盟国のうち、純拠出国および純受益国は以下の通りだ。スペインを除き、経済的な規模が大きい国は純拠出国となり、小さな国は純受益国となる傾向が見て取れる。

【EUの純拠出国 ※()はユーロ非加盟国】
ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、(スウェーデン)、ベルギー、オーストリア、(デンマーク)、フィンランド

【EUの純受益国 ※()はユーロ非加盟国】
(ポーランド)、(ルーマニア)、ギリシャ、(ハンガリー)、(チェコ)、スペイン、スロバキア、(ブルガリア)、ポルトガル、リトアニア、(クロアチア)、ラトビア、エストニア、アイルランド、スロベニア、マルタ、キプロス

欧州の主要国の多くはすでにユーロあるいはEUに加盟し、純拠出国として支えている。EUがこれまで通り加盟国の拡大を目指す場合、今後は経済規模の小さい国が純受益国として加盟する展開が予想され、EU財政の負荷が増える可能性がある。

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