英ポンド(GBP)特徴【FX】:見通し・予想の為の値動き要因も

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イギリスの通貨「ポンド」は、米ドル・ユーロ・日本円に次いで取引されることの多い通貨である。しかし値動きが大きいなどのリスクから、ポンドでの取引は難しいとするトレーダーもいる。

ポンドにはどのような特徴があるのだろうか。ここではポンドの特徴や今後の値動きの見通し、取り扱いのポイントなどを紹介する。

ポンドの特徴

正式名称 スターリング・ポンド
通貨記号
取引量シェア 6.4% 世界第四位(2019年)
中央銀行 BOE(イングランド銀行)
中央銀行総裁 アンドリュー・ベイリー(2020年3月~)

イギリスの通貨ポンドの正式名称は「スターリング・ポンド」だ。スターリングは「純銀製」という意味で、銀塊から作られていたことに由来する。

ポンドの特徴
  • 世界の基軸通貨の歴史がある
  • 値動きが大きい通貨であること
  • 原油価格の影響を受けることがある

世界の基軸通貨の歴史がある

英国は1800年代後半の大英帝国時代から第二次世界大戦まで、軍事・経済力が世界一で、英国の通貨であったポンドは基軸通貨だった。

しかし世界大戦後、英国経済の衰退とともに世界基軸通貨はアメリカ合衆国の米ドルへと移行していく。現在ではポンドの取引量は世界で4番目に多い通貨となっている。

値動きが大きい通貨であること

取引量の多いポンドだが、米ドルやユーロに比べると流動性が低く、市場参加者が少ないため値動きに波が出てしまう。

実際に米ドル円とポンド円で値動きの違いを見ていこう。

米ドル/円と英ポンド/円の2021年4月~9月までの値動きを日足で見ていく。

米ドル/円・英ポンド/円の値動き

<米ドル/円>
高値 111.619円/ 安値 107.445円/値幅 4.174円
<英ポンド/円>
高値 156.055円/ 安値 148.422円/値幅 7.633円

米ドル/円と英ポンド/円では5ヶ月で3.459円もの値幅の差がある。これをFXでの単位pipsに換算すると345.9pipsとなっており、ポンドの値幅が大きいことがうかがえる。

原油価格の影響を受けることがある

イギリスは北海油田を保有しているため、ポンドは資源国通貨としての側面を持ち合わせている。

資源国通貨とは資源輸出の割合が大きい国の通貨を指し、保有している資源の価格に影響する場合がある。北海原油価格が上がればポンドも上昇し、原油価格が下がればポンドも下落するという相関性があるのもポンドの特徴の一つである。

一方で原油価格がイギリスのGDPに大きな影響をもたらすほどのインパクトはないため、原油価格のみが要因でポンドが動くというわけではない。

相関関係があるタイミングとないタイミングがあるということは注意しよう。

英ポンド/円のスプレッド・スワップポイント

2021年11月19日時点のFX会社のスプレッド・スワップポイントは次の通りだ。

英ポンド/円 外為どっとコム DMM FX GMOクリック証券 みんなのFX LIGHT FX SBI FXトレード LINE FX 楽天FX LION FX 外貨ex byGMO
スプレッド 0.6銭
※1
原則固定※例外あり
1.0銭 1.0銭 0.8銭 0.5銭 0.9銭※2 1.0~12銭 1.0銭 1.0銭 1.0銭
※3
スワップポイント
(買い)
1円 6円 5円 1円 1円 1円 5円 01円 1円

※1:(スプレッド縮小キャンペーン対象期間:2021年11月1日(月)午前9時~2021年12月4日(土)午前3時、提示時間帯:対象期間中の各営業日午前9時~翌午前3時)
※2:注文数量1,001~100万までのスプレッド最頻値

ポンドの今後の見通し予想

現時点でのポンドの上昇材料は多くはない。

イギリスのコロナワクチンの接種率は2021年7月3日時点で1回目接種が約83%、2回目接種が64%となっており、市場経済の再開も始まっている。しかしBOE(イングランド銀行)はゼロ金利や量的緩和などの金融緩和継続の見通しである。

またイギリスはEU圏の貿易量が多いことから、EUの景気動向を睨みながらの展開が続く。

そのためポンド円は大きなレンジ幅で推移が続く可能性が高いが、政策金利が引き上げられる過程でポンド高が強まることもあるだろう。

ポンドの取り扱いのポイント

ポンドで取引をおこなう際はリスク管理のためのポイントを把握しておこう。

ポンドのリスク管理のポイント
  • 値動きの幅が大きいためリスク管理に注意
  • 急なイベントリスクを想定すること
  • EU離脱後の影響が不透明

値動きの幅が大きいためリスク管理に注意

ポンドは米ドルやユーロなどに比べて、ボラティリティが大きいためリスク管理に注意が必要である。

ボラティリティとは、価格変動を指す言葉で「ボラティリティが大きい」と価格変動幅が大きい「ボラティリティが小さい」と価格変動幅が少ないという意味である。

ポンドは1日に100pips動くことも珍しくない。ポジションを保有した方向に動けば大きな利益となるが、逆行した場合は大きな損失になりかねない。

ここで米ドル/円とユーロ/米ドル、英ポンド/円での値幅の違いを見ていこう。(ボラティリティの差を見るためすべてクロス円で比較していく)

条件:【証拠金】10万円 【取引数量】1万通貨
上記で取引をした場合のボラティリティの大きさを比較していく。
※通貨ペアのレートは記事作成時のレート

米ドル/円
  • レート:110.22円
  • 証拠金維持率100%:104.64円(558pips)
  • ロスカット価格:102.43円(779pips)
ユーロ/米ドル
  • レート:1.1819ドル
  • 証拠金維持率100%:1.1386ドル(433pips)
  • ロスカット価格:1.1149ドル(670pips)
英ポンド/円
  • レート:151.87円
  • 証拠金維持率100%:147.95円(392pips)
  • ロスカット価格:144.91円(696pips)

上記の条件で米ドル/円とユーロ/米ドル、ポンド/円を比較するとロスカット価格や証拠金維持率100%になる価格はポンド/円が小さめである。

ここにポンドのボラティリティの大きさが加わることで、ロスカットの可能性は他の通貨に比べて高くなる。

米ドル/円やユーロ/米ドルのボラティリティはポンドに比べると小さい。そのためロスカットの可能性はポンド円と比較すると低いだろう。

急なイベントリスクを想定すること

イギリスではEUからの離脱「プレグジット」やスコットランドの独立問題などのイベントリスクが多い。そのため急な変動に備える必要がある。

第二次世界大戦までの世界基軸通貨時代に比べて、現在は流動性の低下が進み値幅が大きくなっているため、ロスカットによる損失の可能性もある。

ポンドでの取引ではストップロスの設定などのリスク管理を常におこなうことが大切だ。

EU離脱後の影響が不透明

イギリスは2016年の国民投票により、EUからの離脱「プレグジット」を選択し2020年1月31日をもって離脱している。EU離脱後の影響はポンドにとって不透明である。

外国からの輸入に頼るイギリスにとって離脱後の各国との貿易交渉の進捗はポンドに影響が出る可能性もある。

BOE(イングランド銀行)の金融政策や今後の動向によってはポンド相場の動きに変化(上昇から下降へなど)がある可能性もあるため、注意が必要だ。

ポンドはどのような人におすすめの通貨か

ポンドで取引をするには、FXを始めたばかりのユーザーにはリスクが大きい。経験が浅いユーザーは、FX取引に慣れてきてから選択することをおすすめする。

ポンドはドルやユーロに比べて値動きが大きい。そのため値幅の大きさを想定した証拠金の準備や損切りの設定、ロスカットによる損失を回避するためのロット数の管理を自己判断ができるレベルが必要である。

リスク管理の他にも、ポンドの値幅を味方につけることも重要だ。大きな値幅の特徴を捉えて取引をすることで、利益を伸ばすこともできるだろう。

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(画像:Shutterstock)

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