【FX】香港ドル(HKD)特徴:今後どうなるか見通し・推移の為に

(公開日:

香港ドル(HKD) 基本情報

特徴香港ドルはドル・ペッグ制(米ドル固定制)による固定相場によって形成されている特殊な通貨だ。
1米ドル=7.75香港ドル~7.85ドル の狭いレンジの値動きに設定され、
中央銀行がこの値動きの範囲内に収まるようバランスを保っている。
通貨の現行制度から米ドルとの相関関係が強いが、中国の特別行政区であるため、
中国の経済政策や人民元の影響も受けることがある。
使用国香港
通貨記号HK$
供給量15,775,578,000,000HK$ ※2020年10月
政策金利0.86% ※2020年11月
10年国債金利0.40% ※2021年1月4日
物価上昇率+0.3%(2021年予想)
GDP成長率▲7.5%(2021年予想)
中央銀行香港金融管理局
中央銀行総裁陳德霖
公式サイトURLhttps://www.hkma.gov.hk/eng/
公式Twitterhttps://twitter.com/hkmagovhk/

香港ドル(HKD):定期的イベント

香港ドルの価格に影響を与える発表は下記の4つだ。

  • 香港の雇用統計
  • PMI(中国製造業購買担当者景気指数)
  • 中国のGDP
  • 米国の雇用統計

香港雇用統計 毎月発表

香港の雇用統計は1ヶ月ごとに発表される。時期は明確に定められていないが中旬ごろに発表されることが多い

香港ドルの雇用統計において注目するべき点は失業率だ。失業率の上昇は経済の悪化が懸念されるため売り材料として判断される。

一般的には、失業率の上昇が予想よりも高ければ金利の上昇などを懸念し、売りが先行しやすくなるが、予想よりも低い場合は好感され買い材料になりやすい。
しかし、香港ドルの場合はドル・ペッグ制が解除されない限りは、香港の雇用統計で大きな変動を望むのは難しいだろう。

PMI(中国製造業購買担当者景気指数) 毎月発表

PMIは、中国の製造部門における毎月の経済活動の早期指標だ。CFLP(中国物流与采購連合会)、CLIC(中国物流情報センター)が中国統計局のデータを基に算出し、毎月発表される。

高ければ中国関連の通貨の買い材料となり、低ければ中国関連の通貨の売り材料となる。
中国における重要な経済指標であるため、人民元に影響を与え、香港ドルにも影響する可能性がある指標だ。

しかし、香港ドルへの影響よりも輸出を中国に依存しており、投資家から中国資産としても認識されている豪ドルなどへの影響の方が大きいかもしれない。

中国のGDP 四半期ごとに発表

中国統計局から発表されるGDPは四半期ごとの発表となる。時期は4月・7月・10月・11月で、中旬に発表されることが多い。

GDPを発表したことでFXに影響を与えるのは速報値であることが多い。特に、前期比、前年比が注目されやすく、前期比、前年比がマイナスである場合は通貨の売り材料となりやすい。
一方で、プラスとなった場合は通貨の買い材料になる可能性がある。

また、2021年は新型コロナウイルスの影響によるGDPの減少は避けられないので、前年比よりも前期比がプラスになることによる経済回復に対して期待が集まりやすいといえるだろう。

しかし、PMIもGDPも香港ドルのドル・ペッグ制が解除されてから注目される可能性が高い経済指標であり、固定制が解除されない限り影響は大きくはない。

米国の雇用統計 原則毎月第一金曜日


米国のFRBは、原則毎月第一金曜日に失業率や非農業部門雇用者数など雇用に関する統計を公表する。発表時間は、標準時間(冬時間)では概ね22:30、夏時間では概ね21:30だ。

香港ドルは米ドル・ペッグ制にあるため、米国の雇用統計の影響を大きく受けやすい。固定性が解除されなければ香港や中国の経済指標よりも、米国の経済指標の方が香港ドルの価格に大きな影響を与えるだろう。

しかし、ドル・ペッグ制が解除されれば、中国国内の指数が重要視され、米国の経済指標との連動制は弱まる可能性がある。香港ドルの状況次第でイベントが与える価格への影響も変わる点には留意しておこう。

香港ドル(HKD):代表的通貨ペア

香港ドルの通貨ペアは主に7種類ある。

  • 香港ドル/日本円(HKD/JPY)
  • 米ドル/香港ドル(USD/HKD)
  • ユーロ/香港ドル(EUR/HKD)
  • 豪ドル/香港ドル(AUD/HKD)
  • NZドル/香港ドル(NZD/HKD)
  • スイスフラン/香港ドル(CHF/HKD)
  • カナダドル/香港ドル(CAD/HKD)

香港ドル/日本円(HKD/JPY)

香港ドルは新型コロナウイルスの影響で2020年3月以降、政策金利が大きく下落した国も多い中で0.86%の金利を保っているため、0.96%の金利差によるスワップポイント投資も狙える通貨だ。

また、日本円とのレートが低いので少額から取引ができるのが特徴だ。香港ドルのレートが15円であれば、1Lot(10,000通貨)の購入でも最低購入金額は6,000円となる。米ドルが105円であれば最低投資金額が42,000円になるので、7分の1の価格で購入できる計算だ。

香港ドルと日本円の取引は少額からFXを始めたい人におすすめの通貨ペアといえるだろう。スワップポイントによる長期投資ができるのもFX初心者向けといえる。

香港ドル/米ドル(HKD/USD)

香港ドルと米ドルは米ドル固定制(米ドル・ペッグ制)により固定されており、1米ドル=7.75香港ドル~7.85ドルのレンジにしか動かない。

2020年3月以降、2021年に至るまで1米ドル=7.75香港ドルで固定されており、正確には7.75以降の小数点の範囲内でしか変動しない通貨となっている。

ドル・ペッグ制が解除されない限りは香港金融管理局によって上記の相場が維持され、0.01香港ドル単位で変動することも珍しい状況となるだろう。

ユーロ/香港ドル(EUR/HKD)

ユーロは香港ドルと相関関係にある米ドルと反対の方向に動きやすい通貨だ。ユーロの買い材料は米ドルの売り材料であり、米ドルの買い材料はユーロの売り材料となりやすい。
よって、米ドルと値動きに相関関係のある香港ドルも同様の関係になることが多い。

基本的にユーロの価格の基準はEUの代表となる国であるフランス・ドイツの経済指標によって判断される。ユーロ/香港ドルの取引をするならフランス・ドイツ・米国・中国の経済指標は確認しておこう。

しかし、ユーロを使用しているEUは財政基盤の弱い国を内包している。「ギリシャ債務危機」は財政基盤の弱い国の問題が明らかになったことでユーロは暴落した。
財政基盤の弱い国の財政状況が露呈すると暴落の要因になるので注意が必要だ。

豪ドル/香港ドル(AUD/HKD)

豪ドルは中国と経済的な結びつきが強いので、人民元の保有が難しい現状では豪ドルが中国資産の代わりとなっている。また、資源国通貨としての側面もあり、オーストラリアは鉄鉱石や石炭などの鉱物資源の輸出が多い。

2008年には一時、7%以上の金利のある高金利通貨であったが、2021年現在は香港ドルと比較しても金利が低く、最低水準の0.10%まで下落している。

香港ドルは通貨の仕組みの都合上、中国経済よりも米国経済に連動しやすいが、どちらも中国経済の影響を受ける可能性がある通貨として認識しておこう。

NZドル/カナダドル(NZD/CAD)

NZドルも中国への輸出が多く、中国との結びつきが強い。同じオセアニア通貨で資源国通貨である豪ドルとは相関関係が強く、ニュージーランドの輸出は酪農品が中心だ。

NZドルの価格を予想するために重要なイベントにはGDT(Global Dairy Trade)価格指数がある。ニュージーランドの乳製品の基準となる指数で、上昇すると買い材料になりやすく、下落すると売り材料になりやすい。

かつては豪ドルと同様に高金利通貨であったが、豪ドルと同様に香港ドル以下の水準まで下落している。NZドルも中国経済の影響を受ける通貨であるため、香港ドルのドル・ペッグ制が解除されることがあれば、連動性の高い通貨になる可能性もあるだろう。

香港ドル/スイスフラン(HKD/CHF)

スイスフランは2015年の「スイスショック」による暴落事例はあるが、日本円のように有事の際に購入されやすい安全といわれる通貨だ。

政策金利が11月時点で-1.25%であるため、高金利通貨とのスワップポイント投資では金利の差が発生しやすい香港ドルの金利は0.86%であるため、金利差は1.11%となる。

スワップポイントが同じ安全通貨の日本円よりも大きいので、香港ドルで長期投資を考えるならスイスフランも候補になるだろう。

カナダドル/香港ドル(CAD/HKD)

カナダドルは香港ドルと同様に米国との相関関係が強い通貨だ。香港ドルは通貨の仕組みから米国との強い相関関係を生んでいるが、カナダドルは地理的にも経済的にも深い結びつきがあることから米ドルとの強い相関関係を生んでいる。

ただし、カナダドルは原油価格の影響を受けやすい特徴もあるので、原油価格によっては香港ドルほど米ドルとの安定したチャートが形成されるわけではない。

カナダドルは米ドルと地理的な関係があるため相関関係が崩れることは考えにくいが、香港ドルはドル・ペッグ制の解除でいつでも相関関係が崩れる可能性を含んでいる。

香港ドル(HKD):価格予想の論点

他の米ドルとの通貨ペアとの強い相関関係

香港ドルは米ドルとのドル・ペッグ制であるため、例えば米ドル/円と香港ドル/円の値動きは非常に連動しやすい。他の米ドルを含む通貨ペアも米ドルを香港ドルに差し替えてもほとんど同様の動きをするといえるだろう。

香港ドルはマイナー通貨であり、取り扱っているFX会社はけっして多くないが、実はFX初心者向きの通貨である。なぜなら米ドルと香港ドルを比較するとレートが安いので少額投資がしやすく、金利も高いので長期投資もしやすいからだ。

ドル・ペッグ制が続く限り、米ドルと香港ドルのチャートは安定し続けるので、米ドルの値動きを意識するだけで香港ドルの値動きを予測することは難しくない。ただし、中国経済の影響を受けることもあるので、中国の経済指標で暴騰や暴落が発生するような情報があった場合は意識しておこう。

ドル・ペッグ制(米ドル固定制)の解除

香港ドルは英ポンドとのペッグ制だったが、1983年以降は米ドルとのドル・ペッグ制へと変化し、現在の状況となっている。ペッグ制とは為替レートを特定の水準に固定し変動を極小幅にする制度だ。米ドルとペッグ制を保つことをドル・ペッグ制と呼ぶ。

経済基盤の弱い国や、政治が安定しない国の通貨では米ドルのようなメジャーな通貨とペッグ制を取ることは珍しくはない。しかし、香港ドルのような経済規模を持っている通貨がペッグ制を取っている例は非常に珍しい。

ペッグ制は通貨相場の安定化を計ることができるが、同時に金融政策の自由を失うので、香港ドルの場合はデメリットも大きい。長期的に考えればドル・ペッグ制が解除される可能性もあるだろう。

仮にドル・ペッグ制が解除されたなら、香港ドルにこれまでにない大きな相場が形成され、米ドルとの相関関係が崩れることも予想できる。

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(画像:Shutterstock)

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