FXの取引方法の流れ・注文方法の種類|ケース別おすすめの方法を解説

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この記事では、これからFXを始める人にむけてFXの取引の基本的な流れや注文方法を解説する。

それぞれの注文方法がどういう人に適しているのかも説明しているので、取引を始める前にぜひ参考にしてほしい。

FXの取引の基本的な流れ

ここではまず、FX取引の一連の流れについて見ていこう。どのFX会社でも共通する流れとして「新規注文」「約定」「決済」が通常の手順となる。

新規注文

新規注文とは、建玉を保有するための手順を指しており、エントリーと呼ぶこともある。

また、情報サイトや専門書等では買い注文をロング、売り注文の場合はショートと表現することが多いため、あわせて覚えておいてほしい。

建玉とは

新規注文してから決済をおこなう前の取引(ポジションとも呼ばれる)

約定

約定とは、新規注文が成立した状態を指しており、この段階で初めて建玉が確定する。

また、一度約定した注文に関してはキャンセルが効かず、取引を終了したい場合は決済をおこなうしかない。

ちなみに価格を指定して注文する指値、あるいは逆指値注文(いずれも後述予定)に関しては、価格が到達しない限り約定されることはないため、いつでも注文を変更、取り消しできる。

決済

FXにおける決済とは、保有している建玉に発生している含み益や含み損を確定することで、取引を終了させるために必要不可欠な手順だ。

FX会社によっては複数建玉の一括決済、1,000通貨のうち200通貨だけといった部分決済も可能である。

そのため、たとえば含み損が増えているが、その後まだ利益に転じそうな可能性がある場合などに、念のため建玉を一部損切りし、損失を減らして様子を見るといった手法を取ることもできる。

用語解説

<含み益>
建玉を決済した場合に確定する見込みの利益
<含み損>
含み益と反対の見込み損失
<損切り>
含み損が増加した際に決済をおこなって、損失がそれ以上大きくならないようにする手法

FXの注文方法の種類

ここからはFXのトレードで利用できる注文方法の種類を解説していく。いずれも異なる特徴を持っているため、より効率的な運用のためにぜひ参考にしてほしい。

成行注文

成行注文とは、FXにおける最もスタンダードな注文方法であり、近年はストリーミング注文とも呼ばれている。

価格を指定せずに現在表示されているレートで素早く約定されるポイントであることから、数ある注文方法の中でもスピーディーに取引が完結する注文方法である。

一方、チャートを見ながら適切なエントリータイミングを計る必要があるため、取引時間が確保できない人にとっては扱いが難しい注文方法と言える。

指値注文

指値注文とは、価格を指定する注文方法である。

たとえば、米ドル/日本円の現在価格が90円の場合、「80円になったら買い注文」あるいは「100円になったら売り注文」といった指定で取引が可能となる。

そのため、ある程度チャート画面をチェックせずに価格が反転するタイミングが狙える点がメリットと言えるだろう。

一方、指値注文は上昇に対して売り注文、下落時に買い注文しかできないデメリットも存在する。

FXの相場においては、トレーダー全体の買いが多くチャートが右肩上がりの状態を上昇トレンド、売りが強く右肩下がりの状態を下落トレンドと呼んでいる。

したがって、価格が上昇した際に売り注文を入れて、もしその時に上昇トレンドが発生していた場合には、注文と反対方向の大きな流れによって含み損が増えてしまうことになる。

そのため、もし利用する際は、しっかりトレンドが転換したかどうか判断できるスキルを身につけてからの方がよいだろう。

逆指値注文

逆指値注文は、先ほど解説した指値注文と同じく価格を設定する注文方法だが、注文の条件が異なっている点をしっかりと理解しておいてほしい。

例えば、米ドル/日本円の現在価格が100円の場合、「90円に下落したら売り注文」または「110円に上昇したら買い注文」というように設定する。

これはトレンドが発生している方向に追随(通称:トレンドフォロー)していけるメリットがある。

一方、注文した価格がちょうどトレンド転換ポイントであった際は、含み損が発生してしまうため、しっかり将来的な値動きを予測してほしい。

また、逆指値注文は、保有している建玉と反対の注文を入れることで価格を設定して損切りできるポイントは、ぜひ押さえておこう。

たとえば、110円で1万通貨の買い建玉を保有している際、その建玉に100円で売りという逆指値注文を設定することで、自動的に損切りが可能となる。

したがって、チャートをチェックする時間が確保できない人は、損失を限定するために活用することをおすすめする。

OCO注文

OCOとは「One Cancels the Other」の略称であり、指値注文と逆指値注文を2つ同時に設定できる注文方法である。

そして、片方が成立された際に、残った注文が自動キャンセルされる仕組みとなっている。

一方、将来的な価格変動が予測できなければ、どちらの注文も価格が到達しない可能性もあることから、少し難易度の高い注文方法と言える。

IFD注文

IFDとは、If done(イフダン)注文の略称であり、新規注文と決済を同時に設定できる注文方法だ。たとえば、100円で指値注文、110円で逆指値注文の決済が設定でき、反対も同じく設定が可能である。

そのため、取引の手順が少なく済むというメリットがある。

一方、損切りのために逆指値注文を入れた場合は手動で利益確定をしなければならず、利益確定の決済に指値を設定している際も、手動で損切りしなくてはならない点はデメリットと言えるだろう。

IFO注文

IFOとは、IFDとOCOを組み合わせた注文方法であり、新規注文と同時に利益確定と逆指値注文の決済も設定できる注文方法だ。

そのため、ある程度チャートを見なくても取引が完結できる点はメリットである一方、OCOの要素が入っていながら、新規注文は一つしかできないデメリットがある。

トレール注文

トレールとは、逆指値注文の決済注文にトレール幅という値幅を設定する注文方法であり、チャートの上昇(下落)にあわせて設定したトレール幅を維持しつつ、逆指値注文の価格も上昇(下落)する仕組みとなっている。

ちなみに手動取引の場合、含み益をさらに伸ばそうと利益を確定せずに様子を見過ぎてしまったために、トレンドが転換して含み益がなくなってしまうケースがある。

その点、トレール注文はトレール幅分の含み益を機械的に確定させることができる点が最大のメリットである。

一方、デメリットとしてはレンジ相場に対応しきれない可能性があることだろう。

具体的には、100円で新規買い注文を入れてトレール幅を2円にセットし、一旦101円まで上昇したため逆指値注文も99円に引き上げられたが、相場が99円以下に下落したため決済実行、しかしその後反転して102円まで上昇したケースがあげられる。

したがって、トレール注文は基本的に相場が一方向に進みやすいトレンドが発生している時に利用することをおすすめする。

レンジ相場とは

一定の幅の中で価格が上下する相場

【ケース別】おすすめの注文方法

ここからは、ケース別の注文方法の使い方について解説していく。自分のトレードスタイルに当てはまる場合はぜひ活用してほしい。

夜間のトレードがメインの場合

基本的に日中トレードができない人は、夜間に分析をして指値注文、あるいは逆指値注文を設定しておくスタイルがおすすめだ。

一方、夜間でもほどよい価格変動が発生していれば成行で取引しても良いが、翌日の身支度や就寝の準備があるため基本的に推奨することはできない。

もし、チャンスと判断してエントリーする際は、注文と反対方向に価格が変動してしまうリスクを考慮して、あらかじめ逆指値注文の損切り注文を入れておいた方がよいだろう。

FXを長期的な資産運用で行っている場合

長期的に運用している人は、テクニカル分析によって将来的な値動きをゆったりと冷静に判断できるため、強いトレンドが発生している場合は逆指値注文、そしてトレンド転換が見込めるのであれば、指値かOCO注文を活用するのがおすすめである。

テクニカル分析とは

チャートの形から将来的な値動きを予測する分析の一つ

日中のトレードがメインの場合

日中のトレードができる人は、とくに午前中であれば成行注文でアクティブなトレードが可能である。

一方、夜間はチャートがチェックできなくなることを考慮すると、昼以降の時間を分析に費やして、夜間の値動きを狙った指値、逆指値注文を置いておくのがおすすめと言えるだろう。

実際の新規注文(買い注文)の流れ

ここでは実際に注文する流れについて解説する。今回は買い注文を例にあげるが、売り注文の場合も基本的な操作は変わらないため、ぜひ参考にしてほしい。

新規注文

まずは自身が取引したい通貨ペア(米ドル/日本円等)を選択して、新規注文取引画面にて指値や逆指値注文等の注文方法を設定しよう。

そして、取引数量を入力して相場の方向性にあわせて売り、あるいは買い注文を入力する。

建玉をチェックする

注文を入れた後は、自分の狙い通りの価格、あるいは数量で建玉が反映されているかをチェックしてほしい。

この際、買いと売りを間違えてしまっている場合は、可能な限り早く損切りするのがおすすめである。

決済注文

保有している建玉を取引ツールの一覧から選択し、決済注文画面から決済数量を入力して、新規と逆になる注文を入れる。

たとえば、10通貨分の買い建玉がある場合は、10通貨の売り注文を入れるという形である。

ちなみに最初に触れた通り、一部の数量だけを決済することも可能である。

FXの注文に関するQ&A

ここではFXの取引注文に関する気になる疑問について解説していく。取引を行うまでにぜひ目を通しておいてほしい。

注文の取り消しはできますか?

注文の履歴から価格の訂正、あるいは取り消しが可能である。

しかし、約定された後はそれらの操作はできないため、決済して完結させるしかない点には注意してほしい。

FX会社によって注文方法は違いますか?

各FX会社は取引ツールが異なる場合が多く、根本的な注文の原理は同じだが、操作方法が異なるケースがある。

したがって、口座開設をした際はしっかりと取扱い説明等をチェックしてほしい。

注文できないことはありますか?

指標発表等で乱高下が発生している場合、FX会社のサーバー処理能力が低いと注文が通らない場合がある。

また、指定した取引数量に対して証拠金が不足している可能性もあるため、注文できない場合は口座残高を確認してみてほしい。

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(画像:Shutterstock)

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