FXのやり方・取引手法|実例を交えてわかりやすく解説

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FXのこれから始めようと思っているが「取引のやり方がいまいちよくわからない」という方も多いのではないだろうか。

FXというのは取引のやり方によって考え方、リスクや注意点が様々にある。

FX初心者にはおすすめできないやり方や、注意点、取引手法から、FX初心者でもおこないやすい取引のやり方や他のサイトではあまり解説されていない工夫したやり方までを解説する。

この記事の監修者
中島翔 CWC株式会社 代表取締役
中島翔
CWC株式会社 代表取締役

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。その後国内大手仮想通貨取引所Coincheckでトレーディング業務、新規事業開発に携わり、NYのブロックチェーン関連のVCを経てCWC株式会社を設立。証券アナリスト資格保有 。
Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12

FXのやり方(取引手法の種類)

FXの取引手法には大きく4つのタイプがある。

それぞれの取引手法の説明や特徴、そして注意点について解説していこう。

スキャルピング

スキャルピングとはかなり短い時間で売り買いを完了させる取引手法となっている。

スキャルピングは即座の判断が求められるため、レベルとしては中上級者向きといえるだろう。

スキャルピングの特徴

  • 数十秒から数分程度で売り買いが完了するほど保有期間が短い
  • 保有期間が短いため判断までの時間がない
  • 取引ルールを厳格に決め、守らないと大きな損失を被りやすい
  • 取引中は移動せずにマーケットをチェックする必要がある

スキャルピングは上記の通り、取引初心者には不向きな取引手法である。

また、ある程度取引のための時間を確保しておく必要があるため、デイトレードなどで慣れてきてから挑戦してみる方がよいだろう。

デイトレード

デイトレードは1日の間にエントリーから決済まで完了させる取引手法である。

デイトレードの特徴

  • 1日でエントリーから決済まで完了するためリスク管理がおこないやすい
  • 利益確定と損切りポイントを最初に確定させることで日中チェックする必要がなくなる
  • 日の終わりに取引のフィードバックができるため日々勉強する習慣がつく

デイトレードのメリットは日々トレードポイントを探すことになるため、日々自然と勉強する習慣を身につけられるだろう。

また、保有しているポジションは翌日まで保有し続けることはないため、夜中に大きな変動が起きたとしても影響を受けないことから、リスクは限定されるという点がポイントになる。

一方で短期的な値動きを予想するのは初心者には難しいといえるため、中級者向きのトレード方法といえるだろう。

スイングトレード

スイングトレードは数日から1週間の間に取引を完了させる取引手法である。

スイングトレードの特徴

  • 数日から1週間の間に取引を完了させるというルールがあるため塩漬けを回避できる
  • トレンドに乗って利益が発生した場合の利益の幅が大きい
  • 1週間単位で相場分析できるためゆっくりと取引判断をおこなうことができる

スイングトレードは最大でも1週間程度でポジションを決済するというルールができるため、FXの場合は金曜日のNY時間までに決済をすることになるだろう。

スイングトレードであれば週末に相場を分析してエントリーしやすい通貨ペアを選択し、どのタイミングでエントリーをおこない、損切りラインや利益確定の水準をしっかりと分析する時間が取れる。

また、週末に急に発生するようなイベントで週明けの相場が急変した場合におけるリスクを回避できるのも特徴と言っていいだろう。

スイングトレードは平日勤務している方や日中忙しい方でも、比較的取り組みやすい取引であるため、初心者でこれから勉強していきたいという方にもおすすめだ。

取引判断の時間があるということは、色々なシナリオ、そしてフィードバックをおこなう時間が確保できるということであり、このような時間をしっかりと作ることはFX初心者には大切なことである。

中長期トレード

中長期トレードはFXを資産運用として長期で取引をおこなう手法である。

中長期トレードの特徴

  • 長期でおこなうためゆっくりとしたスタンスで判断をおこなうことができる
  • 資産運用としてドルコスト平均法※でリスクをコントロールしながらおこなうことができる
  • レバレッジを抑えることで利益確定と損切りラインの位置を広く設定することができる

長期投資は数ヶ月から数年単位の大きなトレンドの方向性で取引をおこなうため、方向性を誤りにくいという特徴がある。

そのため、長期投資はFX初心者にも投資初心者にもおすすめな取引手法と考えてよいだろう。

レバレッジは低めに抑え、利益確定の位置や損切りの位置を広めに余裕を持たせつつ取引をおこなうことが大切である。

※ドルコスト平均法とは毎月定額を決まった日にちで購入していく資産運用のための一つの手法であり、投資信託や株などで利用されている投資方法である。

FXでも毎月定額で購入することで平均購入単価が収斂されることから、リスクを平準化することができるため使いやすい手法である。

FXでの順張りと逆張りとは

次に「順張り」と「逆張り」という言葉があるため、この意味について説明したい。

順張り

順張りとは相場の方向性と同じ方向でポジションを取ることである。

例えば、価格が長期的に上昇している局面において、買いのポジションで上昇すると利益が出るようなポジションが「順張り」ということになる。

相場が下落している局面で売りから入るようなポジションも「順張り」となる。

大事なことはFXを含めた投資初心者は必ず「順張り」投資を意識するべきということだろう。

次に説明する逆張りは中上級者向きであり、リスクコントロールや損切りをする難しさがあるためである。

相場の格言でも「trend is friend(トレンドは友達)」という言葉があるほど、順張りは堅実に運用するためのものといわれている。

逆張り

逆張りとは相場の方向性とは逆の方向でポジションを取ることである。

例えば、上昇局面の相場において、売りからエントリーする(ショートポジションを取る)ということは逆張りとなる。

また、下落局面において買いからエントリーする(ロングポジションを取る)ということも逆張りとなる。

逆張りは先ほど説明した通り、中上級者向けであるため、FXに慣れてきたら挑戦するというスタンスでよいだろう。

まずは順張り投資をおこない、リスクコントロールに慣れてきたら逆張りのエントリーも検討してみるという流れで取引を進めてみることをおすすめする。

逆張りと順張り

<順張り>
相場の方向性と同じ方向でポジションを取ること
<逆張り>
相場の方向性とは逆の方向でポジションを取ること

取引をおこなうための分析手法

取引をおこなうにあたって必ずおこなうことが「市場分析」である。

この分析手法には大きく「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」の2つにわけられる。

ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズ分析とは各国の経済状況や金融政策、ニュースなどから相場の方向性を予測する分析手法である。

ファンダメンタルズ分析の特徴

・大きな方向性を捉えるための分析手法
・正確なエントリーポイントや水準は判断できない
・一朝一夕に学べるものではないため日々勉強することが必要

ファンダメンタルズ分析は相場の大きな方向性を判断するためにおこなう分析手法であるため、長期的な資産運用のためにFXをおこなうような投資家には学ぶべきものである。

ファンダメンタルズ分析と一言に言っても、分析対象は千差万別である。

アメリカの金融政策、経済動向、大統領の考え方、資源価格の動向、雇用情勢、戦争や紛争、天災など多岐に渡る。

そのため、ファンダメンタルズ分析は一つ一つの疑問を日々解消していく地道な勉強となる。

しかし、一度考え方を覚えたり、色々な相関関係を覚えたりすると、FXだけではなく色々な投資対象で応用することが可能だ。

最初は努力が必要であるが、今後資産運用をしっかりとおこななっていきたいと言う方は、ファンダメンタルズ分析を学んでいくことをおすすめする。

一方、ファンダメンタルズ分析で方向性は判断できるものの、精緻なエントリーポイントというのは判断ができない。

ファンダメンタルズ分析をおこななった場合でも、必ず「テクニカル分析をおこななってから取引をする」ということを覚えておいてほしい。

テクニカル分析

テクニカル分析は過去のチャートの値動きから将来の値動きを把握するというものである。投資対象は異なっても投資をおこなうのは人間であるため、人間の心理が値動きを作り出している。

そのため、テクニカル分析は様々な投資対象で利用できることがメリットだ。

当然ながら常に過去のチャートの値動きと同一になることはないが、チャートには共通のパターンというものがある。

色々なパターンがあるため初心者は難しい分析ではなく、基本的なチャートパターンの形状を覚えてみることをおすすめする。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析

<ファンダメンタルズ分析>
相場の大きな方向性を判断するためにおこなう分析手法
<テクニカル分析>
過去のチャートの値動きから将来の値動きを把握する

FX初心者でも使える取引手法の実例

FXについて色々勉強したものの、「実際に取引をおこなってもなかなか利益が出ない」という状況に陥っている人もいるのではないだろうか。

ここではFX初心者でもおこないやすく、勝率を上げるための工夫したやり方について2つテクニカル指標を利用して説明する。

移動平均線の利用法と工夫したやり方

移動平均線とは設定した一定期間の価格から平均値を計算し、計算された数値を一つの線で結んだものである。

例えば、5日移動平均線は5日間の数字を合計し、5で割った数字を連続して1つの線にして表示している。

移動平均線付近で価格は止まりやすいという特徴があるため、上昇トレンドの時には移動平均線まで為替レートが下落すると、買うタイミングと判断する。

一方で下落トレンドの場合は移動平均線まで価格が上昇すると、移動平均線で止まると考えて売却するタイミングと判断する。

しかし、一つ工夫を加えることでより保守的なトレードが可能となるため、ここで紹介したい。

先ほどは「移動平均線まで為替レートが戻ってきたらエントリー」と記載した。

ただし、そのエントリーの条件として「一度移動平均線を為替レートが抜けてしまい、再度移動平均線を超えてきたら買う」という条件をつけるだけで勝率を上げることができる。

とても簡単なことだが、ちょっとした工夫でも保守的なエントリーが可能となるためぜひ実践してもらいたい。

ボリンジャーバンドの利用法と工夫したやり方

ボリンジャーバンドとはアメリカの投資家「ジョン・ボリンジャー」の名前からできたテクニカル指標。

移動平均線を中心として上下に標準偏差から作成したラインを表示させて、確率的にどのような確率でそのライン内に価格が収まるかというものを視覚的に表したものである。

簡単に解説すると、ある確率に収まる範囲をラインに表してトレードに利用するというものであり、ラインを見るだけでどのあたりで価格が推移するのかということが理解しやすいことが特徴だ。

ボリンジャーバンドの基本的な使い方として、移動平均線を中心線として上下に2本ほど標準偏差から計算したラインを表示させる。

中心線から一番近いラインは1σ(シグマ)と呼ばれており、68.3%の確率で収まるといわれている。

中心線から二番目のラインは2σと呼ばれており、95.4%の確率で収まるといわれている。

価格が上昇しているときは中心線をサポートラインとして2σと1σや中心線との間で上下に推移しながら変動するため、中心線まで価格が戻ってきたら買いでエントリーをおこない、2σの付近で売却するような取引手法が一般的な説明として解説されている。

そこで、先ほど移動平均線で説明した方法をこのボリンジャーバンドでも同様に使ってもらうとよいだろう。

上昇トレンドの場合は中心線を超えて価格が一旦下落し、再度中心線を超えてきたタイミングで買いのエントリーをおこなう。

下落トレンドの場合は上記の逆パターンでエントリーをおこなうと考えてもらえればよいだろう。

中心線まで価格が戻ってきた場合にエントリーをおこなった場合、そのまま価格が下落して中心線を抜けていってしまうということがあるが、上記の工夫を一つ入れることで、上昇するタイミングを確認してからエントリーすることになるため勝率は上がりやすくなる。

取引手法ごとにおすすめのFX会社を紹介

長期的な資産運用をおこなう場合

長期的な資産運用をおこなう場合はスワップポイントを意識することが大切だ。

その場合でおすすめは「みんなのFX」や「GMOクリック証券」が検討するFX会社となる。

理由として「みんなのFX」は高金利通貨と呼ばれる「トルコリラ」や「メキシコペソ」、「南アフリカランド」などのスワップポイントが高いことで定評がある。

そしてGMOクリック証券は先進国通貨の通貨ペアのスワップポイントが比較的高いためおすすめといえるだろう。

デイトレードをおこなう場合

デイトレードをおこなう場合はスプレッドを意識した方がよいだろう。

スワップポイントは1日以上保有しないと得ることができない金利であるため、デイトレードのユーザーは全く無意味となっているためである。

スプレッドが狭いFX会社であれば「SBI FXトレード」がおすすめできる一社となる。

SBI FXトレードはlot数に応じてスプレッドが変わるため大きなlotを取引する場合は不向きとなるが、FX初心者で少額からトレードしたい場合はSBI FXトレードはスプレッドがかなり狭いため使いやすいといえるだろう。

もしもlot数が大きくなる場合はGMOクリック証券やDMM FXなどもスプレッドが狭いため口座開設して利用を検討できるFX会社といえる。

スイングトレードをおこなう場合

スイングトレードをおこなう場合は週に1度のエントリーや決済となるため、スプレッドもスワップポイントも意識する必要はないといえる。

取引コストであるスプレッドが狭い方がよいのは当然であり、またスワップポイントも日々金利として得るものができるものが多いことに越したことはないため、その観点でGMOクリック証券は両者のバランスが取れているといえるだろう。

また、みんなのFXも両者ともに定評があるため、この二社でスタートしつつ、外為どっとコムのような情報量が多いFX会社を情報収集用で口座開設してみてはいかがだろうか。

FXのやり方のまとめと注意点

FXは短期トレードから長期的な資産運用まで幅広く利用できる便利な投資ツールといえるだろう。

またレバレッジを利用できるため、自分が保有している資産以上のリスクを取りながら大きなリターンを期待できるような投資も可能になるため、利用法を間違えなければ、有意義な投資対象となるだろう。

しかし、レバレッジというのは諸刃の剣でもあり、使い方を誤ると資産のほとんどを失う可能性を秘めている。

そのためまずFX初心者の場合はスイングトレードか長期運用の取引手法やスタイルで勉強をスタートし、値動きやリスクの取り方を感覚的に覚えてた後にデイトレードあたりまで取引スタイルを広げていくという順番がよいのではないだろうか。

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(画像:Shutterstock)

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