海外FX会社と国内FX会社の違い・メリットやリスク|海外在住者は国内FX会社で口座開設は可能?

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「海外FX会社」の話は、日本でもTwitterなどSNSで紹介されているため、耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。

この記事では「海外FX会社」というのはどのような業者で、国内のFX会社とどのような点が異なるのかを解説。

それぞれのメリット・デメリットや初めてFXを始める人にはどちらで口座開設するのがおすすめかを解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。

この記事の監修者
中島翔 CWC株式会社 代表取締役
中島翔
CWC株式会社 代表取締役

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。その後国内大手仮想通貨取引所Coincheckでトレーディング業務、新規事業開発に携わり、NYのブロックチェーン関連のVCを経てCWC株式会社を設立。証券アナリスト資格保有 。
Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12

海外FX会社は海外の金融ライセンスを取得している

「海外FX会社は怪しい」という印象を持つ人もいるのではないだろうか。しかし、どのFX会社も海外での金融ライセンスは取得している。

ただし、日本のライセンスのように厳格な顧客資産を保護するようなルールは定められてないところが多く、資金をある程度支払うことで取得できるような簡単なライセンスも存在する。

そのため、利用したいと思った会社の金融ライセンスはどのようなものか、調べておいたほうがいいだろう。取得する国やライセンスの種類によって、ある程度の信頼性を把握することが可能だ。

国内FX会社と海外FX会社の違い

国内FX会社と海外FX会社の違いを見ていこう。

各比較項目 国内FX 海外FX
レバレッジ 最大25倍 上限なし
(3,000倍が提供されている最大レバレッジ)
スプレッド 狭い 広い
入金方法 利便性高い 利便性低い
ツール 各社ツール,(一部MT4,MT5) MT4,MT5,その他
税金 申告分離課税
20.315%
総合課税(雑所得)
15%~55%

レバレッジ

海外FX会社のレバレッジは上限がなく、提供されている中での最大レバレッジは3,000倍まで提供している会社もある。

一方、国内のFX会社のレバレッジは最大25倍に設定されている。

よく「レバレッジは資金効率を高める」という説明があるが、リスクが大きくなると、期待リターンが大きくなる反面、想定損失額も大きくなる。

レバレッジが高いほどリスクを大きく取ることができますが、高いからいいというわけではありません!
まずは低いレバレッジでスタートし、リスクの取り方を覚えることをおすすめします。

スプレッド

海外FX会社のスプレッドは、国内のFX会社と比較して広くなっている。

この背景としては、海外FX会社はスプレッドにアフィリエイトの報酬を乗せて提示しているため、顧客獲得のためのマーケティング費用を含めたスプレッドになっている。

たとえば、海外FX会社のドル/円のスプレッドが1.0銭とした場合、0.4銭は紹介者のためのアフィリエイト報酬として還元するようになっており、残りの0.6銭が海外FX会社の収益源となるようなイメージだ。

つまり、海外FX会社を宣伝しているインフルエンサーなどは、ユーザーが口座開設をして、取引し続けることで半永久的に報酬を得ることができる。

海外FX会社はこのような宣伝をしているというマーケティングの背景を覚えておこう。

海外FXはスプレッドが広いので、短期トレードを繰り返す場合は不利なトレードをおこなうことになります。まずは国内のFX会社で少額からスタートしてスプレッドの狭さがどれだけ大事か理解するところから始めてみましょう!

ボーナスの種類

海外FX会社のキャンペーンは、「クレジットボーナス」というものが存在する。

これは10万円の証拠金を入金した場合、「実際の現金ではないものの、取引時に利用できるボーナス」が追加でもらえる仕組みだ。

これにより実際の証拠金よりも大きな取引が可能となるため、レバレッジを利用して大きなリスクで取引したいユーザーにとってはメリットといえるだろう。

それに対して国内では、口座開設や取引数量に応じて還元されるキャッシュバックなどをおこなっているFX会社が多い。

信頼性

海外FX会社は、資金繰りが悪化すると出金拒否などが発生する可能性もあり、信頼性に不安のある会社も存在する。この資金繰りが悪化する背景には、リスクの取り方が異なることが要因としてあげられる。

国内FX会社の場合、顧客が注文してきた数量は、リスクがないように同じポジションを会社で保有して、顧客が勝っても負けても利益が出るように、リスクを極力0にするようなオペレーションになっている。

それに対し、海外FX会社の場合、顧客がポジションを保有しても、そのリスクを海外業者が保有したままにしていることが多い。

たとえば、顧客が1lotドル/円をロングした場合、海外業者は顧客と反対のポジションが発生することになるため、ドル/円の1lotのショートになる。

つまり、ドル/円が上昇すると海外FX会社はそのまま損失が拡大することになり、顧客が利益を出し続けると海外業者は利益がマイナスとなるため、資金繰りが悪化する。

これは国内FX会社と海外業者で異なるため、注意すべき点である。

また、日本では顧客資産を信託保全するため100%守られるが、海外FX会社では顧客資産を分別管理(口座を分けて管理)するのみであり、破綻によって顧客資産がなくなる可能性もあることを十分に理解しておこう。

海外FXはTwitterなどで調べてみると出金拒否の事例が多くみられます。海外ライセンスを宣伝材料としていますが、お金を払うことで取得できる簡単なライセンスも数多くあり、信託保全されてないものが多いため、急に出金できなくなる可能性もあります。

入出金方法

海外FX会社は、クイック入金などのサービスに対応していない。

銀行振り込みやオンラインウォレット、クレジットカードでの入金方法が一般的で、出金はクレジットカードやデビットカード、オンラインウォレットを利用することが多い。

これは、海外FX会社は日本ではライセンスを保有しておらず、金融機関と提携できていないことから、直接銀行口座に振り込むことができないという背景がある。

また、FX会社によってはクレジットカード入金を利用できない場合もあり、日本で発行したクレジットカードでも利用できる場合とできない場合がある。

一方、国内FX会社の場合は、クイック入金という金融機関のダイレクトバンキングを利用した入金方法で、即時に証拠金へ反映させられるのが大きなポイントだ。

出金に関しては、FX会社に登録した銀行口座に振り込みされる方法となっており、国内FX会社の入出金方法はシンプルでわかりやすい。

税金

海外FXの税金は国内FXの税金とは種類が異なる。

海外FXの税金は総合課税の雑所得に分類されるのに対して、国内のFXは20.315%の申告分離課税となっている。

総合課税の場合利益が多く発生した場合最大で55%の税金が課せられることから、利益が大きくなればなるほど税率は高くなる。

国内FXは一律20.315%なので税金の計算もしやすいです。また、3年間の損失繰越控除が適用できることもメリットといえます

国内FX会社のメリット・デメリット

海外FX会社と比較して、国内FX会社にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを見ていこう。

おもなメリットとしてはスプレッドが狭いことや、信頼性が高いことがあげられる。一方、MT4やMT5ツールを提供している会社が少ないことはデメリットといえるだろう。

スプレッドが狭い

国内のFX会社はスプレッド競争が進んでおり、海外のFX会社よりも比較的狭く設定されている。

各社、細かなスプレッドの差はあるが、スプレッドだけで見た場合に海外のFX会社を選択する必要性はないだろう。

国内FX会社と海外FX会社のスプレッドの一例を見てみよう。

FX会社 スプレッド
米ドル/円 ユーロ/円 ポンド/円
国内 DMM FX 0.2銭 0.5銭 1.0銭
みんなのFX 0.2銭 0.4銭 0.8銭
外為どっとコム 0.2銭
原則固定※例外あり
0.5銭
原則固定※例外あり
1.0銭
原則固定※例外あり
海外 XM Trading 1.6銭 2.3銭 3.6銭
AXIORY 1.5銭 1.5銭 2.6銭
GEMFOREX 1.2銭 1.4銭 1.7銭

※2021年11月30日時点

顧客資産は保全されているため信頼性が高い

国内FX会社は金融庁管轄のもと、信託保全が必須とされている。顧客資産は会社内の資産とは完全に切り離されていることから、万が一FX会社が倒産したとしても顧客資産は守られる仕組みが整っている。

これは利用者からすると安心して取引できるため、メリットといえるだろう。

MT4やMT5ツールを利用できない場合が多い

国内FX会社は、海外FX会社と比較すると、世界的にユーザー数の多いMT4やMT5に対応していないFX会社が多い。

ただし、一部取り扱いがある国内FX会社も存在する。

たとえば、楽天証券やOANDA Japanなど数社でMT4、MT5の取り扱いがあり、外貨ex byGMOとJFXでは分析専用チャートとして利用できる。

海外FX会社のメリット

日本と海外FX会社の違いを理解したところで、次は海外FX会社のメリットを見ていこう。

レバレッジが大きい

海外FX会社の特徴の一つとして、最大レバレッジに制限がないことがあげられる。

レバレッジというのはFXでも特に魅力的なポイントであり、海外の場合は1,000倍や2,000倍を提供している業者も存在する。

レバレッジ1,000倍というのは証拠金10万円を入金した場合、最大1億円のリスクを取ることが可能だということを意味しているが、言い換えると0.1%程度の値動きで証拠金をすべて失ってしまうリスクも存在する。

追証がない

海外FX会社の場合、追証がない点がメリットとしてあげられる。

相場が急変し、レバレッジを利用して証拠金維持率を大きく下回り、ロスカットに遭った場合、当初入金していた証拠金では不足してしまうことがある。

国内のFX会社の場合は、この不足分に対して追加入金が必要となっており、これはある意味借金を意味している。

しかし、海外FX会社の場合、レバレッジを大きく利用して取引をおこない、万が一ロスカットによって証拠金が不足した場合でも、不足金額を追加で入金する必要はない。(海外FXで追証がないシステムを「ゼロカットシステム」と呼ばれている。)

追証がないことで、大きなレバレッジで取引できるため、博打のような取引をしたいという方にはメリットとなります。しかし、レバレッジを大きくかけて勝ち続けることは難しく、大きな損失を生む可能性も十分にあります。

MT4 MT5のツールが利用可能

海外FX会社では、MT4(メタトレーダー4)やMT5(メタトレーダー5)と呼ばれる取引ツールが使用可能だ。

メタトレーダーはロシアのMetaQuotes Software社が開発した取引ツールであり、テクニカル分析のしやすさや利用者数の多さ、自動売買の連携などがしやすいことから、世界のFXトレーダーで広く利用されている。

このメタトレーダーは国内FX会社では一部しか提供されていない。海外FX会社はメタトレーダーを取引ツールとして利用できることが多いため、メタトレーダーに慣れているユーザーにはメリットとなるだろう。

MT4やMT5は海外のFXユーザーからは愛用されているトレーディングツールです!また自動売買でも利用されていることが多いため、これまで自動売買をおこなってきたユーザーにもメリットといえるでしょう。

海外FX会社のリスク・注意点

海外のFX業者には、国内のFX業者にはないメリットが存在するが、同時にリスクも存在する。

破綻リスクがある

海外FX会社は、日本の金融庁のような厳しいライセンスを取得しているわけでもなく、資金管理も曖昧な点や不透明な点が多いことで知られている。

日本の場合、顧客資産は信託保全をされているため、万が一FX会社が破綻した場合でも顧客の資産は返還されるが、海外FXの場合は返還されない可能性もある。

実際、海外FX会社で出金できないといったトラブルも多く、Twitterでも話題になることがあるため、海外FX会社を利用するときは、破綻リスクが大きな注意点になるだろう。

とくに新興FX業者は信頼性もなく、どのような運営方針でどの程度の資金力があるのか、日本からではまったく情報が入らない。

そのため、トレードで利益が出たとしても出金できない可能性もあることは覚えておいてほしい。

分別管理というのは、あくまで顧客資産とFX会社の資産を分けて管理しているだけであり、管理している口座の名義はFX会社の可能性が高いため、破綻した場合に顧客資産が返還されるという保証はありません。言葉から感じる安心感に騙されないようにしましょう!

スプレッドが広い

海外FX会社は基本的にスプレッドが広いと言われている。

実際に海外FX会社のスプレッドをみると、国内FX会社のドル/円のスプレッドが0.2銭や0.3銭なのに対して、海外FX会社のスプレッドは1銭以上あるところも多く、実質的な取引コストが高いという判断ができるだろう。

これからFXを始める人は国内FXがおすすめ

海外FXは、第一に破綻リスクがあり、出金トラブルが頻繁に起きていることや、万が一の場合でも資金の返還が守られることがないという懸念点がある。

また、レバレッジが高いから利用するというユーザーも存在するが、高いレバレッジをかけてトレードする場合、基本的に短期売買で取引することがメインとなるため、繰り返し取引をするときスプレッドが広いという点はデメリットとなる。

国内でもレバレッジが最大25倍となっており、これでも大きなリスクとなるため、最初からいきなり海外FX会社を利用することはおすすめしない。

まずは国内のFX会社で取引するほうが安全といえるだろう。

おすすめの国内FX会社

国内FX会社の中でも取引がしやすい「外為どっとコム」「みんなのFX」「GMOクリック証券(FXネオ)」のそれぞれの特徴を解説する。

新しく口座開設をする人は参考にしてほしい。

外為どっとコム

FX業界の中でも老舗の「外為どっとコム」はFX専門業者として19年の実績があり、口座開設数55万件(2021年10月時点)を突破した取引高上位のFX会社だ。

業界最狭水準のスプレッドを提供し、高金利通貨ペアのスワップポイントが高い。

取り扱い通貨ペアは豊富な30種類で、1,000通貨から取引可能なため少額資金で開始できる。平日24時間電話サポートもあり、初心者にもおすすめだ。

何より圧倒的な情報量は質・量ともに他社の追随を許さず、人気プロトレーダーの為替レポート、初心者もわかりやすくFXを学べる様々なコンテンツが充実し、24時間ノンストップでマーケット情報を届けている。

外為どっとコムが運営している「マネ育」というメディアでは初心者向けの内容からトレードアイデアまで網羅されており、さまざまな講師を招いてセミナーもおこなっている。

このような顧客サービスに力を入れていることから、情報収集のための口座としてもおすすめできる一社だ。

みんなのFX

出典:みんなのFX

トレイダーズ証券が運営する「みんなのFX」は、業界最狭水準のスプレッドの狭さと高金利通貨のスワップポイントが高いことから、スワップ狙いの中長期的な資産運用でも短期トレードでも総合的に利用しやすいFX会社である。

取り扱い通貨ペアは全29種類で珍しい北欧3通貨も取り揃えており、1,000通貨からの少額資金で取引ができる。

トレーダーの売買比率や動向を数値化した「ポジションブック」と呼ばれるツールでは、視覚的にマーケットの動きを把握できるため、大きく動く価格帯、反転や急伸急落のタイミングがわかりやすい。

また、みんなのFXではシステムトレードにも対応しており、ランキングから優秀なトレーダーのストラテジーを選択するだけの簡単操作で、難しい分析やプログラミングも一切不要の自動売買ができ、24時間チャンスを逃さずに取引可能だ。

注意点としては優秀なトレーダーだから必ず利益が出るわけではなく、投資は自己責任ということはしっかりと理解しておこう。

GMOクリック証券(FXネオ)

出典:GMOクリック証券

GMOクリック証券はメジャー通貨から高金利通貨の通貨ペアまで幅広く取り扱っており、スプレッドも狭く、スワップポイントも比較的高水準なことからバランスの取れたFX会社であるといえるだろう。

GMOクリック証券こだわりの自社開発PC用アプリ「はっちゅう君FX+」は、取引に必要な全ての情報が一つの画面に集約され、各パネルはフリーレイアウトで見やすいようにカスタマイズ自由だ。

チャートを見ながら1クリックで即注文できるスピード注文機能はもちろん、新規、決済、ドテン、同一通貨ペアの全決済注文も1クリックで、その他にも便利な発注機能を多数搭載している。

操作の自由度が高く、とことん操作性と発注機能を充実させたアプリだ。

その「はっちゅう君FX+」の使い勝手の良さをそのままに、さらにシンプルで操作しやすいスマホアプリにした「GMOクリック FXneo」は、チャートを見ながら発注できるスピード注文チャートが縦画面にも対応し、縦横ワンタップで切り替え可能だ。4画面に分割できるチャートもスワイプで簡単に切り替えられる。

スピード注文機能はもちろん、Actionボタンでチャート上のレートや建玉など各種ラインから簡単に注文できる。チャートに指値や逆指値のラインを表示できるため複合注文も視覚的に捉えやすく、テクニカル分析を見ながら価格設定もできる高機能スマホアプリである。

また、GMOクリック証券は他の金融商品も取り扱っており、株式から先物、CFDなどまでラインナップを取り揃えていることから、口座内の資金の振替だけで他の商品もすぐに取引できるという点でメリットがある。

海外在住でも日本のFX会社の口座開設は可能?

海外居住者は、国内のFX会社では口座開設ができない。

日本のFX会社の口座は、日本の銀行口座と連動する必要があることや、AMLやテロ資金供与などを懸念する観点から開設ができないようになっている。

元々日本に居住しており、既に日本のFX会社で口座を開き、国内で銀行口座を保有したまま海外に引っ越した場合は利用できる可能性もあるが、海外居住後は原則口座開設が不可であることを覚えておこう。

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(画像:Shutterstock)

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