マネックスFX(マネックス証券)の概要や評判、取引コストを解説
マネックスFXはネット証券「マネックス証券」が手がけるFX専用口座だ。レバレッジの上限を5つのコースから選択でき、リスク管理しやすい仕様になっている。
取引通貨は少ないが、対円通貨ペアは比較的多い。1万通貨以下の取引コストは他社と比較しても低水準で、初心者が取引しやすい環境を提供している。
マネックスFXの概要――5つのレバレッジコースを選択できる
マネックスFXを手掛けるマネックス証券は「
FX Plus」も展開するが、「
FX Plus」は株式などの総合証券口座の一部という扱いで、マネックスFXはFX専用口座という位置づけだ。
参考:マネックスFXとFX PLUSの違い(マネックスFX公式サイト)
マネックス証券のFX口座数は約26万口座(2020年9月末)で、自己資本比率は327.6%(2020年6月末)となっている。
1,000通貨単位の取引――レバレッジは5つのコースから選択
マネックスFXでは1,000通貨単位で取引を行う。「レバレッジ」の上限は5つのコースから選択が可能だ。
FXでは入金した自己資金以上の金額の取引が可能で、自己資金に対してどれくらいの金額まで取引できるかを表したのが「レバレッジ」だ。マネックスFXではレバレッジについて「1倍」「2倍」「5倍」「10倍」「25倍」のコースから選択することができ、レバレッジに上限を設けることができる(金融庁の定めではレバレッジは25倍まで認められている)。
一般にレバレッジが高いほどリスクが高い取引になる。たとえば自己資金100万円であれば最大でレバレッジ25倍の2,500万円の取引が可能だが、一方で4%の損失が記録された時点で、入金した自己資金のすべてを失うことになる。
マネックスFXの場合、自己資金のすべてを失う前に「自動ロスカット」が入る。自己資金が、ポジションの必要証拠金を一定以上割り込んだ場合に発動するが、以下のように設定できる。
レバレッジコース | 設定できるロスカット基準額 |
1~10倍コース | 30%、40%、50%、60%、70%、100% |
25倍コース | 50%、60%、70%、100% |
たとえば自己資金100万円で2,500万円分のポジションを持っている場合、必要証拠金は100万円だ。ロスカット基準額を50%に設定した場合、自己資金が50万円を下回った際に自動ロスカットがなされる。
なおマネックスFXでは、自動ロスカットが執行される前に一定の水準でアラートメールが送信され、自動ロスカットレベルが近いことを知らせてくれる。
初期設定値では、ロスカット基準額90%でプレアラート、70%でアラートとなっているが、レバレッジ、ロスカットレベルの設定によってアラートが発信される基準は変わる。
自動ロスカットは顧客資金の保護を目的に各社定めているが、急激な値動きが発生した場合、自動ロスカットが間に合わず、本来執行される基準額とは大きく離れてしまうことがある。その際は想定以上の損失を被る可能性があることに留意したい。
また、マネックスFXは火曜日から土曜日の毎営業日朝6時55分以降に、建玉を保有するために必要な証拠金が同社の定めに不足していないかを判定している。
この判定により、レバレッジ25倍の場合は証拠金維持率100%、レバレッジ10倍の場合は40%を下回ると、「追加証拠金」が発生する。
証拠金維持率とは、建玉を保有するために必要な「建玉必要証拠金」に対する、預け入れた証拠金に建玉の評価損益を加えた「実効証拠金」の割合のことだ。同社では、証拠金維持率の計算市域を以下の通り示している。
(実効証拠金÷建玉必要証拠金)×100=証拠金維持率(%)
「追加証拠金」が発生した場合、証拠金維持率を十分な水準まで回復するために、追加の入金または建玉の決済を行わなければならない。「追加証拠金」が発生した時点で、成立していない新規注文は全てキャンセルされ、判定された日の18時までに証拠金維持率が回復していない場合、保有中の建玉は強制的に全て決済される。
一度「追加証拠金」が発生してしまうと、その後値動きにより証拠金維持率を回復しても「追加証拠金」は解消されない。必ず追加の入金もしくは建玉の一部または全部決済、あるいはその両方の手立てによって対処しなければならない点にも注意したい。
取り扱い通貨は16 対円通貨は13種
マネックスFXの取り扱い通貨ペアは以下の16種だ。

16種の取り扱い通貨ペアは、FX会社としては決して多いほうではない。ただ、対円通貨が13種というのは高シェアFX会社と比較しても遜色がないレベルだ。
マネックスFXの通貨ペアの数を他のFX会社と比較してみよう。比較対象は、矢野経済研究所公表「有力FX会社17社の月間データランキング(2019年11月)」の、「口座数」「預かり資産」項目において上位5位までにランクインするFX会社とした。

マネックスFXの取り扱い通貨ペアは決して多くないが、対円通貨ペアに限れば他社に遜色ない程度の選択肢が確保されている。対円通貨ペアの取引をメインに行う場合は困ることもないだろう。
外貨のまま出金が可能――両替の手段に
マネックスFXでは「米ドル」「ユーロ」の外貨出金が可能だ。別途手数料が掛かるが、銀行や空港で両替するより比較的低いコストで外貨を取得することができる。手数料については以下の通りとなっている。
手数料 | |
米ドル/円の取引コスト | 1万ドル以下:0.2銭 100万ドル以下:0.3銭 |
ユーロ/円の取引コスト | 1万ユーロ以下:0.4銭 100万ユーロ以下:0.5銭 |
両替取引:コンバージョン | 一律20銭 |
両替取引:デリバリー | 1,000通貨ごとに200円 |
外貨出金手数料 | 2,000円 |
マネックスFXで行う両替取引には、通常の取引口座に入金して、通常配信レートで両替する「コンバージョン」と、FX取引として保有した建玉を決済せずにそのまま外貨として受け取る「デリバリー(現物受渡決済)」がある。
「コンバージョン」 は、店頭窓口に並ぶ必要なく24時間取引ができるうえ、通常の銀行が休業している日本の祝祭日にも利用できるため利便性が高いといえる。また常に変化するリアルタイムレートで両替できるので、急激な価格の変動があれば、有利なレートで両替するチャンスが生まれる。
なお「コンバージョン」の両替手数料である20銭は、通常配信レートに加減算され、両替取引の結果は、即時範囲される。
「デリバリー」 による両替は、前述の通りFX取引による保有建玉を決済せず外貨として受け取る方法だが、両替レートは新規で建玉を保有した当時のレートとなる。
例えば、1米ドル100円の米ドル円を1万通貨買った後、米ドル円のレートが変動しても、「デリバリー」の際に換算されるレートは1米ドル100円なので、1万米ドルを受け取ることになる。(別途手数料必要)
ただし、「デリバリー」で受け取ろうとしている金額の対価が取引口座になくてはならず、上記の例の場合、1万米ドルの対価として100万円の残高が必要だ。
なお「デリバリー」による両替は、取引ごとの全建玉が対象となり、一部建玉のみ両替することはできない。
また受渡日は、原則として取引成立から2営業日後となっており、取引口座の残高に加減算される。
両替した外貨を出金する際は、取引画面もしくは電話にて「出金申請 」を行う。平日15時までに「出金申請」した場合の出金予定日は4営業日後、平日15時以降に「出金申請」した場合の出金予定日は5営業日後となる。
外貨を受けとる際、金融機関によってはマネックスFXが定める出金手数料(一律2,000円)とは別に、リフティングチャージという外貨取扱い手数料がかかる場合がある。
外貨取り扱い手数料は金融機関によって異なるため、詳細の確認については、外貨口座のある金融機関へ問い合わせが必要だ。
マネックスFXの取引コスト――1万通貨以下では比較的低い取引コスト
マネックスFXでは取引単位に応じてコスト(スプレッド)が設定されており、取引数量が多くなるほどコストが高くなる。対円通貨ペアの取引コストは以下の通りだ。
1万通貨以下 | 100万通貨以下 | 200万通貨以下 | |
米ドル/円 | 0.2銭 | 0.3銭 | 0.5銭 |
ユーロ/円 | 0.4銭 | 0.5銭 | 1.0銭 |
豪ドル/円 | 0.5銭 | 0.6銭 | 1.0銭 |
英ポンド/円 | 0.9銭 | 1.3銭 | 2.0銭 |
NZドル/円 | 1.0銭 | 1.5銭 | 4.0銭 |
カナダドル/円 | 1.7銭 | 2.0銭 | 5.0銭 |
スイスフラン/円 | 1.8銭 | 2.5銭 | 5.0銭 |
香港ドル/円 | 1.9銭 | 2.8銭 | 2.8銭 |
シンガポールドル/円 | 1.0銭 | 2.0銭 | 5.8銭 |
南アフリカランド/円 | 1.0銭 | 2.0銭 | 4.0銭 |
トルコリラ/円 | 1.9銭 | 2.7銭 | 2.9銭 |
人民元 | 1.6銭 | 1.7銭 | 1.8銭 |
メキシコペソ/円 | 0.4銭 | 0.6銭 | 0.9銭 |
1万通貨以下の取引なら比較的低いコストといえる。主要3通貨ペアの取引コストを、市場シェアの高いFX会社と以下の通り比較したところ、3通貨すべてで2位を占めた。

マネックスFXの取引ツール――PC版はすべてインストール不要 スマホアプリ版も
マネックスFXのPC向け取引ツールはシンプル版から本格向けまで、すべてインストールが不要だ。スマホアプリ版の用意もあり、デバイス環境を選ばず自由な取引が可能となっている。
PC向け | MonexFX ブラウザツール |
PC向け | MonexFX SPEED Lite |
PC向け | MonexFX SPEED |
スマホアプリ | Menex SPEED スマートフォン |
マネックスFXを利用した取引で基本となるのが、「MonexFX ブラウザツール」 だ。
シンプルな画面表示で初心者にも親しみやすく、マネックスFXで初めて取引する方には、まず「MonexFX ブラウザツール」で慣れていくことが推奨されている。
利用の際はマネックスFX公式サイトからログインするだけで、煩雑な手続きは不要だ。トップ画面には発注に必要な機能がコンパクトにまとめられ、取引するうえで戸惑うことがないように配慮されている。
搭載されている「スマートコントロール機能」は、取引するうえでの目標損益などを自分で設定でき、重要かつ難しいリスク管理を初心者でも可能にする。
「スマートコントロール」で設定した目標損益額等に達した場合、保有中の建玉が自動で決済されるため計画的な取引が可能で、利益の取りこぼしや損失の拡大を防止できる。
値動きの分析に利用するチャート画面は同時に4つまで表示でき、複数の通貨ペアや複数時間軸のチャートを同時に観察できる。また20種類のテクニカル指標を利用できるので、基本的なチャート分析に事欠くことはないだろう。
チャートの値動きを見ながら、少ない操作でクイックに発注できるので、素早い値動きのも対応したスムーズな取引が可能だ。
「MonexFX SPEED」 は、値動きを分析できるチャート画面やニュース、発注、取引のフル帰りなどFX取引に必要な機能が全て詰まっている。
画面レイアウトは、初心者にもわかりやすいよう利便性が追及されており、利用する機能ごとにウィンドウを分離して表示できる。
表示したウィンドウ内のコンテンツは、簡単にレイアウトを変更でき、お気に入りのレイアウトは保存も可能なので、毎回設定する必要はない。PCを変更しても、ネット環境がありログインさえできればお気に入りの画面をすぐに呼び出せる。
チャートには29種類のテクニカル指標と19種類の描画ツールを搭載しているので、様々な角度から値動きを分析したい中上級者にとっても強い味方となる。
また異なる通貨ペアを同じチャート上に表示する「比較チート」は、複数通貨ペア間の相関性を確認しながら取引できる。「比較チャート」を利用できるのは、マネックスFXの取引ツールの中でも「MonexFX SPEED」のみだ。
なお「MonexFX SPEED」は無料デモ口座でも試用できるので、一度試してみても良いだろう。
「MonexFX SPEED スマートフォン」 は、iPhone、Androidに対応している。ただし、Androidに関しては、推奨環境であっても動作が確認できていない機種があるので、留意したい。
画面表示や操作はシンプルでわかりやすく、ホーム画面は通貨ペアのレート表示となっている。チャートはレートをタップすることで表示でき、横画面対応なので大きなチャートを見ながら値動きを観察できる仕様だ。また12種類のテクニカル指標を搭載している。
さらに横画面表示したチャートからも直接発注できるので、画面を切り替える手間がなく、スムーズな取引が可能だ。
マネックスFXの情報コンテンツ
マネックスFXの公式サイトから誰でも閲覧可能なウィークリーコラム では、テクニカルアナリストやFXトレーダー兼講師など著名な為替業界関係者の相場観が発信されている。
実際のチャート画面を使った詳細な値動きの分析は、取引の参考になるだろう。また該当週の値動きから売買方針を掲載しているので、自信の分析と照らし合わせるなどすることで、知識、技術の向上に寄与すると思われる。
また同社の口座を開設した方限定の投資情報 は、メール速報サービス、ストラテジストのレポート、豊富なニュースコンテンツなど充実したラインナップだ。
メール速報サービスでは、24時間市場に関する速報を無料で配信している。インターバンクマーケットのオーダー状況には、レートと売買方針が掲載されており、世界各国の経済指標発表予定と結果、為替市況がリアルタイムで更新されていくので、敏感に反応するマーケット状況を把握できる。
ストラテジストのウィークリーレポートには売買ポイントとその根拠が詳細に綴られている。毎週月曜日配信の「テクニカルアウトルック」、毎週火曜日から金曜日配信の「デイリーマーケットコメント」にも、同氏が長年の活動で収集したデータが惜しみなく掲載されており、マーケット最前線で活躍する為替ディーラーやファンドマネージャーにも定評がある。(同社HPより)
初心者向けのコンテンツも豊富で、トップページの「FXを学ぶ」には、FXの基本から取引ツールの使用方法、注文方法、セミナー情報といったコンテンツが並ぶ。
入門者向け、初級者向け、中級者向けと各習熟段階に応じてコンテンツが分かれているので、自分が求める情報を収集しやすい。
各段階で「注文方法」「仕組みとルール」「テクニカル分析」「トレードルール」のカテゴリから、学びたいカテゴリを選択できるため、順に学べばFXの基礎を身につけ、実際の取引ができる作りになっている。
中でも「タイプ別ケーススタディ」では、運用目的やライフスタイルに合わせて無理のない取引を行う方法が紹介されている。
比較的取引時間が短い「デイ・トレードタイプ」、数日から数週間の運用を行う「スイング・タイプ」、さらに長期的な運用で通貨間の金利差による利益を得る「スワップ・タイプ」の3通りの取引スタイルについて、取引例が掲載されているので、初めてFXに取り組む方は参考にしたい。
投資資金の目安やその取引スタイルに合う性格、目安となる取引時間などが一目で把握できる内容だ。
YouTubeで視聴できる無料Liveセミナーでは、チャット機能を利用して講師に質問できる。FXについて知りたいことがあるときは、利用してみると良いだろう。
マネックスFXのクチコミ(口コミ)・評判は?
マネックスFXのクチコミ(口コミ)ではおおむね良好な意見が見られた。取引ツールの操作性が良い点などが評価されている一方、相場の急変動時にコストが拡大する点を指摘する意見もあった。
一般に、FXでは相場の変動時に取引コストが変動することがある。また、注文が成立しない「約定拒否」や、注文した価格と異なる価格で取引が成立する「スリッページ」などの事象も起こりえるので留意しておきたい。これは、株式などの証券市場と違い、FXは当事者同士で価格を決める「相対取引」で行われるためだ。
こうした事態の起きることが少ないFX会社が「約定力が高い」と評されることもあるが、各社とも提示されたレートが完全に約束されているわけではないので注意したい。
ネット証券大手なので安心感がある

★★★★4点
50代・男性証券とFX口座の資金移動がWebでリアルタイムででき便利

★★★★4点
40代・男性スマホアプリが使いやすい

★★★3点
30代・男性他方、それは他証券会社でも昨今は同性能を併せ持つケースが多いため、実際のところ他社を引き離しているかというと、どうかはユーザ次第かと。。
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