FXの取引ツールは無料で使える?取引ツールの選び方とおすすめを紹介

FXの取引ツールとは
FXの取引ツールとは、新規と決済注文、未決済分の取引情報(建玉)の管理といった、FXを運用する上で必要な操作ができるシステム、あるいはプラットフォームである。
また、テクニカルチャート(※1)やマーケットニュース配信等のサポート機能も搭載していることから、トレーダーにとっては分析や情報収集を行うためにも重要なものと言えるだろう。
※1:テクニカルチャート(テクニカル指標)はFXの分析ツールであり、チャートにセットして将来的な値動きを予測するために用いられる。代表的なものには、移動平均線、ボリンジャーバンド、一目均衡表等がある。
基本的には無料で利用できる
FXの取引ツールは、基本的にすべての機能を無料で利用することができる。
ただし、原則として口座開設したFX会社の取引ツールに限定されているため、もし2つ以上を併用したい場合は、口座も2つ開設しなくてはならない。
しかし、ほとんどの場合、口座の維持費がかからないため、複数の取引ツールを併用しているトレーダーも多い。
FXの取引ツールには大きく分けて3つのタイプがある
FXの取引ツールには、大きく分けて3つのタイプがある。
PCインストール型
PCインストール型は、PCにダウンロードする取引ツールだ。デスクトップ画面からアイコンをクリックするだけで取引を始められて、テクニカルチャートの種類も豊富である。
また、画面の配置を自分好みにカスタマイズできるレイアウト機能を持ったものが多い。
一方、PCのスペックが低いと動作が重くなる可能性があり、OSのMacに対応している取引ツールも全体的にそれほど多くない。Macユーザーは口座開設の段階で対応状況を確認しておくとよいだろう。
ブラウザ版取引ツール
ブラウザ版取引ツールとは、PCにダウンロードせず、GooglechromeやInternet Explorerといったブラウザから起動する取引ツールだ。
比較的動作が軽く、ログイン情報を入れれば別の端末でも取引することができる。
ただし、搭載されているテクニカルチャートの種類やカスタマイズ性はインストール版の方が優れている場合が多い。
アプリツール
アプリツールは、スマホにインストールして利用する取引ツールだ。手軽にどこでも利用できるだけでなく、テクニカルチャートなどもPCに引けを取らないスペックを搭載したものがリリースされている。
また、通常は注文画面へ移行し、取引数量などを入力してから注文確定といった手順で2~3回の動作が必要だが、アプリはこれらをワンタップで実行できる「スピード注文」という機能が搭載されていることが多い。
一方、ネットの通信環境が悪い場所では動作に支障が出る可能性があるため、出先で利用する際は通信環境にも注意が必要だ。
FXの取引ツールを選ぶときのポイント
ここからは、FXの取引ツールを選ぶときのポイントを1つずつ見ていこう。
操作性がシンプルで使いやすいか
FXの取引ツールを選定する際は、操作性がシンプルで使いやすいかどうかが重要なポイントだ。
具体的には、「新規と決済注文のやり方が簡単」「スピード注文機能を搭載しているかどうか」「テクニカルチャートの種類自体は少なくても、すぐにチャートにセットできる」ということも操作性を高める要素である。
また、FX会社によってはチャートや注文パネル、建玉の一覧といった必要最低限の情報のみを画面に配置した「初心者向け取引ツール」を提供している場合がある。
最初はこういったツールから試してみるのがおすすめだ。
テクニカルチャートや分析ツールの種類が豊富か
テクニカルチャートの種類が豊富で、その他の分析ツールも充実しているものであれば、さまざまな分析方法を活用して相場の流れを正確に掴むことができるだろう。
一般的に、テクニカルチャートは30種類以上を搭載していれば水準が高く、チャートに直接ラインを引くことができる描画ツールも、10種類以上あるかどうかを目安に判断してほしい。
また、FX会社によっては、設定した価格にレートが到達した際に知らせてくれるアラート機能や、相場が上昇と下落どちらのトレンドか、自動で判断するツールを提供している場合もある。
アプリツールの機能が充実しているか
アプリツールが高機能であれば、チャートを十分にチェックする時間が確保できなくても、隙間時間で取引することが可能だ。
たとえば、チャート画面が大きく見やすければ、ちょっとしたタイミングで確認しても、すぐに値動きの様子が把握できる。
テクニカルチャートの種類が10種類以上なら、アプリツールとしては水準が高く、出先でも分析作業が可能である。
また、マーケットニュースも確認できれば、タイムリーな市場の経済動向が掴めるため、可能な限り機能が充実しているアプリツールを探すことが大切だ。
カスタマイズ性が高く自分好みのレイアウトにできる
カスタマイズ性が高い取引ツールなら、自分好みの画面配置に組み替えられるため、より快適な環境で取引できる。
実際、カスタマイズ性を重視しているのは「ある程度自分のトレードスタイルが確立された中上級者」に多い傾向だが、レイアウトをシンプルな初心者仕様に変更することもできる。
そのため、まだ相場に慣れないうちは、注文パネルやチャートといった最低限必要な情報を見やすく配置するのがおすすめだ。
ある程度スキルが身についたら、「複数の通貨ペアを同時に取引できるようにチャートの画面を増やす」「各国の動向をタイムリーにキャッチするために、マーケットニュースをいつでも確認できるようにする」など切り替えるのもよいだろう。
【用途別】おすすめの取引ツール
ここからはより具体的に、おすすめの取引ツールを解説していく。現在利用しているものが自分に合っていないと感じている方は是非参考にしてほしい。
シンプルな操作性のおすすめ取引ツール
DMM FXの「DMMFX PLUS」
出典:DMM FX
DMM FXの取引ツールの一つである「DMMFX PLUS」は、無駄な機能を省いて情報が精査されたシンプルな操作性を備えている。ブラウザ版ツールであるため、軽快な動作環境で取引が可能だ。
チャート画面では注文操作と経済指標発表(※2)、マーケットニュースの確認を同時におこなうことができ、注文パネルも大きく見やすいことから、直感的に操作しやすい仕様となっている。
ちなみに、DMM FXのもう一つの取引ツールである「DMM FX STANDARD」は、チャートと注文パネルがメインで、より初心者向けの仕様になっている。両方を試してより使いやすい方を選ぶのもよいだろう。
※2:世界各国の経済状況を示す統計データであり、雇用統計や政策金利発表は特に代表的なものにあげられる。
GMOクリック証券「はっちゅう君FXプラス」
出典:GMOクリック証券
GMOクリック証券の「はっちゅう君FXプラス」はインストール型の取引ツールであり、その名の通り発注機能に特化した機能を備えている。
ワンクリックで即時注文ができる「スピード注文」を搭載していることに加え、キーボードのショートカットキーや、各通貨ペアが簡易表示されたレート一覧、そしてチャートの直接クリックでも注文が可能だ。
また、取引とは異なるポイントだが、はっちゅう君FXプラスはワンクリックで入出金ページに移行できることも魅力の一つである。
SBI FXトレード「Rich Client NEXT」
出典:SBI FXトレード
SBI FXトレードの「Rich Client NEXT」で利用できるプライスボード画面は、チャートと現在の価格のみを表示させたシンプル機能である。
最大6通貨ペアまで表示することができるため、最低限の情報でより多くの値動きの判断が可能だ。
また、通常のチャート画面を直接クリックする方法でも注文ができるため、初心者でもスピーディーに操作できる取引ツールと言える。
SBI FXトレードはアプリツールも操作性が高い。
ワンタップで発注できる2WAY注文では、スマホを横向きにすることで右の親指の位置に買いボタン、左に売りボタンが配置される仕様であるため、簡単な操作で直感的に取引ができる。
分析機能が充実しているおすすめ取引ツール
IG証券「Pro Real Time」
出典:IG証券
IG証券「Pro Real Time」の「ProScreener」という機能は、「上昇(下落)トレンドが発生中の通貨ペア」といった、特定の条件を設定することで、100種類の通貨ペアの中から該当するものを自動抽出することができる。
FX相場におけるトレンドの発生は値動きが大きいことから、流れに従うような取引をすれば利益を伸ばしやすい。そのため、「Pro Screener」はより多くの取引チャンスを掴めるツールと言えるだろう。
また、同じく「Pro Real Time」に搭載されている「Pro Real Trend」では、自分が取引している通貨ペアのチャートの、サポートライン(※3)、レジスタンスライン(※4)そしてトレンドライン(※5)が自動描画される。
相場の分析が苦手な方にはとくにおすすめの機能である。
「Pro Real Time」は4,000円/月の利用料が発生するという、業界でも珍しい取引ツールとなっているが、月間4回の取引をおこなえば免除される。
※3:サポートラインとは日本語訳で支持線となり、過去の値動きで反発している安値同士を結んだ一本のラインである。一般的には、このラインに触れると下落が止まり反転するとされており、FXの分析においては欠かせない手法と言える。
※4:レジスタンスラインはサポートラインの逆となっており、過去の値動きで反発している高値同士を結んだラインである。こちらはチャートの上昇を抑えて反発する傾向がある。
※5:トレンドラインとは、ローソク足の高値、あるいは安値同士を結んで相場の方向性を把握するものである。イメージとしては高値と安値が切り上がっている際は右斜め上に伸びる上昇トレンドラインの形となり、切り下がっている場合は右斜め下に伸びる下落トレンドラインとなる。
LION FX「LION FX C2」
出典:LION FX
「LION FX C2」は、LION FXで利用できる7種類のPC取引ツールの中で、最高水準の仕様である。
「LION FX C2」に搭載されている「クロスライン」という機能は、チャートにカーソルを合わせることで、そのポイントの日付や時間、価格を確認できる。
さらに、他の時間足でも同じ位置の情報を表示させることが可能だ。
具体的には、5分足チャートで「クロスライン」を利用すれば、30分足でも同じ位置まで連動するため、「短期足では下落トレンドだったが、長期足のこの時間は上昇トレンドなので、一時的な短期間の下落だった。」という分析が効率的にできるのである。
また、「ミニチャート」という機能を利用すれば、表示されているチャートをより広範囲にして同時に表示させることができ、短期足と長期足の同時分析が可能となっている。
楽天証券「MARKET SPEED FX」
楽天証券の「MARKET SPEED FX」は、業界最高水準の約40種類のテクニカルチャートが搭載されているため、多彩な手法を用いた相場分析が可能だ。
また、アラート機能を利用すれば、テクニカルチャートにレートが到達した際、ポップアップか音声で通知を受けることができるため、自分が狙っていたエントリーのポイントを逃さず取引できるだろう。
スマホアプリの利便性に優れたおすすめ取引ツール
LINE FX「アプリツール」
出典:LINE FX
LINE FXの「アプリツール」には、11種類のテクニカルチャートが搭載されており、LINEでのアラート機能はレートの変動時だけでなく、経済指標発表の情報を受け取ることもできる。
また、ワンタップ注文やチャート画面の4分割表示といった機能もしっかり備えていることから、アプリツールとしては利便性の高いスペックと言えるだろう。
LIGHT FX「LIGHT FXアプリ」
出典:LIGHT FXアプリ
LIGHT FXの「LIGHT FXアプリ」は、チャートを見ながらワンタップで注文することができ、経済指標に関連する情報をプッシュ通知で受け取ることも可能である。
また、LIGHT FXを利用しているトレーダー全体の売買比率(※6)と価格分布(※7)も閲覧可能だ。これにより、各通貨の売りと買いの量が簡単に把握できるため、相場の動向を効率的に掴むことができる。
※6:「売り注文」と「買い注文」それぞれの比率
※7:未決済の「売り注文」と「買い注文」がどの価格にどの程度あるかのグラフ
カスタマイズ性の高いおすすめ取引ツール
サクソバンクFX「Saxo Trader PRO」
サクソバンクFXの「Saxo Trader PRO」のカスタマイズ性は、業界でもトップクラスとされている。
注文パネルやチャートの配置変更はもちろん、自分が監視したい通貨ペアを一覧表示にすることも可能だ。
搭載しているテクニカルチャートも50種類以上あり、オートチャーテスト機能を利用すれば相場のトレンド転換をシグナルで表示させることもできる。
また、サクソバンクFXでは、自分が作成した取引ツールでFX取引をおこなうこともできるため、カスタマイズ性という観点からみれば、他社とは一線を画したサービスだと言える。
外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
出典:外為どっとコム
外為どっとコムの「外貨ネクストネオ」は、レイアウトを保存した画面パターンを最大8種類保存することができ、それらをワンクリックで手早く切り替えることができる。
また、取引ツールをPC画面の端に縮小してガジェットにすれば、ネットサーフィンをしながらでも快適な取引ができるだけでなく、異なる通貨ペアの注文画面を3つ同時に表示することも可能だ。
「外貨ネクストネオ」のレイアウト機能は、とくに複数通貨ペアで取引をおこなう中上級者にとっては、大変利便性が高いと言えるだろう。
ツール選びは利益に大きく影響する
FXの取引ツールは、FX会社ごとに特徴や仕様が異なるため、もし自分に合わないものを利用し続けると、効率的に利益を重ねることができなくなるだけでなく、損失を招く可能性もある。
たとえば、操作に馴染めない取引ツールを利用していると、値動きが激しい相場において焦りが生じ、売りと買いを間違えるといったようなミスが生じてしまう危険性がある。
また、テクニカルチャートのセットの仕方が煩雑だと、分析精度の低下により、値動きの予想が難しくなってしまう。
このことから、取引ツールの選定はトレーダーにとって利益に影響する重要なポイントと言えるだろう。