【FX】米ドル(USD)の解説──主要通貨ペアや値動き要因も

米ドル(USD) 基本情報

特徴世界で最も取引される法定通貨。世界取引の44%を占める。
国際的な決済手段のほか、IMF特別引き出し権 や国の外貨準備など、強い実需がある。
使用国アメリカ合衆国
通貨記号$またはUS$
供給量19兆860億ドル  ※2020年11月
政策金利0.25% ※2020年3月15日~
10年国債金利0.92% ※2020年12月9日
物価上昇率+1.5%(2020年予想)
GDP成長率▲4.3%(2020年予想)
中央銀行FRB(Federal Reserve Board)
中央銀行議長ジェローム・パウエル
公式サイトURLhttps://www.federalreserve.gov/
公式Twitterhttps://twitter.com/federalreserve

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米ドルの紙幣と通貨

ドル($)の補助通貨にはセント(¢)があり、ドルに関する紙幣と通貨には、6種類の紙幣と6種類の硬貨が流通している。

紙幣: 1ドル、5ドル、10ドル、20ドル、50ドル、100ドル
硬貨: 1セント、5セント、10セント、25セント、50セント、1ドル

50セント、1ドル硬貨はほとんど見かけないので、実質的に使用されている硬貨は4種類になる。50ドル、100ドル紙幣も店によっては使用できないこともあるので、主に使用されている紙幣も4種類だ。

定期的なイベント

雇用統計 原則毎月第一金曜日

米国労働省は、原則毎月第一金曜日に「失業率」や「非農業部門雇用者数」など雇用に関する統計を公表する。発表時間は、標準時間(冬時間)では概ね22:30、夏時間では概ね21:30だ。

雇用統計の公表前後では、一般的に為替相場が大きく動く。米国GDPの6~7割は個人消費が占めるため、その個人消費の源泉たる雇用の情報は市場にとってデリケートなテーマだからだ。

雇用統計の改善は一般的にドル高の要因だが、米国の経済政策を考えるとそう単純に捉えられない。雇用の改善は経済刺激政策の終了を連想させるためだ。したがって、雇用統計の改善および悪化に対する市場の反応は、一概に断言できない。

ADP雇用統計 2営業日前に公表の民間予想

米ADP(オートマティック・データ・プロセッシング)社のデータを利用し、全米の非農業部門雇用者数の数値を予測する数値だ。雇用統計の2営業日前に公表される。

両者の数値はしばしば乖離する。過信はできないが、雇用統計の予測に利用できる。

ゴトー日 毎月5と10が付く日

毎月5、10、15、20、25、30日のことを「ゴトー日(ゴト日)」という。企業の決済が増え、米ドルへの需要が高まりやすいと考えられている。つまり、ドル高の要因だ。

国際間の決済では米ドルが最も用いられる。海外へ向かって決済する企業は、支払いのために米ドルを用意しなければならない。したがって、「自国通貨売りー米ドル買い」取引が行われると考えられる。

レパトリエーション ゴトー日と逆の行動

ゴトー日の論拠は、海外へ向かって決済する企業行動による。しかし、海外の収益などから得られた米ドルを、国内の決済などに用いるため「米ドル売りー自国通貨買い」取引が行われる可能性もある。これを「レパトリエーション」という。

レパトリエーションは決算前の2~3月に行われる傾向がある。

米議会の予算審議 予算教書と予算不成立

米国の予算審議は為替相場に影響を与える。予算には米国の政策が反映されているためだ。

米国の予算審議は、まず2月に大統領が「予算教書」を公表する。あくまで大統領が要求する予算で、法的な拘束力はない。しかし、大統領の方針が反映されていると考えられるため、市場では注目される。

予算は会期の9月まで審議が行われるが、予算が成立しない可能性もある。「つなぎ予算」が組まれ、12月程度まで引き続き審議される場合もあるが、成立しない場合は公共機関が一時的に閉鎖される。一般的にリスクオフの動きとなり、ドル安の要因だ。

大統領選

米国大統領の任期は4年制のため、4年ごとの11月に大統領選挙が行われる。大統領は2選まで認められているため、同じ大統領が連続して選ばれる可能性もある。

米国の方針に大きく影響を与えるため、相場は比較的大きく反応する。大統領選挙当日だけでなく、以下の日程も注目される。

・中間選挙:任期2年目の11月に行われる議会選挙 ※大統領は不変
・スーパーチューズデー:大統領選の年の2~3月、予備選挙(地方選挙)が集中する日
・党大会:大統領選の年の概ね8月に党の立候補者を正式指名 候補が複数いる場合に注目
・テレビ討論会:大統領選の年の10月ごろ

米ドルの代表的な通貨ペア

米ドルの代表的な通貨ペアは6種類ある。

  • 米ドル/円(USD/JPY)
  • ユーロ/米ドル(EUR/USD)
  • 英ポンド/米ドル(GBP/USD)
  • 豪ドル/米ドル(AUD/USD)
  • 米ドル/カナダドル(USD/CAD)
  • 米ドル/スイスフラン(USD/CHF)

米ドル/円(USD/JPY)

米ドルと円は世界で1番取引量の多い通貨と3番目に多い通貨の組み合わせで、米ドル/円の通貨ペアの取引量は世界で2番目に多い 。日本では最もメジャーで取引量の多い通貨ペアである。

米ドルは円の為替取引において基本となる通貨ペアだ。円との通貨ペアにはユーロや英ポンドなどがあるが、円で直接通貨を取引するのではなく、一度米ドルを取引してから米ドルと取引したい通貨の為替をおこなう。

これをクロス円取引と呼び、円と他の外国通貨を取引した場合に米ドルの影響を受けやすい理由となっている。そのため、円の外国通貨ペアの値動きを読むには日本円と対象の通貨だけでなく米ドルの動きも考慮に入れる必要がある。

米ドル/円で取引する場合は直接取引をおこなうため、基本的には米ドルと円の動きだけを考慮すればいい。米ドル/円の通貨ペアは基本であり初心者向けの通貨ペアといえる。また、値動きに安定性があることも初心者向けと呼ばれる理由の1つだ。

ユーロ/米ドル(EUR/USD)

ユーロと米ドルは世界で最も流通量が多い通貨の組み合わせだ。そのため、世界で一番取引量が多い 。もちろん、流通量の多い通貨同士のペアの取引量が必ずしも多いわけではない。ユーロと円は世界で2番目と3番目に流通量の多い通貨だが取引量はあまりない通貨ペアである。

ユーロと米ドルはユーロ圏とアメリカの経済状況によって値動きが変動するが、米ドルの買い材料が出るとユーロに売りが先行しやすく、米ドルの売り材料が出るとユーロは買われやすくなる。

米ドル/円と同様に直接取引ができる通貨なのでトレンドが分かりやすく、取引シェアが一番多い通貨ペアであるため動きも安定しやすい。こちらも初心者向けの通貨ペアだ。

英ポンド/米ドル(GBP/USD)

英ポンドと米ドルはかつての基軸通貨と現在の基軸通貨のペアだ。英ポンドの通貨の取引量は今でも世界4位 ではあるが、米ドルのシェアと比較すると圧倒的に少ない状況である。

そのため、流通量が少ないので英ポンド/米ドルの値動きが激しく安定しにくい。また、デイトレードの対象にもなりやすい。米ドル/円やユーロ/米ドルといったメジャーな通貨でFXの取引に慣れてから取引したい通貨といえるだろう。

豪ドル/米ドル(AUD/USD)

豪ドルはオーストラリアの通貨であり、豪ドルと米ドルの通貨ペアの取引量は全体で見ても4位 であるため取引量の多い通貨であるといえる。

豪ドルを取引する上で気をつけるべきことは中国の経済指標である。オーストラリアの輸出の30%以上 が中国であるため、豪ドルは中国経済に影響を受けやすい。米国の経済指標はもちろん、中国の経済指標も確認しておく必要がある。

米ドル/カナダドル(USD/CAD)

米ドルとカナダドルは2つの通貨の時間帯が重なっている通貨ペアだ。地理的にも経済的にも米国と結びつきが強いのでカナダドルは米ドルと連動しやすい通貨である。

また、カナダは石油・天然ガスなどの資源が豊富であるため、カナダドルは原油価格の影響を受けやすい特徴もある。原油価格の上昇と下落と相関するようにカナダドルの価格も上下しやすい。

米ドル/スイスフラン(USD/CHF)

スイスフランは日本円と同様に有事の際に購入されやすい安全な通貨ではあるが、2015年のSNB(スイス国立銀行)の介入によって起こった「スイスショック 」によって、ユーロ/スイスフランは暴落し、その余波は米ドル/スイスフランまで及んだ。

スイスショックのようなSNBの為替介入事例をリスクとして承知した上で、米国の政策金利0.25%、スイスの政策金利-1.25% (2020年11月時点)の差を利用したスワップポイントによる長期投資も期待できる通貨ペアとなっている。

米ドル価格を予想する上で押さえるべき論点

通貨供給量 増加はドル安要因

米国は、2020年の新型コロナウィルス以降、米ドルの供給量を急拡大している。2019年11月では15兆2,512億ドルだったが、2020年11月は19兆860億ドル、実に3.8兆ドル増やした計算だ(約25%増)。

米ドル供給量の上昇は、一般的にドル安要因だ。供給量の上昇が続けば、米ドルにはより下落圧力が強まる可能性がある。

供給量が増えた背景に新型コロナウィルス拡大がある以上、終息が見込めないうちは供給量の引き締めは難しいだろう。終息が見込まれれば、市場では供給量の減少を見込む買いが誘発される可能性はある。

FF金利 上昇はドル高要因

米国の政策金利「FF(フェデラルファンド)金利も、新型コロナウィルス感染拡大に対応し、2020年3月に0.25%まで引き下げられた(引き下げ前は1.75%)。10年米国債金利も2%前後から1%未満まで下落している。

米国の直近のインフレ率は1.5%ある。金利がインフレ率を下回る「実質マイナス金利 」の状態となっており、米ドルよりも他の資産(たとえば金)へ資金が向かいやすい。米ドル価格は下落しやすい状態にある。

通貨供給量と同じく、新型コロナウィルス感染拡大の終息が見込まれれば、金利の上昇を見込んだ買いが誘発される可能性がある。

有事のドル買い

有事のドル買いとは戦争など今後の経済に大きな不安材料となる事態が発生した場合にドルが買われることを指す。米ドルは世界で最も流通量の多い通貨であるため流動性が高いことが安定性のある資産として認識されるからだ。

世界の為替市場を大きく揺るがす有事が発生した際には、流動性の低い通貨を取引することが困難になることも流動性の高い通貨に買いが入りやすい理由になるだろう。また、他に有事の際に買いが入りやすい通貨には日本円、スイスフランがあげられる。

ただし、必ずしも有事の際に米ドルへの買いが入るわけではない。戦争や紛争の発生地域が米国である場合や、他にも米ドルを売り材料となる条件があれば米ドルが売られる可能性は十分に考えられる。

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