【FX】南アフリカランドの特徴・今後の見通し|どのような人に適した通貨なのか

FXは少額から始められる投資として、注目されている。しかし運用しだいで損失が拡大することもあるので、取り扱う通貨の特徴や注意点を知っておいてほしい。
特に南アフリカは新興国のため、他国の影響を受けやすく値動きも大きい。そのため「金利がよいからスワップポイントで稼ぎたい」というだけでは、運用は難しいだろう。
この記事では、南アフリカランドの基本的な特徴やメリットだけではなく、取引する上での注意点や今後の南アフリカランドの見通しにも触れている。まずは通貨の特徴を知り、自分にとって向いている通貨なのか判断しよう。
南アフリカランド(ZAR)の特徴
FXはその国の政治や経済、資源価格などさまざまな要因を受けて変動するため、取引をするならそれらを理解しておく必要がある。ここでは南アフリカランドの特徴や、変動要因、スワップポイントなどを見ていこう。
南アフリカランドの基礎知識
南アフリカランド、通称「ランド」は南アフリカ共和国の通貨である。高金利通貨として人気があり、金や鉄鉱石といった鉱物資源を元にする資源国通貨としても知られている。
南アフリカランドは1951年から1994年にかけて、資本取引と経常取引で異なる為替レートを用いる二重相場制度が採用されていた。しかしその後は変動相場制へと変わり、現在でも変動相場制がとられている。
為替管理は財務大臣の管轄だが、中銀が権限を委譲されている。
そのため経常取引のレートを管理するために、中銀が頻繁に為替市場に介入をしていた時期もあった(1890年代)。しかし1990年以降、中銀は市場の調整機能を信じ、為替介入を控えるようになっている。
また南アフリカランドの通貨取引量は多くない。以下は2019年のベース通貨別取引量(%)である。
年代別 各国の通貨取引量 |
2010年 | 2013年 | 2016年 | 2019年 |
---|---|---|---|---|
米ドル | 84.9 | 87.0 | 87.6 | 88.3 |
ユーロ | 39.0 | 33.4 | 31.4 | 32.3 |
日本円 | 19.0 | 23.0 | 21.6 | 16.8 |
南アフリカランド | 0.7 | 1.1 | 1.0 | 1.1 |
もう一つ、2019年の主要通貨ペア別の取引量をみてみよう。
通貨ペア | 取引高(10億ドル) | 全体の割合(%) |
---|---|---|
ドル/ユーロ | 1,584 | 24.0 |
ドル/人民元 | 269 | 4.1 |
ドル/メキシコペソ | 105 | 1.6 |
ドル/南アフリカランド | 62 | 0.9 |
ドル/ユーロの取引高が全体の24.0%を占めているのに対し、ドル/南アフリカランドは0.9%でしかない。ドル/人民元が4.1%、ドル/メキシコペソが1.6%なので、同じ新興国と比較しても取引量が少ないといえるだろう。
ランドは取引量が少なく、ボラティリティー(予想変動率)が高い通貨である。
またランド相場の推移であるが、変動相場制へと変わった1995年以降から、対ドル相場で下落傾向にある。大きく下落した際のポイントとしては、下記の3つが上げられる。
<2001年前後>
中銀が為替介入を控え始めたため
<2007~2008年>
リーマン・ブラザーズの破綻を起因とした世界金融危機の影響
<2015年>
ズマ大統領がネネ財務大臣を更迭したため
2007~2008年にかけての世界金融危機の際には、リスク回避のために株や債券等価値が変動するものを売売却して現金化をする動きになった。
その中で有事のドル買いから米ドルが買われる動きとなり、南アフリカランドは対米ドルで売られる動きが継続した。
また昨今では中国も南アフリカへの影響を強めているので、南アフリカランドの動向を推察する上で注意が必要だ。
南アフリカ共和国にとって中国は、アメリカを抜いて最大の貿易国である。また中国も南アフリカ共和国の企業への出資や支援に力を入れている。
戦争や武力紛争など「有事」と呼ばれる非常事態が発生した際に、国際的な信認が厚く流動性が高い米ドルが外国為替市場で買われること。
次に2015年に起こった下落についてだが、これは外部要因ではなく国内政治の影響を受けて起こった。ズマ大統領が財務大臣を更迭し、その後釜に無名だったファン・ルイエン氏を据えたのである。
これにより南アフリカ共和国の経済動向の不透明感が強くなったため、南アフリカランドは暴落した。
このように南アフリカランドは外部要因だけではなく、昨今では国内の政治や経済の影響も強く受けるようになってきている。
- 高金利通貨であるが、金利は低下傾向である
- 資源国通貨であり、金やプラチナなどの資源価格の影響を受けやすい
- 取引量が少なく、ボラティリティーが高い
- 南アフリカランド相場は1995年以降から対ドル相場で下落傾向が続いている
- 先進国や最大貿易国である中国の影響を受けやすい
- 国内政治・経済の動向によっても大きな変動をする
南アフリカランドの変動要因
ここでは南アフリカランドの価格の変動要因を見ていこう。
資源価格に左右される
南アフリカはブラジルやカナダ、オーストリアと並ぶ、世界有数の資源国である。南アフリカの資源は金やプラチナ、鉄鉱石などの貴金属やレアメタルで、プラチナに至っては世界シェア75%を誇る。
そのため南アフリカランドはメキシコペソと同様に、資源国通貨に位置づけられている。
南アフリカランドは、商品価格の影響を受けやすい。そのため金やプラチナなどの資源価格が上昇したときにはランドの価値が上昇しやすく、逆に鉱山のストライキや資源価格の下落により、ランドの価値は下がりやすい。
通貨価値に影響を与える資源について詳細をみていくと、金、プラチナ、マンガン、クロムに関して南アフリカ共和国は世界一の埋蔵量である。それ以外にもダイヤモンドやチタン、ウラン、石炭なども豊富に採れる。
金の産出量は、2006年まで南アフリカ共和国が世界一だった。その後、中国やオーストラリアに追い抜かれ、2020年には産出量90トンで世界11位となっている。
またプラチナの輸出先第1位は日本である。プラチナは宝飾品としてだけではなく、自動車産業にとってなくてはならない素材であり、今後も引き続き需要があるだろう。
南アフリカランドは資源国通貨であるがゆえ、資源価格に影響を受ける。埋蔵量の減少については現時点で大きな影響はないが、資源価格の変動や輸出相手国の動向に関しては注視したい。
中国経済の動向
南アフリカのような新興国は、外需のフローに依存する割合が大きい。
そのため貿易量が大きい国や先進国の国々の経済が悪化すると資源などを含めて外需が冷え込むため、南アフリカ共和国もその影響を受けてしまう。
南アフリカ共和国との貿易が活発な国には、中国やEU、アメリカ、日本などが挙げられる。また近年ではサウジアラビアやインド、南部アフリカ諸国との経済活動も盛んだ。
中でも注目しておきたいのが、輸出量全体の約10%を占める、最大の貿易相手国の中国である。鉄鉱石の価格は、最大購入国である中国の需要と、資源メジャー各社の交渉によりほぼ決まる。
2008~2009年にかけて中国では金融危機後の景気対策が行われ、鉄鉱石の価格は高騰した。
しかし2015年頃から不動産開発投資や製造業の固定資産投資の行き詰まりにより、中国経済は減速していく。これに合せて鉄鉱石の価格は下落した。
資源国通貨である南アフリカランドが、そのあおりを受けたのはいうまでもない。資源の価格が落した場合、南アフリカランドも下落する可能性が高い。
このように、最大の貿易相手国である中国が南アフリカランドに与える影響は大きい。
南アフリカランド/円のスプレッド・スワップポイント
2022年1月7日時点のFX会社のスプレッド・スワップポイントは次の通りだ。
南アフリカランド/円 | 外為どっとコム | DMM FX | GMOクリック証券 | みんなのFX | LIGHT FX | SBI FXトレード | LINE FX | LION FX | 外貨ex byGMO |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
スプレッド | 0.3銭 ※1 原則固定※例外あり |
1.0銭 | 0.9銭 | 0.9銭 | 0.9銭 | 0.78銭※2 | 1.0銭 | 0.8銭 | 1.3銭 ※3 |
スワップポイント (買い) |
9円 | 8円 | 100円(10万通貨) | 9.1円 | 10.1円 | 8円 | 10円 | 9円 | 8円 |
※1:スプレッド縮小キャンペーン」スプレッド(対象期間:2022年1月4日(火)午前9時00分~2022年2月5日(土)午前3時00分、提示時間帯:対象期間中の各営業日午前9時~翌午前3時)
※2:注文数量1,001~100万までのスプレッド最頻値
※3:午前9時~翌午前3時
南アフリカランドは高金利通貨なので、保有するだけで毎日スワップポイントが入る。スワップポイントで稼げること、これが南アフリカランドを保有する魅力の一つである。
南アフリカの政策金利の推移を先進国と比較してみると、相対的に金利が高い位置で推移しているのがわかる。
<政策金利の推移>※各年度1月の金利(%)
4ヵ国の 金利変動 |
南アフリカ | 日本 | アメリカ | 欧州 |
---|---|---|---|---|
2008 | 11.0% | 0.1% | 3.0% | 4.0% |
2009 | 11.5% | 0.1% | 0.25% | 2.0% |
2010 | 7.0% | 0.1% | 0.25% | 1.0% |
2011 | 5.5% | 0.1% | 0.25% | 1.0% |
2012 | 5.5% | 0.1% | 0.25% | 1.0% |
2013 | 5.0% | 0.1% | 0.25% | 0.75% |
2014 | 5.0% | 0.0% | 0.25% | 0.25% |
2015 | 5.75% | 0.0% | 0.25% | 0.05% |
2016 | 6.75% | -0.1% | 0.5% | 0.05% |
2017 | 7.0% | -0.1% | 0.75% | 0.00% |
2018 | 6.75% | -0.1% | 1.5% | 0.00% |
2019 | 6.75% | -0.1% | 2.5% | 0.00% |
2020 | 6.25% | -0.1% | 1.75% | 0.00% |
2021 | 3.5% | -0.1% | 0.25% | 0.00% |
南アフリカランド/日本円の通貨ペアのスワップポイントは、2021年1月で3.6%である。
アメリカ/円では0.35%、欧州/円では0.1%なので、南アフリカランドのスワップポイントが先進国の通貨に比べて高いことがわかる。
南アフリカランドを取引するメリット
ここでは南アフリカランドを取引するメリットについて解説しょう。
通貨金利が高いこと
南アフリカランドの特徴は通貨金利が高いことである。
これは通貨安を抑制し、資金流出を止めるために比較的政策金利の水準を高く設定していることが理由と言われており、取引量が少なく値幅が大きいことでも知られている。
そのため世界経済が持ち直し通貨高のトレンドになった場合、通貨金利と為替差益の両方を得ることができる。これが南アフリカランドの魅力だ。
FXで2国間の金利差を用いて利益を上げる場合、金利が高い通貨を購入し、スワップポイントを受け取る。
南アフリカランドを購入した場合、スワップポイントで得られる利益がドルやユーロといったメジャー通貨に比べてどれくらい大きいかみてみよう。
2021年1月時点での金利を比較した場合、日本の金利は-0.1%、対して南アフリカは3.5%なので、その金利差(スワップポイント)は3.6%になる。
ドルと比較するとドルの金利が0.25%、金利差0.35%なので南アフリカランドのスワップポイントが大きいことがわかる。
通貨金利が高い国には、他に4%超のメキシコペソや19%のトルコリラがある。
ランドは長期にわたり下落傾向が続いているため、保有した場合に為替差益で損が出る可能性がある。ポジションを保有する際には注意しよう。
南アフリカランドを取引する場合の注意点
ここでは南アフリカランドを取引する場合の注意点について見ていこう。
値動きが大きい通貨であること
南アフリカランドをトレードするなら、流動性リスクを考慮する必要がある。
先進国の通貨ペアと比較すると、南アフリカランドは取引量や流動性が共に低い。そのためグローバルな資金移動の影響を受けやすく、値動きが大きいのである。
金融危機のときは特に注意が必要だ。外国資本が流出してしまい、南アフリカランドの通貨価値が暴落することがある。
2008年のリーマンショックでは多くの国で通貨価値が暴落した。その際に南アフリカランド/円は12円台から7円台へ大幅に下落している。
暴落率は40%近くで、ドルで考えれば110円から60円台へと円高になるイメージだ。
取引をする際にはスワップポイントの利益だけでは補えないほどの、為替差損が出ることを理解しておく必要があるだろう。
政治リスクや地政学リスクが高い
グローバルな世界経済の動きに影響を受けやすい南アフリカランドであるが、もう一つの懸念材料として政治リスクや地政学リスクがあげられる。
南アフリカ共和国では、政治家が公的資金流用するといった汚職事件が多い。
たとえば、2018年に任期を待たず辞任に追い込まれたズマ大統領は、政権前からスキャンダルが取りざたされており、就任後も汚職事件が続いた。
特に南アフリカランドの下落に影響を与えたのは、財務大臣の更迭である。ズマ大統領は歳出削減を進めるナナ財務大臣を更迭して、財政政策執行の経験がないファン・ルイエン氏を着任させた。
その際にランドの対ドルレートは暴落し、当時の過去最安値の16.73ランドを記録している。
他にも黒人の貧困層の問題、高い失業率、上昇するインフレ率、暴動のリスクなど解決しなければならない課題は多い。
また新型コロナ感染症も、南アフリカ共和国にダメージを与えた。世界各国がロックダウンを行い、輸出入が滞ったのである。
さらに追い打ちをかけるように、南アフリカ共和国の鉱山では集団感染が起こった。鉱山が操業を停止・縮小したため、鉱物の産出量は激減した。
現在は新型コロナ感染症の影響からゆっくりと回復してきており、南アフリカランドも底堅い動きが続いている。
しかし、通貨高のトレンドになるためには、世界経済が回復し国内の不透明要因が解決して、経済成長が進んでいく必要がある。
格下げのリスクがある
格付けというのは投資が安全であるかどうかの指標であり、格付けを専門的に行っている民間会社が発表している。
有名な格付け会社には、アメリカのムーディーズ社やスタンダード&プアーズ(S&P)社、フィッチ、日本では格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)などがある。
大手格付け会社による、南アフリカ共和国の格付(2021年4月時点)は以下の通りである。
会社名 | 発表日 | 格付け | 見通し |
---|---|---|---|
ムーディーズ | 2020/11/20 | Ba2 | 格下げ |
スタンダード&プアーズ | 2020/11/20 | BB- | 据え置き |
フィッチ | 2020/11/20 | BB- | 格下げ |
3社共に評価は「投機適格」である。投機適格とは、リスクが高くギャンブル性(投機扱い)が高いという評価である。またムーディーズとフィッチに関しては、今後も格下げが続く見通しをしている。
これらの評価は南アフリカ共和国の財政悪化や、新型コロナウイルスの影響による経済成長の鈍化、GDPの低水準などに起因している。
格付けは通貨の価値に影響する。格付けが高いと通貨の価値は上がりやすく、格付けが低いと通貨の価値は下落しやすい。
また、格付というのは機関投資家が投資対象を選別する時の大きな材料とされており、格付が下落するとルールとして投資できなくなり、機械的に売却することもあるため為替レートに影響するという繋がりがある。
アメリカの大手格付け会社が、南アフリカ共和国への投資を投資不適格だと判断し、さらに格下げが続くことを予想しているため、これからも南アフリカランドの価値が下落する可能性がある。
南アフリカランドの見通し
南アフリカランドは、短期的に下押し圧力がかかりやすくなっている。その理由には、国内の内部要因と、諸外国から受ける影響の両方がある。
- 回復の遅い国内経済
- 高いインフレ率
- 高い失業率
- 回復しない停電
- 不安定な政治
- 貧富の格差
- 暴動のリスク
- 格下げのリスク
また新興国である南アフリカ共和国は、諸外国の影響を受けやすい。新型コロナの影響を受けて大国の経済が停滞している限り、大幅な南アフリカランドの上昇は期待できないだろう。
しかし新型コロナウイルス感染症が回復の兆しをみせ始めれば、先進国の実体化経済が回復する過程において資源価格や貿易量が増加するはずである。それらは南アフリカ共和国にとって好材料となる。
南アフリカ共和国ではすでに鉱物資源の生産が回復しつつあり、新型コロナウイルスの感染者も減少方向にある。南アフリカランドも底堅く推移しているので、ここから大幅に落ち込む雰囲気ではない。
南アフリカランドはどのような人におすすめできる通貨なのか
南アフリカランドは、メジャー通貨とは異なる特徴がある。そのため人によって向き不向きがあるだろう。ここでは南アフリカランドがどのような人に向いているのかみていく。
南アフリカランドの通貨取引をおすすめできる人
南アフリカランドをおすすめしたいのは、長期的な視野で下落するタイミングを待てる投資家である。南アフリカランドの魅力は、スワップポイントの大きさだ。
そのためスワップポイントという小さな利益を、コツコツと積み重ねることができる人が向いている。
南アフリカランドの通貨取引をおすすめできない人
南アフリカランドは売買価格の差額(1回の取引でかかるコスト)であるスプレッドが、先進国と比較して高い。また予想外な値動きが起きる可能性があるため、1回の損失が大きくなりやすい。
そのため短期的な値動きの中でハイリスクハイリターンな為替差益を目指す人には、南アフリカランドは向いていない。
南アフリカランドの取引で気をつけるポイント
南アフリカランドの取引でリスクを抑えるために気をつけておきたいポイントについて解説する。
リスク管理方法がわからないままのトレードしない
南アフリカランドに限らず、FXで利益を得ている人はリスクコントロールが上手である。
FXはチャートを分析したりレバレッジの計算などを行うことで、リスクを減らすことが可能だ。
値動きの大きいときの損切り方法や、値動きが小さいときのリスクコントロールの方法を理解した上で取引を行い、リスクを軽減しよう。
FXで利益を出す人は、読み違えた場合に損を極力少なくするための損切りを、速やかに行うことができる。
ポジションを持つ時点で「このレートを下回ったら売る」と決めたレートに、逆指値注文を使ってストップロスオーダーを入れておく人も多い。
投資の基本としては損小利大を意識したトレードを心がけるといいだろう。
またレバレッジをかけすぎないように、保有ポジションのレバレッジを把握しておくことも重要である。
- レバレッジ = 取引額÷口座への預け入れ資金
- 取引額 = 通貨ペアのレート×保有ポジションの数量
FX会社によっては自動で計算できるツールがあるので、上手に活用しよう。
高金利通貨というだけの長期投資しない
南アフリカランドを長期的な資産運用のために保有する個人投資家は多い。
しかし、南アフリカランドは値動きが大きく格付けも低いため、世界情勢によってはいつ暴落してもおかしくない。
そのため、長期的な運用を考えている場合も、損失の拡大を防ぐためにあらかじめ損切りポイントを決めておくことが重要である。
まずは損切りラインの位置によりレバレッジの倍率を計算して運用することや、ロスカットについて理解しておくとよいだろう。
南アフリカランドはスワップポイントを得ても、大きな為替差損を出す可能性が高い通貨だ。
保有したポジションから右肩下がりになった場合、レバレッジを利用すると一定のラインでロスカットが発生してしまうかもしれない。
ロスカットとは、預けてある金額以上に損失を出さないための、セーフティーネットである。しかし相場が急激な変化をしたときに、ロスカットが追いつかないことがあるので気をつける必要がある。
またロスカットを避けるために追加入金を考えるのならば、無計画な運用を行っているのだと意識することが大切だ。追加入金分まで損失が拡大することを考えた上で、運用をしよう。
損切りラインを決めないままトレードをしない
南アフリカは対円の長期チャートでみると、緩やかな右下がりで推移している。そのためスワップポイント狙いで南アフリカランドを保有しても、取得時のポジションから下落していく可能性が高い。
そのため計画的に損切りポイントを定めて置く必要がある。
ドルやユーロなどのメジャー通貨のチャートをみると、波形に上下を繰り返している。この上限と下限の値幅のことをレンジという。
損切りポイントとして一般的なのは、上限の山形の頂点を結んだレジスタンスラインの少し上か、下限の波形の頂点を結んだサポートラインの少し下辺りである。
しかし南アフリカランドにはこの明白なレンジがないため、損切りラインを決めるのが難しいのである。
とはいえ、損切りポイントを決めないで下落を続ければ、ロスカットにより大きな損失を出してしまう可能性が高くなる。自分で損切りのポイントを決め、逆指値注文やOCO注文をしておくとよいだろう。