ERCトークンとは? ERC20を含む主要な規格を紹介

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ERC規格はイーサリアム(ETH)がオープンソースで公開したトークン同士の共通規格だ。このERC規格で発行されたトークンをERCトークンと呼び、それまでは互換性がなかった仮想通貨に互換性を生むことに成功した。

この記事では、ERC20をはじめとする主要な規格、ERCトークンと呼ばれる代表的な仮想通貨と購入方法について紹介した上で、ERC規格の将来性について解説する。

ERCトークンとは

ERCトークンとは、イーサリアム(ETH)をベースにしたトークンのことであり、ERCトークンのなかでも同じ規格を持ったトークンは互換性がある。ERCとはEthereum Request for Commentsの略称で、イーサリアムのプログラミングについて概説する技術文書のことだ。

この技術文書はEIP(Ethereum Improvement Proposal、イーサリアム改善提案)で提案され、重要と判断された提案のみが議論される。この技術文書をもとに現在では多くの仮想通貨が採用している規格であるERC20が生まれた。

ERCの横につく数字は提案された文書の順番を示すので、ERC20は20番目に提案された文書ということになる。よって、数字が大きくなるほど新しい提案であることが分かる。

ERCトークンがサポートするのは仮想通貨だけにとどまらない。規格を変えるだけで、多種多様なデジタル上の資産に対して互換を持たせられるのだ。現在も提案された文書をもとにERCの規格は増え続けているが、今は取り扱えないデジタル上のデータ概念も、今後新たな規格が登場すれば取り扱えるようになる可能性がある。

ERCトークンにおける規格の種類

ERCトークンには、用途の異なる規格が複数存在する。その中でも代表的な規格は以下の通りだ。

  • ERC20
  • ERC223
  • ERC721
  • ERC725・735
  • ERC1155

ERC20

ERC20は、仮想通貨のような数量的で代替可能なデータを取り扱えるトークン規格だ。数量的で代替可能とは、誰が持っていても同じ数量であれば同じ価値を持つことだ。通貨であれば、50ドルの価値は誰が持っていても50ドルであることから、代替可能で互換性があるといえる。そのため、仮想通貨におけるERCトークンはERC20の規格により発行されている。

ERC223

ERC20の規格で発行されたトークンは、誤送金すると使用できなくなる不具合があった。これを解決するために後から提案された規格がERC223であり、誤送金があった場合でも送信元にトークンに変換することで不具合を解決している。ERCでは、現状の規格に対する問題点を解決する提案がなされることがある。

ERC721

ERC721は、代替不可能で固有の物として機能するデータを取り扱うトークン規格だ。代表的なデータの例としては、NFT(Non-Fungible Token)が挙げられる。NFTの対象になるデジタルアート作品は、それぞれの作品が独自の価値を持つことから通貨のように互換性がない。個々のデジタルアートを区別し、作品を誰が所有しているのかを明らかにする必要がある。ERC20とは取り扱うデータが異なり、記録する情報も変わってくるので別の規格を必要になる。

ERC725・735

ERC725は、自動で契約を履行するスマートコントラクト上に作成できるID管理に関する規格だ。個人情報とIDを紐づけられる性質があり、ブロックチェーンで自身の個人情報を管理できる。インターネット上のサービスを利用する場合は、それぞれのサービス元に対してアカウントを開設して、個人情報を登録しているが特定のサービス元がIDを管理する中央集権型の管理体制では情報漏洩などのリスクがある。

ERC725でIDに関するデータを扱うと、ブロックチェーンを利用してユーザー自身でIDと個人情報を管理することにより、サイトごとにアカウントを開設する手間を省き、情報漏洩などのリスクを防げる。ERC735は、ERC725に加えて電子証明書のデータを格納できるので、身分証の確認や証明に利用できる仕組みとなっている。

ERC1155

ERC1155は、ERC20とERC721の両方の範囲を網羅するマルチトークン規格だ。この規格が必要になる例としては、NFTゲームが挙げられる。NFTゲームにおけるデータでは、ゲーム内通貨には互換性があり、アイテムなどのゲーム独自の資産は代替不可能であることから、それぞれのデータに対してERC20とERC721の規格で実装する必要があった。ERC1155規格であればNFTゲームにおけるすべての種類の資産を網羅可能になるため、1つの規格でサービスにおけるデータの取り扱いを完結させられる。

ERCトークンと呼ばれる代表的な仮想通貨

ERCトークンと呼ばれる代表的な仮想通貨は以下のとおりだ。

  • ベーシックアテンショントークン(BAT)
  • ダイ(DAI)
  • ポリゴン(MATIC)

ベーシックアテンショントークン(BAT)

ベーシックアテンショントークンは、ブラウザのBrave上で使用できる仮想通貨のことだ。Braveは広告のブロック機能とプライバシー保護に特化したブラウザであり、Brave Rewardsに参加すると利用者はプライバシーに配慮した広告が表示される代わりに、報酬としてBATが付与される仕組みとなっている。

ダイ(DAI)

ダイは、DeFiプロジェクトのMakerDAO内で発行される米ドルと連動した価値を持つステーブルコインである。インターネット環境があれば国籍を問わず誰でもMakerDAOで米ドルと同等の価値を持つDAIを入手できる。NFTマーケットプレイスにおける支払い手段にもなっている。

ポリゴン(MATIC)

ポリゴンは、イーサリアムが直面している取引処理速度の遅延と手数料の増加などのスケーラビリティ問題を解決するために生まれたセカンドレイヤー・ソリューションである。イーサリアムをメインのブロックチェーンとして、別のブロックチェーンで処理することで、取引の処理速度の向上と手数料の削減が期待できる。

ERCトークンを購入する方法

ERC20規格を採用した仮想通貨は非常に多く、すべての仮想通貨を国内取引所で購入できるわけではないが、今回紹介した仮想通貨は国内取引所でも取引可能だ。ベーシックアテンショントークン(BAT)とダイ(DAI)は、GMOコインで取り扱いがある。ポリゴン(MATIC)はbitbankで取引可能だ。海外取引所を通して購入することも可能だが、CoinDesk Japanでは、金融庁に認可された国内の仮想通貨取引所で暗号資産を購入することを推奨している。

ERC規格の進化はブロックチェーンの将来性を左右する

新たなERC規格の登場により、仮想通貨を高いセキュリティで管理する技術であったブロックチェーン技術はNFTなどの代替不可能な暗号資産を取り扱えるようになった。現在の中央集権的なID管理の仕組みも新しいERC規格を用いることで、データの管理をユーザーが行う分散型管理の仕組みに移行することが期待されている。

今後もERC規格の進化により、ブロックチェーンでできることが増えると期待されるので、高い将来性を持つといえるだろう。