転売は権利侵害──日本初の司法判断受け、NFTチケットのチケミーが声明

東京地方裁判所は3月10日、コンサートチケットの転売出品が主催者の営業権を侵害するとの司法判断を下した。

旧ジャニーズ事務所のタレントを引き継いだ「STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)」が同月19日に発表したリリースによると、この判断は、本人確認が必要なチケットの転売が主催会社に業務妨害をもたらすという申立てが認められたもの。

同社は、これが「日本で初めて」コンサートチケットの転売出品が権利侵害にあたると判断された事例だとしている。判決により、「チケット流通センター」運営会社に対し、16件の転売出品者の発信者情報開示が命じられた。

この司法判断を受け、NFTチケットプラットフォームを運営するチケミーが3月21日に声明を発表した。

「この判決は、ライブ・イベント業界における長年の課題である『不正転売』への対策が、ついに法的にも明確に支持され始めたことを意味します。しかし、法による抑止だけでは問題の根本解決には至らず、『そもそも転売できないチケット流通の仕組み』が必要とされています」と同社は述べている。

チケミーは、ブロックチェーン技術を活用したチケット転売対策に取り組んでいる。「転売不可」「定価販売のみ」といった制約設定により転売を技術的に防止し、主催者が販売後の流通を管理できる仕組みを実装している。

[チケミーサービス概要資料より]

また、公式リセールを通じた取引環境も提供しており、ブロックチェーン上にチケット情報が記録されることで偽造・詐欺リスクも排除している。

チケミーは「チケット適正流通協議会」にNFTチケット企業として初めて正式加盟しており、今後は公式リセール機能の拡充やアーティスト・イベント主催者との連携強化を通じて業界全体での転売対策を推進していく計画だ。

同社は、大丸松坂屋百貨店やパルコを傘下に持つJ.フロント リテイリングらからの出資も受け、NFT技術を基盤とした「そもそも転売できない仕組み」という根本的解決策の普及に取り組んでいる。

|文:栃山直樹
|画像:リリースから

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