暗号資産/仮想通貨とは何か? クリプトとは? 初心者にもわかりやすく解説

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この記事の目次

暗号資産(仮想通貨)/クリプトとは何か

暗号資産(仮想通貨)とは、電子データのみでやりとりされる通貨であり、法定通貨のように国家による強制通用力(金銭債務の弁済手段として用いられる法的効力)を持たず、主にインターネット上での取引などに用いられる。デジタル通貨(digital currency)とも呼ばれる。ビットコインは仮想通貨の一種である。

英語では「Crypto Currency(クリプトカレンシー)」と呼ばれる。「クリプト」は「暗号」、「カレンシー」は「通貨」という意味となり、日本でも仮想通貨を「クリプト」と呼ぶ人たちがいる。

2009年に運用が開始されたビットコインの登場以降、アルトコインと呼ばれる派生の仮想通貨が次々と生まれ、法定通貨と仮想通貨を交換する仮想通貨取引所が登場したことで、仮想通貨の保有が急速に広がった。

仮想通貨(暗号資産)の種類

仮想通貨(暗号資産)の種類には、ビットコインイーサリアムリップルビットコインキャッシュライトコインNEMイーサリアムクラシックLISKなどがあり、現在もその数は増え続けている。

特にビットコインは、ビットコインキャッシュ、ビットコインゴールド、ビットコインダイヤモンド、ビットコインシルバーなどの派生通貨が誕生している。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインの仕組み

仮想通貨(暗号資産)の仕組みについては、通常の法定通貨とは異なり、管理するための国家や中央銀行のような組織が存在しない場合が多い。主に仮想通貨(暗号資産)を扱う者同士によるピア・トゥー・ピア(P2P:Peer to Peer)と方式が採用されており、ユーザー同士で取引の情報が管理される。発行数に上限がある仮想通貨が多く、流通量に対する需要と供給により価格が変動する。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインの特徴

仮想通貨(暗号資産)の特徴を以下に整理する(※ ただし、以下の記述については、仮想通貨の代表例であるビットコインを念頭に置いたものである)。

1. 中央管理者が存在しない

法定通貨と異なり、仮想通貨には価値を保証する中央集権的な発行主体や管理者が基本的には存在しない。P2Pでトランザクションを参加者全員で監視するブロックチェーンという仕組みによって、中央銀行の持つ信用が価値を保証する法定通貨とは異なる方法で価値を担保している点に特徴がある(※ SuicaやPasmoといった電子マネーについては、あくまで日本円を電子化したものであり、法定通貨である日本円を発行する中央銀行である日本銀行の信頼性に依拠したものである)。

2. 発行上限が存在する

中央銀行が発行する法定通貨の場合、自国の経済状況に応じて、発行枚数を変更することができる。一方で、仮想通貨には中央管理者が存在せず、発行枚数を変更することは基本的には不可能である。そのため、多くの仮想通貨では発行上限枚数を定めており、貨幣の価値が維持されるように設計されている。例えば、ビットコインでは、発行上限枚数は2,100万枚に設定されている。

3. 換金可能である

電子マネーの場合は、日本円などの法定通貨に換金することができない仕組みとなっているが、仮想通貨は、その時点での時価で売買を行うことが可能である。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインの利用用途

仮想通貨の具体的な利用用途については、下記の通り。

1 投資・投機

仮想通貨は価格が固定されていないため、投資の対象となる。そのため、将来有望と思われる仮想通貨の価格上昇ないしは下落を見込んで、投資を実行することで利益を得ることが可能である。また、仮想通貨FXの仕組みを活用すれば、価格下落局面においても、収益化の機会を得ることができる。なお、投資に際しては、取引で損失を出す恐れもあるため相応の注意が必要である。

2 送金・決済

仮想通貨は所有権の移転が可能であるため、決済に利用可能である。仮想通貨決済に対応した店舗やウェブサイトなどでは、仮想通貨を利用したショッピングが可能である。また、仮想通貨を利用することで、海外送金を割安な手数料で行うことができる。

3 分散型アプリケーション開発

仮想通貨は分散型アプリケーション開発にも用いられる場合がある。具体的には、イーサリアムにおけるETH等が挙げられる。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインの技術的な構成要素

仮想通貨の代表例であるビットコインを例に、その技術的な構成要素を整理する。ビットコインは、銀行のような第三者機関の仲介なしに、インターネット上で価値を取引することを可能にする仕組みである。技術的な詳細については割愛するが、その仕組みを簡単に説明すると、「公開鍵暗号方式」によって第三者によるなりすましを防止し、「ブロックチェーン」によって当事者による二重支払を防止し、「マイニング」によってブロックチェーンの運営に貢献したマイナー(採掘者)に対してマイニング報酬という経済的インセンティブを提供した点がポイントである。上記の構成要素について、以下、順番に説明する。

1 公開鍵暗号方式

公開鍵暗号方式とは、暗号化と復号化に別々の鍵を用いて、暗号化の鍵を公開できるようにした暗号方式である。公開鍵暗号方式では、「公開鍵」と「秘密鍵」というペアとなる鍵を発行する。公開鍵は秘密鍵から生成されるが、その逆を行うことは不可能である。公開鍵は誰でも自由に使うことができるが、秘密鍵はその鍵の所有者だけが使うことができる。ビットコインを送金する際には、「アドレス」という宛先を指定するための文字列を公開鍵から生成するが、ビットコインのシステムでは、誰でも使用できる「公開鍵」をアドレスの生成に利用し、ユーザー本人しか使用することのできない「秘密鍵」を取引実行のための署名に利用することで、第三者によるなりすましを防止している。

2 ブロックチェーン

ブロックチェーン技術は、ビットコインの取引を記録する分散型台帳を実現するためのテクノロジーとして、ビットコイン開発の過程で生まれた。取引のデータは「トランザクション」と呼ばれ、複数のトランザクションをまとめたものは「ブロック」と呼ばれる。このブロックが鎖(チェーン)状になったデータ構造が、ブロックチェーンという名前の由来である。一般的なクライアント・サーバー方式と異なり、ブロックチェーン技術の場合、ネットワーク内の不特定多数の参加者によって取引データが監視されているため、当事者による二重支払が発生した場合でも、即座に不正が発覚し、無効なデータとして破棄されることとなる。

出典:10分でわかるビットコインの本質

3 マイニング

マイニングとは、簡単に言えば、ブロックチェーンにブロックを追加する作業のことを指す。ビットコインにおけるマイニング作業では、PoW(Proof of Work)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムが採用されている。これは、自身が生成したブロックを有効化するために暗号学的ハッシュ関数(SHA-256)を利用し、数学的演算を行う仕組みである。マイナーはトランザクションを検証しつつ、新たなブロックを生成するためにトランザクションを収集する。ブロックに記録できるトランザクションが記録されていることの承認作業が行われる。この承認作業が完了すると、正式なブロックとしてブロックチェーンに記録されることとなる。ブロックを生成するマイニング作業が完了すれば、ブロックの生成者であるマイナーは、ブロック生成手数料とブロック内に記録されているトランザクション手数料をマイニング報酬として受け取ることができる。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインのメリット

仮想通貨やビットコインを購入・投資するメリットは3つある。

  • セキュリティ体制が盤石で安心
  • 価格変動が大きいため高い利益を狙いやすい
  • いつでも取引ができる

セキュリティ体制が盤石で安心

仮想通貨は公開鍵暗号方式とブロックチェーン技術により、なりすましや、取引データの改ざんが困難であるため、セキュリティ体制が盤石で安心して保有できるのが強みだ。

過去には取引所に対するハッキングが発生したこともあるがCoincheck(コインチェック)は現在、大手証券会社マネックス証券を傘下におさめるマネックスグループが所有しており、GMOコインはインターネットインフラ事業に特化したGMOグループが所有しているため、信頼できる運営元の取引所で口座を開設するのがよいだろう。

価格変動が大きいため高い利益を狙いやすい

ビットコインを始めとする仮想通貨は価格変動が大きいため、高い利益を狙いやすい。そのため、株式や投資信託のような伝統的な資産運用で得るのは難しい高いリターンを期待できる。

また、草コインと呼ばれる時価総額が低くマイナーな通貨はボラリティが大きいため、ビットコイン、イーサリアムのようなメジャーな通貨と比較しても高いリターンが得られる可能性もある。しかし、草コイン投資は信頼性が低く価値が急激に下がる場合もあり、国内の取引所で取り扱われていないので弊サイトでは推奨しない。

いつでも取引ができる

仮想通貨は24時間365日リアルタイムで取引できる。日本株の場合は東京証券取引所が開いている9時~15時の間でなければ取引ができないため、社会人がリアルタイムで参加するのは難しい。しかし、仮想通貨なら自身の都合のいい時間に取引に参加できる。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインのデメリット

一方で、仮想通貨(暗号資産)/ビットコイン投資のデメリットは3つある。

  • 取引所のハッキングやアカウントへの不正アクセス
  • 多額の資金を投資するのはリスクが高い
  • 常に値動きを監視し続けるのは難しい

取引所のハッキングやアカウントへの不正アクセス

セキュリティ面が盤石といわれている仮想通貨だが、取引所がハッキングされてしまう事件が過去に発生している。多くの国内取引所では、こうした事件を踏まえてセキュリティの改善に努めたが、不安があるなら信頼性の高い企業が運営している取引所を利用することを推奨する。また、自身のアカウントのパスワードがなんらかの理由で漏洩し、不正アクセスされる危険性もある。取引所を利用する際はパスワードが外部に漏れることがないようにセキュリティ管理を徹底しよう。

多額の資金を投資するのはリスクが高い

仮想通貨は他の伝統的資産と比較して値動きの幅が広いため、特に投資初心者がいきなり多額の現金を仮想通貨に換えるのは他の投資方法と比較してもリスクが高い。初心者の場合は、少額から投資を始めるのがいいだろう。bitflyerでは1円からでも投資できるので、初期投資額の下限を気にする必要はない。自身の余裕資産に合わせて投資額を設定しよう。

常に値動きを監視し続けるのは難しい

24時間取引できるということは、反対にいえば常に値動きを監視し続けるのは難しいということである。短期的な値動きを監視し続けて本業などが疎かになるのは本末転倒であるため、長期を前提に投資することが重要だ。中期から長期での投資であれば、値動きをあまり確認できない忙しい人でも仮想通貨投資を始められる。

仮想通貨/ビットコインの取得方法──マイニングか取引所/販売所で購入

仮想通貨を始める(得る)には、採掘(マイニング:mining)と呼ばれる専用のプログラムで高度な計算を行って新規発行分の報酬を得る獲得する/仮想通貨取引所と呼ばれる仮想通貨交換業者を利用して法定通貨と交換の上、仮想通貨を購入するなどの方法がある。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインはいくらから投資できる?──少額投資が可能

ビットコインの単位はBTCであり、1BTCの価格は300万2,556円(2022年8月5日時点)だ。1BTCを購入するのは難しいと思うかもしれないが、仮想通貨は1以下の単位でも購入できる。特にCoincheck(コインチェック)では、取扱のあるすべての仮想通貨を500円から購入できる。仮想通貨自体の価格を気にすることなく少額投資ができるので、少額で始めるなら取引所の最低投資金額を確認して取引所を選ぼう。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコイン投資で口座開設しておきたい取引所

仮想通貨(暗号資産)/ビットコイン投資で口座開設を推奨する取引所を紹介する。また、取引所の口座開設は1つに絞る必要はなく複数開設することが望ましいため、興味のある取引所が複数あった場合は複数開設を検討しよう。

Coincheck(コインチェック)

2012年に設立されたコインチェック株式会社が運営する。2018年に大規模なハッキング事件が起きたが、その後、東証プライム市場上場企業であるマネックスグループの傘下で経営再建を図った。

つみたてや貸暗号資産などの長期投資向けのサービス、NFTの売買ができるマーケットプレイス、ガス・電気料金をビットコインで支払うユニークなサービスもあり、幅広いサービスが充実している。

また、取引ツールとなるスマホアプリが使いやすく、仮想通貨を初めて取引したい人に向いている。

項目概要
取扱仮想通貨23種類
手数料無料
最低取引数量円建てで500円相当額
スマホ対応アプリ「Coincheck Bitcoin Wallet」
セキュリティマルチシグ、コールドウォレットなど
  • アプリは使いやすく、注文方法も簡単。手数料もリーズナブルで使いやすく、欠点を探すのが難しいくらいの取引所だと思います。

    ★★★★★5点
    (50代・女性)
  • とくに、チャートの見やすさがバツグン。取引ができる通貨の種類が多いところも、Coincheckのウリだと思います

    ★★★★★5点
    (20代・女性)
  • 良いところは初心者でもまごつかないアプリが用意されていること。仮想通貨初心者ですが、使い方をマスターできることが嬉しい。

    ★★★★4点
    (50代・女性)

GMOコイン

GMOインターネットのグループ会社が運営する。取引手数料だけでなく入出金手数料も無料となっており、コストの安さが特徴だ。

国内最多クラスの26銘柄を扱っており、レバレッジ取引できる仮想通貨の種類も多い。つみたて暗号資産、貸暗号資産など仮想通貨の長期投資向けのサービスも広く提供していて、さまざまな投資スタイルに対応できる。

項目概要
取扱仮想通貨26種類
手数料販売所:無料、取引所:Maker-0.01%、Taker0.05%
最低取引数量販売所:0.00001BTC、取引所:0.0001BTC
スマホ対応アプリ「暗号資産ウォレット」
セキュリティ2段階認証、ログイン通知、24時間監視、定期的な脆弱性診断など
  • 仮想通貨のFX取引がスマホでササッとできます。外出中、合間の時間、寝ながら、などなどかなり便利です。ちなみに、チャート機能もあります。

    ★★★★★5点
    (30代・男性)
  • 一言で言うと、とても満足です。アプリで手軽に取引ができるので、仮想通貨取引に明るくない人でも、ハードルが低いところが良いです。

    ★★★★4点
    (20代・女性)
  • 過去の取引内容が取引画面の下方に表示されるため、一気に値が動き始めた時などに、目標を瞬時に判断することが出来るのが大きな武器だと思います

    ★★★★4点
    (20代・女性)

仮想通貨(暗号資産)/ビットコイン投資のやり方──取引所の口座開設の手順

ビットコインを始めとする仮想通貨を購入するなら取引所で口座を開設する必要があり、4つの手順を踏むだけで取引の準備が完了する。

①本人確認書類などの必要書類を準備する

まずは口座開設に必要な書類を用意する。一般的には下記の書類が必要だ。

  • 通帳など銀行口座に関する書類
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証等)

仮想通貨を購入するためのお金を入金する口座と、顔写真付きの本人確認書類が必要になる。ただし、取引所によっては上記以外の書類が必要になる可能性もあるので、取引所の規約などを事前に確認しておこう。

②取引所で手続きをおこなう

必要書類を準備したら、実際に取引所の公式サイトで口座開設に必要な項目を記入して手続きをおこなう。本認証や本登録をするためにメールアドレスや電話番号が求められることがあり、間違えて記入すると取引所からの連絡を受けられないので注意しよう。必要書類と記入事項に問題がなければ、各取引所の指示に従って取引を開始できる。

③銀行口座から取引所に日本円を入金

取引所に口座を開設できたら、銀行口座から日本円を入金して仮想通貨を購入するための資金を用意しよう。入金方法は主に3つある。

  • クイック入金
  • 銀行振込
  • コンビニ入金

手間もかからず、取引所によっては入金手数料が無料になるのがクイック入金だ。取引所と提携している金融機関の口座を持っているなら利用できるので、クイック入金に対応している銀行口座を登録することを推奨する。

④仮想通貨を実際に購入する

銀行口座に入金が完了すれば、仮想通貨を実際に購入できるが、仮想通貨を購入する形式には取引所形式と販売所形式がある。取引所形式は取引所を仲介して、仮想通貨を買いたいユーザーと売りたいユーザーをマッチングさせる取引形式であり、販売所形式は仮想通貨販売業者から仮想通貨を購入できる形式だ。購入形式によって手数料も変わるので、どちらの手数料が安いのか確認してから取引を開始しよう。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインと法律──資金決済法で定義

日本国内では金券や電子マネーなど銀行業以外の資金移動業について規定した「資金決済に関する法律(資金決済法)」に仮想通貨の定義が設けられている。電子マネーが法定通貨を基準とした電子的なデータであり特定の企業やサービスでの利用にとどまるのに対し、仮想通貨は財産的価値のある法定通貨と同じような役割を持つものと定義されている。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインと税金──利益が20万円を超えると確定申告が必要

日本国内における仮想通貨の税金は、2017年12月に発表された国税庁の「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」により、仮想通貨の取引による売買損益は雑所得に分類されるため、利益が20万円を超える場合は確定申告の必要となる(主婦や学生など扶養されている方は33万円以上)。売買が複数にわたる場合、売買ごとにに所得を計算し、1年分の合計を所得額として申告する。この合計所得額の計算方法には、仮想通貨を購入するたびに購入額と残高を平均し所得を計算する「移動平均法」と、1年間の購入平均レートをもとに計算した総購入金額と売却合計金額の差額(所得)を計算する「総平均法」がある。

仮想通貨(暗号資産)の定義

仮想通貨は、暗号技術を活用して開発されたデジタルな通貨の一種であり、インターネット上で不特定多数の人々や企業間で物品もしくはサービスの対価として使用することができる。資金決済法では、仮想通貨を法的に以下のように定義している。

  • 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
  • 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

ちなみに、中国当局が開発を進めている「デジタル人民元」については、中国人民銀行の穆長春デジタル通貨研究所長によって、「仮想通貨やステーブルコインとは異なる性質のものである」ことが明らかにされている。中国では、2020年1月1日に施行された「中国人民共和国密码法」によって、デジタル通貨を発行する最低限の法規定が整備され、デジタル通貨発行に向けた素地が出来つつある状況である(参考:中国の「密码法(暗号法)」の内容と意義。中国政府の意図、規定される暗号の種類とは?)。仮想通貨の定義からは外れるが、ステーブルコインや上記のデジタル人民元を含む中銀デジタル通貨についても、今後はその動向をより一層注視する必要がある。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインの歴史

仮想通貨の歴史

仮想通貨の始まりは、2008年10月にサトシ・ナカモトという人物がビットコインに関する論文をインターネット上で公開したことに遡る。本論文は数多くの研究者/開発者にインスピレーションを与え、公開から3ヶ月後の2009年1月にはビットコインが誕生。2010年2月にはビットコインを両替できる取引所が設立された。

ビットコインに関する論文

国内においても、2010年7月にマウントゴックス社が東京都渋谷区においてビットコインの取引所サービスを開始した。2011年以降、ビットコインは世界中で急速に広まった。2014年にはマウントゴックス社の経営破綻があったものの、ビットコイン以外の仮想通貨であるアルトコインが数多く誕生したこともあって、仮想通貨市場は全体としては拡大基調にあった。

2014年1月には、我が国を代表する仮想通貨取引所の一つであるビットフライヤー社が設立され、仮想通貨が日本でも注目され始めた。2016年2月にはDMM.comでビットコイン決済がスタートし、以降、国内のいくつかの大手企業がビットコイン決済に乗り出した。その後、2017年の後半にかけて、仮想通貨の価格が急激に高騰したことで、仮想通貨市場は大きな盛り上がりを見せたが、2018年1月に国内仮想通貨取引所のCoincheckから約580億円相当のNEMが流出した事件(参考:コインチェック事件)をきっかけに、国内のいくつかの取引所に対して業務停止命令や業務改善命令が出された。

その後、2018年4月に「日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)」が設立された。2019年以降は、1月に金融庁がコインチェックを仮想通貨交換業者として正式登録したことをきっかけに、楽天ウォレットなどの取引所が新たに仮想通貨交換業者として認可を受けた。

2019年 、ビットコイン誕生10周年を迎えたこの年は、既存のテクノロジー企業が仮想通貨を認め、自社の製品やサービスに組み込むことを約束した歴史的な1年となった。具体的な企業としてはTelegram、Facebookが挙げられる。

新型コロナウイルスが拡大し、波乱の年を迎えた2020年、仮想通貨においてもブラック・サーズデーと呼ばれる暴落が発生し、市場は混乱に陥った。一方で、大手決済サービスのペイパルが仮想通貨に対応を発表するなど、決済手段としての普及の一歩を着実に歩み始めている。

2017年~2018年にかけて起きた仮想通貨バブルの再来となったのが2021年である。中国が仮想通貨の規制を進めるなどの悪いニュースなどによる下落相場もあったものの1年を通して上昇基調が続いた。

2022年は2021年の上昇相場の反動とロシア・ウクライナ戦争による緊張が高まり下落が続いた。5月のステーブルコインのTerra/LUNAの破綻や、11月には大手海外仮想通貨取引所のFTXが経営破綻するなど、仮想通貨に関連する悪いニュースが続いたことも市場の下落に拍車をかけた。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインのリスク

仮想通貨が抱えるリスクの中で、代表的なものは下記の通り。

1 価格変動リスク

仮想通貨は、価格変動(ボラティリティ)が大きいため、需給バランスの変化や、物価、天災地変、戦争、政変、法令・規制の変更、仮想通貨に係る状況の変化、その他予期せぬ事象や特殊な事象等の影響により、価格が乱高下する可能性がある。取引を行う際には、価格変動の大きさを考慮することが重要である。

2 秘密鍵やパスワードの紛失リスク

ウォレットの秘密鍵やパスワードを紛失した場合、保有する仮想通貨に一切アクセスできなくなる可能性があるため、細心の注意が必要である。

3 サイバー攻撃による盗難リスク

サイバー攻撃によって、取引所または自身が保有するPC/スマホから秘密鍵が漏洩した場合、悪意のあるハッカーによって、保有する仮想通貨が盗難されてしまうことがある。

4 取引所の経営破綻リスク

外部環境の変化等によって、仮想通貨取引所が事業を継続できなくなった場合、取引所の体制によっては、取引所に資産を預けている利用者の資産が返還されない場合がある。

5 ネットワーク上のトラブルリスク

仮想通貨の取引は、仮想通貨ネットワーク上で承認されることで完了する。そのため、ネットワーク上で何らかのトラブルが起こり、取引がキャンセルされることもある。

6 システム障害リスク

取引所や使用しているインターネット回線、パソコン等にシステム障害が発生すると、取引ができなくなる等のトラブルが生じる(※ 取引所に責任があることが証明された場合、補償されるケースもある)。

7 51%攻撃のリスク

悪意のあるマイナーによって、ある特定の仮想通貨のハッシュレートの51%が占有された場合、不正な取引が行われるリスクがある(※ ただし、コンセンサスアルゴリズムとして、PoW以外を採用している場合はこの限りではない)。

8 法令・税制の変更リスク

国内の仮想通貨に係る取り扱いについて、法令や税制が変更される場合がある。それに伴い、仮想通貨価格の下落、取引の停止、税負担の増加といった問題が発生する可能性がある。

9 詐欺被害に遭うリスク

仮想通貨を取引する上で、情報を精査しなければ様々な詐欺被害に遭う可能性も考えられる。具体的には、メールなどを利用して、偽サイトにウォレットに関する情報を入力させて仮想通貨を盗む手口や、必ず儲かるなどと謳い、実体のないプロジェクトである特定の仮想通貨に投資をさせるなどの詐欺行為がケースとして存在する。

10 誤送金による消失リスク

仮想通貨を送金するとき、誤ったアドレスに送信してしまうと仮想通貨が消滅するリスクがある。誤ったアドレスが存在するものであれば、送金した仮想通貨は別の人のウォレットに入金されることになる。消滅した仮想通貨や、別のウォレットに送信した仮想通貨を取り戻すことは難しい。

11 無価値になるリスク

仮想通貨の信用性が失われる重大な事態が発生すると、暴落した結果、ほとんど無価値になるリスクがある。仮想通貨プロジェクトは数多くの種類があり、今後も新たに展開していくことが予想されるが、そのなかには価値を失ってしまう通貨も一定数あると考えられる。

仮想通貨(暗号資産)/ビットコインのリスクを軽減する方法

仮想通貨にはリスクも多いが、保有・投資するメリットがある。仮想通貨に限らず投資をするなら、できる限りリスクを軽減することが重要になる。その方法について紹介する。

少額から長期を前提に始める

仮想通貨に投資する場合は、まずは少額から始めることが、価格変動などのさまざまなリスクの軽減につながる。加えて、投資のスタンスは短期よりも長期であるほうが安定しやすい。

なぜなら、将来性の高い仮想通貨であっても短期間であれば、市況によって大きく乱高下するリスクがあるからだ。仮想通貨の価格はさまざまな理由で上下することから短期的な価格の変動を読むことは難しい。少額かつ長期でできる限りリスクを抑えて投資することがリスクの軽減につながる。

銘柄選びは慎重に

仮想通貨投資は、投資する銘柄の選び方で成果は大きく変わってしまう。将来性の高い仮想通貨を選ぶことができれば、長期保有における成果を高めることができるだろう。また、同じ仮想通貨であってもリスクの大小が存在する。

例えば、仮想通貨を代表するビットコインは、他の仮想通貨と比較して唐突に無価値になることは考えにくい通貨である。アルトコインでも、イーサリアムやリップルなど知名度の高いものであれば全体におけるリスクが低い。

特に気をつける必要があるのはアルトコインのなかでも「草コイン」と呼ばれる、時価総額や価格が低く、投機性の高い通貨である。草コインは上昇したときには高い利益が期待できる反面、無価値になるリスクも高いので、リスクを避けるなら購入しないことを推奨する。

取引所の選択も重要

仮想通貨を購入するなら取引所の選択も重要だ。サイバー攻撃による盗難リスクや、システム障害のリスクもあるので、取引所を選ぶなら取扱通貨の幅広さだけでなく、取引所ごとのセキュリティ対策の盤石さも含めて検討する必要がある。取引所の口座を開設するなら、国内取引所、海外取引所、DEX(分散型取引所)の3種類が挙げられる。

国内取引所と海外取引所では、海外のほうが、銘柄の選択肢が広く、レバレッジもかけやすいので取引の自由度が高いが、投資家保護が行き届いていない場合もあるので、CoinDesk Japanでは、金融庁に認可された国内の仮想通貨取引所で暗号資産を購入することを推奨している。

DEX(分散型取引所)はウォレットを自身で管理して取引することから、取引所のセキュリティ対策に依存せずに取引できるが、ユーザーサポートがないため、仮想通貨を初めて取引する人が利用するのは難しいという欠点がある。

毎日の情報収集を欠かさない

仮想通貨を積極的に購入して投資を続ける場合は、毎日の情報収集を欠かさないことが必要不可欠である。価格変動はさまざまな要因で発生するため、今後の相場の変動を考える上では情報を多く収集する必要がある。情報を収集しなかったことによって、知らなかったがために損をしてしまうことを考えると、投資の頻度が多くなるほど情報収集をすることがリスクの軽減につながる。

国内における主な仮想通貨取引所/販売所

2023年1月末現在において、国内には30社を超える仮想通貨交換業者が存在する。具体的には、以下の通り。

  1. 株式会社マネーパートナーズ
  2. FTX Japan株式会社
  3. 株式会社bitFlyer(bitFlyerを運営)
  4. ビットバンク株式会社(bitbankを運営)
  5. GMOコイン株式会社(GMOコインを運営)
  6. フォビジャパン株式会社(Huobi Japanを運営)
  7. BTCボックス株式会社(BTCボックスを運営)
  8. 株式会社ビットポイントジャパン(BITPointを運営)
  9. 株式会社DMM Bitcoin(DMM Bitcoinを運営)
  10. SBI VCトレード株式会社(SBI VC Tradeを運営)
  11. Himalaya Japan株式会社
  12. COINHUB株式会社
  13. コインチェック株式会社(Coincheckを運営)
  14. 楽天ウォレット株式会社(楽天ウォレットを運営)
  15. Amber Japan株式会社
  16. LINE Xenesis株式会社(LINE BITMAXを運営)
  17. エクシア・デジタル・アセット株式会社
  18. FXcoin株式会社
  19. オーケーコイン・ジャパン株式会社
  20. Payward Asia株式会社
  21. CoinBest株式会社
  22. 株式会社デジタルアセットマーケッツ
  23. 株式会社マーキュリー
  24. 株式会社coinbook
  25. 東京ハッシュ株式会社
  26. Coinbase株式会社
  27. 株式会社Crypto Garage
  28. 株式会社メルコイン
  29. 株式会社サクラエクスチェンジビットコイン
  30. 株式会社カイカエクスチェンジ
  31. 株式会社ガイア

仮想通貨(暗号資産)の事例

主な仮想通貨の事例を下記に整理する。

1 BTC(ビットコイン)

開始日2009年1月3日
運営者Bitcoin Foundation
通貨単位BTC
発行上限2100万BTC
公式サイトhttps://bitcoin.org/en/

2 ETH(イーサリアム)

開始日2015年8月7日
運営者イーサリアム財団
通貨単位ETH
発行上限なし
公式サイトhttps://www.ethereum.org/

3 XRP(リップル)

開始日2013年8月5日
運営者Ripple Inc.
通貨単位XRP
発行上限1000億XRP
公式サイトhttps://ripple.com/

4 BCH(ビットコインキャッシュ)

開始日2017年8月1日
運営者なし
通貨単位BCH
発行上限2100万BCH
公式サイトhttps://www.bitcoincash.org/

5 EOS(イオス)

開始日2017年6月26日
運営者block.one社
通貨単位EOS
発行上限10億枚
公式サイトhttps://eos.io/

6 Stellar(ステラ)

開始日2014年7月
運営者Stellar Development Foundation
通貨単位XLM
発行上限1000億枚+年1%増加
公式サイトhttps://www.stellar.org/

7 LTC(ライトコイン)

開始日2011年10月7日
運営者Litecoin Foundation
通貨単位LTC
発行上限8400万LTC
公式サイトhttps://litecoin.org/

8 Tether(テザー)

開始日2015年2月年
運営者Tether社
通貨単位USDT
発行上限無制限
公式サイトhttps://tether.to/

9 XLM(ステラルーメン)

開始日2014年7月
運営者ステラ開発財団
通貨単位XLM
発行上限1,000億枚+年1%増加
公式サイトhttps://www.stellar.org/

10 DOT(ポルカドット)

開始日2017年10月
運営者なし
通貨単位DOT
発行上限1,070,000,000
公式サイトhttps://polkadot.network/

11 ADA(カルダノ)

開始日2016年10月
運営者なし
通貨単位ADA
発行上限450億枚
公式サイトhttps://cardano.org/

12 BNB(バイナンスコイン)

開始日2016年10月
運営者Binance
通貨単位BNB
発行上限200,000,000
公式サイトhttps://www.binance.com/ja