ビットコインDeFi、2024年初頭から20倍に拡大──開発者は利回り創出に賭ける

- ビットコイン・ネイティブのDeFiプロトコルの預かり資産総額(TVL)は、2024年1月の3億700万ドルから2025年半ばには63億6000万ドルへと約20倍に拡大した。
- 最も人気のユースケースはレンディング・プロトコルで回答者の59%が使用、ビットコイン担保型ステーブルコイン、分散型取引所(DEX)が続く。
- スマートコントラクト機能が欠けているという課題はあるが、「ArchVM」などの新たなインフラがネイティブ機能の強化を目指している。
ビットコインDeFi(分散型金融)は、もはや片隅の実験ではない。
CoinDeskに共有されたArch Networkの新しいレポートによると、ビットコイン・ネイティブのDeFiプロトコルの預かり資産総額(total value locked:TVL)は、2024年1月の3億700万ドルから2025年半ばには63億6000万ドルに急拡大。レンディングアプリ、ステーブルコイン、機関投資家の流入によって約20倍になった。
データは、アジアおよびアフリカの開発者、投資家、ユーザーなど125人から集められたもので、「デジタル・ゴールド」から、プログラム可能な利回り資産へとビットコインのストーリーがシフトしていることを示している。
利用しているプロトコルとして最も多くあげられたのは、レンディング・プロトコルで、回答者の59%が使用していると答えた。次いで、ビットコイン担保型ステーブルコイン(41%)、DEX(32%)、トークン化不動産などのRWAトークン(29%)が続く。これらは単なる投機的な投資ではなく、特にビットコインを売却せずに流動性にアクセスしたいユーザーにとっては、プロダクト・マーケット・フィットの兆しとなっている。
依然残る信頼性への懸念
しかし、信頼性への懸念は依然として存在する。回答者の36%は、ビットコインをコールドウォレットに保管しており、現行のDeFiプラットフォームには信頼が欠けている事に触れた。25%はリスクが高いと判断して、ビットコインDeFiを避けている。また回答者の60%が、スマートコントラクトの脆弱性を最大のセキュリティ懸念にあげた。
「ビットコインの真の可能性は、パッシブな価値の保存手段を超えたところにある」と、Arch NetworkのCEO、マット・ムダーノ(Matt Mudano)氏はレポートに記している。
「流動性を解き放つことが次のフロンティアだ」
開発者の間では、楽観とフラストレーションが交錯している。44%は、セキュリティと分散性の優位性を理由にビットコイン・ブロックチェーン上で開発していると答えた。一方で、43%はスマートコントラクト機能に欠けていることを最大の課題にあげた。
開発ツール、コンポーザビリティ、ドキュメントの不備も大きな問題として指摘された。
その結果、多くのビットコインDeFi開発者はマルチチェーン戦略を取っており、63%がイーサリアム、47%がソラナ、44%がBaseでも構築している。
ネイティブ環境への期待
それでも、約半数は長期的にビットコイン・ネイティブ環境に移行する計画と述べた。背景には、ブリッジやラップド資産、信頼要件を必要としないネイティブ・スマートコントラクトを可能にするビットコイン基盤の仮想マシン「ArchVM」などの新しいインフラの登場がある。
ビットコインDeFiのスケールに必要なものは何か? 回答者は、優れた開発ツール(45%)、L2(レイヤー2)の普及(43%)、そしてより深い流動性をあげた。セキュリティは絶対条件であり、多くの開発者は、オンチェーン資産の完全な監査可能性とブリッジの強化が実現されなければ開発構築しないと答えた。
だが、こうした課題にもかかわらず、投資家は熱い視線を注いでいる。
「もし、ビットコインの2兆ドルにおよぶ時価総額が一部でも生産的に活用されるなら、その上昇余地は計り知れない」と、DPI Capitalのシャハン・コシャフィアン(Shahan Khoshafian)氏は述べた。
現在のビットコインDeFiは、2019年当時のイーサリアムのような状況にある──ニッチで粗削りだが、可能性に満ちている。もし、これらの開発者たちが勝ち残るなら、ビットコインは保有されるだけでなく、使われる資産となるだろう。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:bozziniclaudio/Pixabay
|原文:Bitcoin DeFi Has Ballooned 20x Since Start of 2024 as Builders Bet on Yield