- コインベース(Coinbase)のアナリストらによる新しいレポートでは、ステーブルコインは2028年までに1兆2000億ドル規模の市場に成長すると予測されている。
- レポートは、ステーブルコインの成長が毎週53億ドルの新たな米国債購入につながり、利回りを低下させる可能性があると述べた。
- また、償還の波は伝統的市場にも波及し、強制的な米国債売却につながる可能性がある。
主に米ドルなどの法定通貨に連動するデジタルトークンであるステーブルコインは、2028年までに1兆2000億ドル(約180兆円、1ドル=148円換算)規模の市場にまで膨れ上がり、米国債市場にも影響を与える可能性があると、コインベースのアナリストらが8月21日発表のレポートで予測した。
コインベースのリサーチ部門を率いるデビッド・ドゥオン(David Duong)氏が発表したこの予測は、ステーブルコインセクターの数千の成長経路をシミュレーションした確率論的モデルに基づいている。
現在の2770億ドルの市場規模から5倍近くに膨らむためには、この資産クラスは「時間の経過とともに徐々に、政策によって可能になる採用の積み重ねに依存することになる」とレポートは述べた。
USDコイン(USDC)を発行するサークル(Circle )や、USDTを手がけるテザー(Tether)といったステーブルコインの発行元は、トークンの価値を裏付けるために通常、大量の米国債を保有している。ステーブルコイン市場が1兆2000億ドルに成長すると、毎週約53億ドルの新たな米国債が購入されることになると、レポートは予測した。
アナリストらは、そのような資金流入が、時間の経過とともに3カ月物米国債の利回りを2〜4ベーシスポイント削る可能性があると述べた。これは、わずかな動きが機関投資家の資金調達コストを左右する可能性がある6兆ドル規模のマネーマーケットにおいて、小さくはない影響である。
一方、償還の急増は悪影響をもたらす可能性がある。5日間で35億ドルの流出があれば、強制的な売却の連鎖につながり、米国債市場の流動性を逼迫させる可能性があると、レポートは指摘した。
コインベースのアナリストらは、そのリスクを抑えるために、最近米国で成立した「GENIUS(ジーニアス)法」と呼ばれるステーブルコイン規制が重要であると指摘した。この法律は、発行企業とステーブルコインに対して2027年に発効し、1対1の準備金、監査、および保有者に対する破産保護を義務付けている。
この法律はステーブルコイン発行元に連邦準備制度への直接的なアクセスを与えるものではないが、不安定化につながる取り付け騒ぎの可能性を減らすことができると、レポートは述べた。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Stablecoin Market Could Hit $1.2T by 2028, Maybe Affecting U.S. Government Debt Yields: Coinbase


