10日、都内でステーブルコイン関連のイベントを開催したWeb3支援のPacific Meta(パシフィックメタ)。同社は壇上で保有する資産、いわゆるトレジャリーの8割を「ステーブルコインで運用している」と明かした。
具体的な金額は明らかにしていないが、仮に同社の累計調達額約8.5億円を前提にすると、その8割は6.8億円。9%は「6120万円」となる。
米ストラテジーを筆頭に、日本ではメタプラネット、リミックスポイント、最近ではネイルサロン運営のコンヴァノなど、上場企業が財務戦略としてビットコイン(BTC)を購入・保有する動きが目立っている。こうした企業は「ビットコイン・トレジャリー企業」、あるいは広く「DATCO(Digital Asset Treasury Company)、デジタル資産トレジャリー企業」と呼ばれている。
DATCOは、多くの場合、社債、新株予約権などを発行して株式市場から資金を調達し、ビットコインなどの暗号資産を購入している。最近では、ソラナ(SOL)トレジャリー戦略を掲げ、リブランディングしたカナダ企業のSOLストラテジーが米ナスダックに上場した。
パシフィックメタのケースは、株式市場から調達した資金を暗号資産に振り向けるDATCOのようなリスクテイク型ではなく、より堅実なトレジャリー運用と言える。ただし「9%」という日本市場から見ると極めて高い利回りは、USDCなど米ドル建てステーブルコインでの運用とみられる。
日本でのステーブルコインの普及は、ユースケースの創出が課題とされるが、日本円建てステーブルコインを低金利で借り入れ、ドル建てステーブルコインで運用する「キャリートレード」の需要が見込まれることをうかがわせる。
実際、あるDeFi関係者はCoinDesk JAPANに「海外の投資家は、円建てステーブルコインの登場を心待ちにしている」と述べている。円建てステーブルコインの登場に期待が高まるばかりだ。
|文:増田隆幸
|撮影:CoinDesk JAPAN


