コインベースCPO、ステーブルコインが預金を脅かすとの銀行の主張に反論「決済手数料収入を守りたいだけ」
  • コインベースのファリヤー・シルザド氏は、銀行は決済手数料を守るためにステーブルコインのリスクを誤って伝えていると述べた。
  • シルザド氏は、ステーブルコインは預金逃避を引き起こしたり、融資能力を低下させたりしないと主張した。
  • イングランド銀行は最近、流出への懸念を理由に、「システム上」のステーブルコイン保有量に制限を設けることを提案した。

アメリカの銀行業界の主張とは反対に、ステーブルコインは金融システムにリスクをもたらさない。暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(コインベース)の最高政策責任者(CPO)、ファリヤー・シルザド(Faryar Shirzad)氏がそう述べた。銀行がリスクを主張するのは、自らの収益を守るために作り上げた神話に過ぎないと、彼は9月16日のブログ投稿に記した

「ステーブルコインが銀行預金の大量流出を引き起こすという主張はまったく成り立たない」とシルザド氏は書いている。「最近の分析では、地域銀行におけるステーブルコインの普及と預金流出の間に有意な関連性は見られず、大手銀行がより悪い結果を招く理由もない」。

大手金融機関は依然として連邦準備銀行に数兆ドルを預けている。もし預金が本当に危機に瀕しているなら、中央銀行に現金を預けるのではなく、より高い金利を提供して顧客資金の獲得競争を激化させるはずだと彼は主張した。

シルザド氏によれば、銀行が反対する真の理由は決済事業にある。ステーブルコインは、ドルなどの現実資産に価値が連動するデジタルトークンであり、より迅速かつ低コストな資金移動手段を提供する。これにより、従来のカードネットワークや銀行が年間約1870億ドル(約27兆1150億円、1ドル=145円換算)を得ている決済手数料収入が脅かされるのだ。

彼は現在の反発を、ATMやオンラインバンキングに対する過去の抵抗と比較した。当時も既存勢力はシステム的な危険性を警告したが、結局は既得権益を守ろうとしていただけだと彼は述べた。

シルザド氏はまた、CoinGeckoのデータで時価総額が約2900億ドル(約42兆500億円)のステーブルコインへと預金が数兆ドル流出するとの予測を退け、ステーブルコインは主に決済手段として、暗号資産取引や海外送金に使われており、長期的な貯蓄商品ではないと強調した。

海外のサプライヤーとの決済のためにステーブルコインを購入する者は、銀行を経由するよりも効率的な取引方法を選択しているだけで、貯蓄口座から資金を引き出しているわけではないと彼は主張した。

彼は銀行に対し、この技術に抵抗するのではなく受け入れるように促し、ステーブルコインの決済基盤が決済時間を短縮し、コルレス銀行コストを削減し、24時間決済を提供できるようになると述べた。適応する意思のある金融機関は、この変化から利益を得られるだろうと彼は書いている。

イギリスもまた、ステーブルコインが金融業界に与える影響について懸念を抱いている。

フィナンシャル・タイムズは9月15日、イングランド銀行が個人や企業が保有できる「システミック(システム上重要な)」ステーブルコインに保有上限を設けることを検討中だと報じた。個人向けには1万ポンド(約200万円、1ポンド=200円換算)、企業向けには約1000万ポンド(約20億円)という低い制限を設定する方針だ。

当局は、システミック・ステーブルコインを、すえにイギリスの決済で広く使われているもの、あるいはそうなる見込みのあるものと定義している。そして、融資や金融の安定性を損なう可能性のある預金の急激な流出を防ぐために、上限設定が必要だと述べている。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:コインベースのファリヤー・シルザド氏。(CoinDesk)
|原文:Coinbase Policy Chief Pushes Back on Bank Warnings That Stablecoins Threaten Deposits

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