- パトリック・スコット氏によると、ハイパーリキッドの市場シェアは低下しているものの、建玉残高では依然として62%でトップに立っている。
- スコット氏は、収益と流動性の高さが、ハイパーリキッドをライバルのアスター、ライター、エッジエックスよりも投資しやすいものにしていると主張している。
- スコット氏は、HyperEVM、USDHステーブルコイン、HIP-3といった事業拡大の取り組みは、永久先物取引への依存度を低下させる可能性があると述べている。
分散型金融(DeFi)アナリストのパトリック・スコット(Patrick Scott)氏は、競合他社に市場シェアを奪われているにもかかわらず、ハイパーリキッド(Hyperliquid)が永久先物取引において最も投資に適した分散型取引所(CEX)であり続けると主張している。
永久先物DEX市場は流動的
永久先物とは、満期日なしで価格変動を予測できる暗号資産(仮想通貨)デリバティブ取引だ。これを扱う分散型プラットフォーム(パーペチュアルDEX)は、トレーダーがバイナンス(Binance)などの中央集権型取引所(CEX)から取引を移す動きに伴い、人気が急上昇している。
スコット氏は、パーペチュアルDEXの取引高をCEXの永久先物取引高に比べると、2022年はその割合は2%未満だったが先月は20%以上に拡大したと指摘した。HYPEトークンを発行するハイパーリキッドはこの成長の主要な牽引役だった。
しかし最近の動向には疑問も生じている。ハイパーリキッドの永久先物取引シェアはここ数週間で45%からわずか8%に低下した一方、バイナンス系列の競合であるアスター(Aster)は週間取引高が2700億ドル(約39兆1500億円、1ドル=145円換算)超に急拡大した。ライター(Lighter)やエッジエックス(edgeX)などの新興取引所も取引高で3桁パーセントの伸びを記録している。
それでもハイパーリキッドが際立っている理由
スコット氏は、ハイパーリキッドのファンダメンタルズが他社との差別化要因だと主張した。取引所は引き続き堅調な収益を生み出しており、同業他社と比較して妥当な倍率で取引されていると彼は説明した。また、建玉残高に表れるユーザーの定着率も強みだ。
「取引高や収益が活動量を測るのに対し、建玉残高は流動性を測る指標だ。はるかに定着率が高い」と彼は記し、ハイパーリキッドが永久先物DEXの建玉残高市場の約62%を占め続けている点を指摘した。
取引以外にも、スコット氏は業務拡張計画を挙げた。すでに100以上のプロトコルと総預入資産(TVL)20億ドル(約2900億円)をホストするHyperEVMネットワークや、ブラックロック(BlackRock)とスーパーステート(Superstate)が保有する準備金で裏付けられたステーブルコインUSDHなどが含まれる。
別の取り組みであるHIP-3は、ビルダーが大量のHYPEをステーキングすることで新たな永久先物市場を立ち上げられるようにする。これにより、スコット氏が「トークンの供給吸収源」と表現する仕組みが生まれる。
スコット氏は、ハイパーリキッドの建玉残高や収益が大幅に減少した場合、あるいはUSDHが今後1年間で流動性を獲得できなかった場合、自身の理論が破綻すると警告した。しかし現時点では、大規模なインセンティブプログラムを実行する競合他社よりも、ハイパーリキッドが優位な立場にあると主張している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Hyperliquid Still Best-Positioned Perp DEX Despite Aster’s Surge, DeFi Analyst Says


