- シティグループ(Citigroup)のCEOであるジェーン・フレイザー(Jane Fraser)氏は、摩擦が少なく、規制に適合しているため、ステーブルコインではなくトークン化された預金がデジタル決済の未来を推進するだろうと述べた。
- シティはステーブルコインのインフラをサポートしている一方、企業の財務部門はまだ24時間年中無休の金融に対応できておらず、広範な採用を遅らせていると、フレイザー氏は指摘した。
- シティは、24時間年中無休のドル決済ネットワークを通じてトークン化されたサービスを拡大しており、株式や商品などの資産のトークン化を検討している。
シティグループのCEOであるジェーン・フレイザー氏は、デジタル金融の未来について明確な立場を示し、ステーブルコインではなくトークン化された預金が、次世代の決済と金融市場のインフラを支える主要なエンジンになるだろうと投資家に語った。
10月14日の同行の第3四半期の収益発表に続いて行われた投資家向けの説明会の中でフレイザー氏は、機関投資家のクライアントが、低コストでコンプライアンスに準拠した、シームレスでリアルタイムのクロスボーダーの資金移動を求めていると説明した。
フレイザー氏は、「我々のクライアントが求めているのは、安全かつ健全な方法で提供される、相互運用可能で複数の銀行にまたがる常時接続の決済ソリューションである」と述べ、次のように続けた。
「それには、トークン化された預金が最適である」。
シティは、独自の24時間年中無休の米ドル決済ネットワークを含む、デジタル資産のインフラに多額の投資を行ってきた。フレイザー氏は、同行のトークン化されたサービスが現在、40以上の市場で250以上の銀行にリンクでき、クライアントがサプライヤーや第三者に即座に資金を送金できるようになったと述べた。
しかし、フレイザー氏はまた、広範な採用への最大のボトルネックは技術的なものではなく、多くの企業の財務部門がまだ、24時間年中無休の金融環境に対応できていないことであると指摘した。
シティは引き続きステーブルコインをサポート(ステーブルコイン提供事業者向けにオン/オフランプ、カストディサービス、現金管理サービスを提供)する一方、フレイザー氏は、ステーブルコインにはより多くの運用上の摩擦が伴うことを強調した。それには、アンチマネーロンダリング(AML)、税務報告、会計に関する規制上の負担が含まれる。
「これらの他の要件こそが、我々のトークン化された預金機能によって回避できるものである」と、フレイザー氏は述べた。
フレイザー氏は以前、シティが独自のステーブルコインを発行する可能性を模索していると述べていたが、この資産クラスに対する過剰な期待には警鐘を鳴らした。
「現在、ステーブルコインに焦点が当たりすぎている」とフレイザー氏は述べ、「こうした課題のほとんどは、トークン化された預金機能によって解決されるだろう」と続けた。
フレイザー氏は将来的に、トークン化が決済をはるかに超えて拡大すると予想している。フレイザー氏は、石油から株式まですべての発行と決済が、規制され、信頼された環境の中で、トークン化されたレール上で行われる未来を提示した。
フレイザー氏は、「鍵は、規制当局が責任あるイノベーションを可能にし始めていることである」と述べ、次のように続けた。
「我々はそれを、ツールキットの一部として提供するだろう。規制当局が今、我々に責任ある方法で革新することを許しているのは素晴らしいことである。それは市場の発展を真に助けるだろう」。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Konektus Photo / Shutterstock.com
|原文:Citigroup CEO Backs Tokenized Deposits, Says Too Much Focus on Stablecoins


