- アルテミス(Artemis)によると、ステーブルコインの供給高は72%急増して約3000億ドルに達した。これは、イーサリアム、ソラナ、および記録的な60億ドル規模のプラズマ(Plasma)のローンチが牽引している。
- AI資金調達モデルやMiniPayのようなプラットフォームを介したリテール決済を含む、新しいユースケースが出現している。
- レポートによると、ステーブルコインは銀行のようなインフラに進化しており、プラットフォームと取引所が決済、カード、貯蓄ツールを提供している。
データ分析プラットフォームのアルテミスによると、ステーブルコイン市場は過去1年間で急激な成長を遂げ、総供給高は72%増加して約3000億ドル(約45兆円、1ドル=151円換算)に達した。
この成長の大部分はイーサリアムとソラナに集中しており、最近のプラズマのローンチも画期的な出来事となっている。
アルテミスは10月15日発表のレポートで、プラズマでは最初の1週間で60億ドル以上のステーブルコインが発行され、新しいチェーンのデビュー記録を樹立したと述べた。
ステーブルコインは、米ドルや金などの他の資産に価値が連動した暗号資産(仮想通貨)である。暗号資産市場で主要な役割を果たし、決済インフラを提供したり、国際的な送金にも使用されている。
テザー(Tether)のUSDTが時価総額で最大のステーブルコインであり、サークル(Circle)のUSDコイン(USDC)がそれに続いている。
USDTとUSDCの優位性は依然として明確であり、この2つのトークンで市場の85%以上を占め続けているとレポートは指摘した。
しかし、新興の発行事業者と新しいプラットフォームからの競争が激化する中、その支配力はわずかに弱まっている。
急増は単に供給だけではない。アルテミスは、ステーブルコインの金融システムにおける役割の拡大を反映した、多様なユースケースが広まっていると述べた。
その例のひとつはUSD AIであり、預金を人工知能(AI)企業向けGPUローン資金に充てるモデルを導入。これによりステーブルコイン保有を、プライベートクレジットに似た利回り付き商品へと転換している。
レポートは、大幅に需要超過となったプラズマのトークンセールスが、新しいネットワークがいかに迅速に流動性をブートストラップできるかを浮き彫りにしている一方、2025年に取引量が急増したCelo上のMiniPayの成長は、リテール採用の回復を示唆していると述べた。
その拡大する有用性は、ステーブルコインプラットフォームと銀行の間の境界線も曖昧にしている。アルテミスは、Squadsが現在20億ドル以上の資産を確保しており、ソラナの総ステーブルコイン供給高の15%を占めていると指摘した。
一方、RAINのシリーズBラウンドは、カードにリンクしたステーブルコインの支出拡大を助けており、その規模は10億ドルに近づいている。
中央集権型取引所でさえネオバンクに似た形態を取り始めており、バイナンス(Binance)、オーケーエックス(OKX)、コインベース(Coinbase)などのプラットフォームがステーブルコインに支えられた決済レール、デビットカード、貯蓄ツールを提供していると、レポートは付け加えた。
アルテミスは、この変化をより広範な構造的な進化の一部として捉えている。ステーブルコインはもはや暗号資産トレーダーのための単なるツールではなく、中核的な銀行機能をますます反映する新興の金融レイヤーとなっている。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Unsplash(CoinDeskが加工)
|原文:Stablecoin Boom Nears $300B as New Platforms Push Market Beyond Trading: Artemis


