ナスダックCEO、ポストトレードから決済まで──ブロックチェーンが変える3つの金融領域を指摘
  • ナスダックCEOのフリードマン氏は、まだ古いインフラに依存するポストトレード(決済後)システムをブロックチェーンは効率化できると述べた。
  • デジタルアセットは、担保流動性の向上、清算機関やブローカーに滞留する資本を解放できると同CEOは考えている。
  • ブロックチェーンによる決済の改善は、摩擦のグローバルな軽減と投資家アクセスの拡大につながると述べた。

Nasdaq(ナスダック)のAdena Friedman(アデナ・フリードマン)CEOは、ブロックチェーンは3つの方法で伝統的な金融システムを変えると考えている。つまり、ポストトレード・インフラの刷新、担保の流動性向上による滞留資本の解放、迅速でシームレスな決済の実現だ。

「清算機関やクリアリング・ブローカーに多くの資本が滞留している。ここを改善できれば、システムにより多くの資本を供給する機会になる」と、フリードマンCEOはニューヨークで開催されたRipple(リップル)主催のカンファレンス「Swell」で語った。

1つ目のポストトレード・プロセス(証券取引の決済・清算システム)は、依然として大きく断片化しており、数十年前のインフラに依存している。フリードマンCEOは、リスクマネジメントやアロケーショントラッキングなどの目的で意図的に複雑になっている部分もあるが、多くの摩擦は不要だと指摘。ブロックチェーンはワークフローを統合・効率化し、資本の滞留や取引の遅延を削減できると述べた。

2つ目の課題は、金融機関の担保の管理と移動の方法の改善だ。フリードマン氏は、デジタル資産であれば、担保をプラットフォームや国境を超えて迅速に、容易に動かすことができると述べた。「デジタルアセットの考え方で最も気に入っていることは、担保を動かせることだ。担保の流動性を高めることに取り組めば…多くの資本を解放できる」。

3つ目は決済。ナスダックは決済を手がけていないが、フリードマンCEOは効率的な決済システムは、投資家が摩擦なくグローバル市場に参加するための鍵になると強調した。

フリードマンCEOは、現在の決済インフラは資本の流れを阻害するボトルネックになっており、ブロックチェーンを使って改善あるいは再構築できれば、現在、古いプロセスに滞留している多くの資金を解放できると述べた。その結果、投資家は資金をプラットフォームや国境、資産クラスを超えて簡単に移動できるようになり、金融システムはよりオープンかつ効率的になるという。

ナスダックはすでに基盤整備に取り組んでいる。同社は最近、SEC(米証券取引委員会)にトークン化株式の取引サポートを申請した。認可されれば、投資家がトークン化された決済を希望した場合、ポストトレード・システム(清算機関のDTCCを含む)は、それに従って処理し、デジタルウォレットに送り込む。この方法は、既存構造を維持しつつ、投資家に大きな柔軟性を提供するとフリードマンCEOは述べた。

ただし同氏は、目的は米国株式市場を置き換えたり分断することではないと明言。米国市場は「きわめて強靭で流動性が高い」と評価しつつ、摩擦を減らし、投資家の選択肢を広げることができるテクノロジーを追加することで、さらに強化できると語った。

トークン化市場は、まずポストトレード機能から始まり、いずれ株式の発行、取引の方法を変えていく可能性があると同氏は見ている。「優れたところはそのままに、摩擦を減らせるところにはテクノロジーを導入していこう」とフリードマンCEOは語った。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Shutterstock
|原文:Nasdaq CEO Adena Friedman Outlines 3 Ways Blockchain Can Fix Finance

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