金融庁が暗号資産(仮想通貨)交換業者に対し、不正流出などに備える「責任準備金」の積み立てを義務付ける方針であると11月25日、日経新聞が報じた。
同庁は金融審議会の作業部会が近くまとめる報告書を踏まえ、2026年の通常国会に金融商品取引法(金商法)の改正案を提出する方向で調整している。
報道によると、今回の法改正は、ハッキング等による不正アクセスで顧客資産が流出した際、迅速な損失補償を可能にすることを目的としている。
現行制度では義務化されていなかった「コールドウォレット」管理分についても、証券会社の補償制度を参考に一定額の確保が求められる見通しだという。
具体的には、国内大手証券の事例や過去の流出規模を考慮して金額が詰められるほか、保険加入による資金確保も認められる方向だと報じられている。
また、交換業者の破綻時に確実に顧客へ資産を返還する仕組みも導入されるという。分別管理義務に加え、経営陣が不在となる事態を想定し、弁護士などの管理人が資産返還を代行する制度が設けられる模様だ。
日経新聞は、2024年5月のDMMビットコインによる流出や、2025年2月のBybitでの被害など、国内外で相次ぐ暗号資産に関わるインシデントが背景にあると指摘している。
|文:栃山直樹
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