月足は警戒が必要な形に
- 11月の月足は15%から20%程度の下落を記録する見込みです。11月はアノマリー的に強い月でしたが、大きく下落する動きとなりました。先月は最高値を更新した後にローソク足がドージ足になり、この頃から買い需要の弱さが示唆されていました。価格は今年の最安値圏1200万円台前半を割り込んでいない一方、短期チャートは弱気な形となっています。サポートライン近辺で底堅い相場が戻れば、上昇トレンドの継続の可能性がありますが、足元では下落方向への動きに警戒が必要な形となっています。
押し目を割り込み下落が加速
- 今月は初週から売られ、月の後半まで上値が重い展開となりました。初週は1500万円近辺で買い戻しが入り、上昇トレンドの形を維持しましたが、2週目には完全にサポートラインを割り込み下落が加速しました。3週目には一時1300万円を下回りましたが、売られ過ぎから買い戻しが入り、週足は下ひげを付けました。価格は足元で反発の流れとなり、週足の連続陰線を回避する可能性があります。
日足は移動平均線にタッチ
- 今月のビットコイン日足は移動平均線（14EMA）の下位での推移がほとんどでした。移動平均線近辺では上値が重くなり、戻り売りのポイントとなっていました。一方、11月最終週の今週は再度移動平均線を試す動きとなっています。価格は1400万円台を回復し買い戻しの流れとなっています。テクニカル的にはトレンド指数であるADXが40を超え、弱気トレンドの終盤に入っていることを示唆しています。今年のADXの高値は55です。また相場の過熱感を示すRSIは今年2度目となる30を下回りました。30以下は売られ過ぎを意味します。日足テクニカルはトレンドの変化が起こりやすい水準にあることから、短期の買い戻しも入りやすいでしょう。まずは日足が移動平均線の上位を維持できるか注目です。
ポジション調整はかなり進んだ様子
- 上記はビットコインのオンチェーンデータから算出されたチャートとなります。最初の画像では損失が出ている送金額を表しており、ここ2年間で最も高い水準となりました。今年2月に起きたトランプ大統領の関税ショックによる下落時にもここまで大きな送金は見られませんでした。今週は約28億ドルの送金があり、含み損を抱えていた投資家が損失を確定させたものと考えられます。2022年の下落トレンドの底付近でも約24億ドルの損失送金があり、今回の動きもトレンドの動きに影響を与える可能性があります。
- 2つ目の画像では含み益が出ているアドレスの割合を示していますが、足元では80%近辺で推移しています。こちらもここ2年間の最低水準にあります。長期で保有している投資家ではまだ含み益が多い状態であることから、損失を確定させた送金は短期投資家によるものだったと考えられます。短期投資家が損失を確定させたことでポジション調整が進み、買い手の入れ替えが行われました。高値掴みのポジションが一掃されたことから、上値は徐々に軽くなる可能性が出てきました。
3カ月先の先物価格は5%以下で推移
- 3カ月先の先物価格と現物価格の乖離率は現在4.7％で推移しています。今週は3%台で推移することもあり、ここ2年間で最も低い水準です。短期の投機的な買いは解消されたものと考えられます。今年の年初には13%程度で推移していましたが、後半に進むにつれ乖離率は縮小していきました。今年の相場がイマイチ盛り上がらなかった要因として投機筋の買いが少なかったことが考えられますが、価格上昇が少なかった反面、下落した際の変動率も限定的であると考えられます。乖離が以前と比べ縮小傾向にあるのは、ビットコインの変動率自体が低下していることも影響しているでしょう。
まとめ
- 長期チャートでは弱気トレンドの発生が示唆され、下落方向への動きに警戒が必要です。一方、短期の日足チャートのテクニカル指標では、弱気トレンドの終盤を示しています。買い余力がある投資家は打診買いを行ってもいいでしょう。オンチェーンデータでは強いポジション調整が行われたことを示し、短期投資家の現物が売られたことがわかっています。今月は最高値からの下落率が約32%となり、割安感が出てくる水準まで売り込まれました。長期トレンドの反転を判断するのは早いですが、短期では底堅く推移する可能性が高いでしょう。
